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アンヌと宝楽と子供時代の宝塚と・・・


 「ウルトラセブン」のアンヌ隊員役で知られるひし美ゆり子(当時は菱見百合子)さんのブログを時折読んでいるのだけれど、最新の記事で、俳優の中丸忠雄氏逝去の報に触れて、共演したドラマについて語ってらっしゃる。

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 中丸忠雄氏については特別意識して作品を拝見したことがなかった。むしろ奥様(中丸薫氏)の著作活動が最近目立つ印象。中丸氏のご冥福をお祈りし、今後、過去の出演作品を注目してみようと思う次第。


 ひし美さんのブログに戻ると、その「37階の男」というドラマが「セブン」から程なくした1968年(秋頃?)に宝塚撮影所で撮影され、「宝楽」という旅館が常宿で・・・という箇所があり、思わず目が止まる。宝楽!  この名前をきくと、懐かしい幼少期が甦って来る。

 「宝楽」というのは、60年代末当時我が家のすぐそばにあった旅館で、宝塚撮影所というのは、家の前にあった撮影所(実際は対岸の当時のファミリーランド内にあるのがメインで、こちらには、倉庫と、一部のスタジオがあっただけのようだ)のことなのである。


 当時まだ温泉街の雰囲気もわずかに残っていた私の家の周辺には、同じ年頃の子が沢山いて、全く面識のない子でさえいつのまにやら友達になってしまう・・・そんな環境だった。ふたつ上の兄に金魚の糞のごとくくっついて遊び回ってるうちに、行動範囲がどんどん広がる、広がるといっても実際は大したことはないのだけれど(笑)。そんな遊び場のなかに宝楽もあり、そこで親が働いてる子もいたから、きっと私も出入りしてたのだろう。その賑やかさもまた子供心に覚えていたりする。旅館の玄関の中まで記憶にある。


アンヌと宝楽と子供時代の宝塚と・・・_b0022069_21544381.jpg あの頃私たちが駆け回っていた今はもう存在しない遊び場所を、当時夢の世界だった「ウルトラセブン」の出演者のブログで見つける。実に不思議な気分。

 大人になって、色んな街を訪れるようになってつくづく、当時の宝塚は、今となってはもう殆どその面影さえ見つけるのは難しいけれど、ずいぶん個性的な街だったのだなと思う。一方で宝塚歌劇やファミリーランド、それに映画の撮影所に温泉街という、夢や娯楽の世界と、工場や商店街、田んぼもあれば新旧の全く色彩の違う住宅街もあり・・・といったもう一方の現実の世界が、ずいぶんと狭いところにゴチャゴチャと入り混じっていたのだから。よくも悪くも、そんな街にあの時代に育ったことが、今の自分のメンタリティー形成の一助となっていることは、これはもう疑いようがない。それが良かったのか悪かったのか、これは正直わからないが、ともかく、あるひとつのことだけは言える。戻りたいとは思わないし、もちろん戻れる訳もないのだけれど、あの時代の宝塚に生まれ育って幸運でしたと。
 
by penelox | 2009-05-10 21:59 | 阪神間随想


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