from compilation "Anthology" (1986)
午前中は仕事。 午後からは9曲目"That's..."のVo録音を開始。リードVoを少しずつ録って行く。曲自体はそんなに複雑なものでも、元気一杯のものでもないので、わりと順調に進む。ゆっくりした曲の方が自分は得意なんで。 しかし、細かいアレンジがまだちょっと浮かばないのでこれで置いておく。次はギター録音に移るつもり。 先日スウェーデンのあるインディーバンドから、今東京にいるのだが数週間以内に会えないかとメールが来た。大阪なんで遠すぎる、と返すと一週間以内に大阪に行くからどうか? と言う。会いたい、というのだが。 しかし、問題は、そのバンドのことを何も知らないこと。音源はおろか、HPもまだ建設中らしく、まるで何もわからない。そのバンド名で検索しても何も出てこないし。 自分達の音楽は、時にソフト、時にロックしている...そう言われても、聴いてみないことには。それで、仮に好みだとしても、今は正直何も手伝えない。最近は海外から、こういう売り込みがやたらと多い。場合によっては、すぐ契約してくれ、みたいのもあって、複雑な心境だ。実情は自分だけでも精一杯なのに。 だから、残念だが、申し訳ないとお断りした。こちらの録音で精一杯だと。 良い音楽をやっていて、メールなどのやり取りで何か通じるものがある。 好きな音楽が似通っていたり、とにかく音楽の話題で盛り上がったりして...それで友達になれるというのは素晴らしいこと。しかし、相手が大きな夢、こちらでは支えられないような夢を抱いていたりすると、話がズレて来てしまう。 友人にはなりたいが、それ以上のところで正直こちらでは何も出来ないし、具体的な売り込みとなるとたいてい丁重にお断りすることになる。これが、いつもちょっと悲しいところだ。夢のデカさや方向性は、こちらではいかんともしがたい。結局はいずれ自分でなんとかするしかないのだから。 上の曲は、もともとThe Undertonesの83年のラストアルバムでカヴァーされていた曲のオリジナル。最近買ったミラクルズのベストで、オリジナルが聴けた。 面白いのは、アレンジで(The Undertonesバージョンは)似ている部分はあるけれど、このミラクルズのオリジナルはコード感があまりないということ。そして、スモーキー・ロビンソンのVoが、ホントに奔放。それでいて音程はズレないし気持ち悪いところはまるでないからすごい訳だが。ともかく清清しいソウルポップぶりに、惚れちまいました(^^)。 こないだミラクルズを平井堅とかゴスペラーズみたいな、日本のR&Bモノとか、コーラスものの師匠的な存在である、という形容をしたが、まあ、直系と言うよりは、後のアメリカのブラコン→R&Bと来た流れの影響下、と言った方が良いのかも知れない。正直言えば、彼等がその師匠を超えようとか、師匠に近づこうとしているか、というと何とも微妙なところだから。なんか技術的方向にばかり懸命になっているというか。そっちに行ったら売れるのかも知れないけど、そういう印象。それは、たぶん、東京という街、もっと言えば邦楽産業がアーティストを追い込んで行く部分でもあるのだと思う。同じ鋳型にはめて行くというか。 具体的に言えば、ほとんどの日本のR&Bモノは、綺麗だけどハスキーさ、太さがないのでスーッと抜けて行ってしまう感じがある。のどごしがつるんとし過ぎていてコクがないというか。だから、メロディーをキチッと歌うそのテクニック、まるで曲芸のような高音展開はすごいとは思うけれど、知的冒険心に欠けるし、かと言ってプリミティブなパワーに圧倒される訳でもない。それは結局、まず音楽の中で何を描こうとしているのかがあいまいだし、内面を穴があくほど(笑)見つめないからじゃないのかなあ。商業主義の流れに身をまかせて考えないようにしてるというか...それは実は日本全体を覆っているムードと正比例しているとも言えるけれど。 歌詞なんか見ていると、たとえばニューヨークなんかに代表されるアメリカ大都市の華やかな上っ面で展開されてることになっている、ひどく表面的な世界...アメリカのヒットチャートで展開される単純な原色だけの世界への夢が殆どというか。あるいは逆にそれに疲れて極端に自然礼讃に走るとか。そういう短絡さがベースにあるから、なのかな...。うまく言えないが、ジヤケットとか、プロモクリップとか含めて、まるで鼻クソもほじくらないかのような、おならもしないかのような(汚いたとえで申し訳ないが)、微妙な人間らしさが足りないのだ。商品として整理され過ぎというか。心にまでバーコードが入ってんのかいな?みたいな...。 しかしレコード会社側の方々がこう反論するのも目に見えている。 他のアーティストもみんなそんな風にやっている 聴き手がそれを望んでいる だから、そんな人間らしさの足りない音楽にしてしまっているのは、アーティスト側やましてレコード会社ではなく、聴き手なのだ... そういう理屈だ。それも一理はある。だから私も、色んなセンス溢れる音楽を知って欲しくて色々紹介するのだが。 また、こういうこと書くと、メジャーを憎んでる、みたいな短絡的な意見にすり替える向きが必ずいるのだが、決してそうではない。たとえば、ミラクルズの所属するモータウンも最初はインディーだった訳だ。それが全米的な人気を得てメジャーとなり...そしてある段階で大事な何かを失っていた訳で。で、それをいまだにあんまり気付いてない気はする(一方、たとえばアラン・マッギーなんかはそれに気付いたからクリエイションを止めた)。 その、分かれ目が何なのかを知り、音楽における芸術性、普遍性と商業性のバランスについて再考するのはあながち無駄ではないのだ。歴史を知らなきゃ未来も見えないのだから... ...って、また長くなって来ましたね。 ともかく、 たぶん、日本人の大半がそんな原色の短絡的な世界に対して憧れている限り、この手の音楽の作り方はずっと変わらないのだろう。日本人の多くがニヒリストを気取って思考から逃げていたり、陰口は叩くが結局何も行動しない、そんな行動パターンから脱しない限り。 しかしそれは、やはり戦後日本の偏ったアメリカ追従外交がつくり出して来たメンタリティーでもあるんだろうし...。 夢を持つのは素晴らしい。しかし、その方向性について語られることは、めったにない。 その夢が、ある分かれ目に来た時にどうするのか。ホントはそっちの方が大事なんじゃなかろうか。 ...まあ、こんな話、キリがありませんけどね(^^;)。 http://www.jttk.zaq.ne.jp/penelopes/
by penelox
| 2004-11-28 22:37
| R&B/Soul
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