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すり抜けて行った音をたぐり寄せる・・・・The Desert Wolves

Watanabe's Pop Picks 187
"Love Scattered Lives" - The Desert Wolves
from the compilation "Pontification" (2000)


 いわゆるマンチェスターブームが来る寸前、87、8年ぐらいの英国インディーシーンというのは、まさに百花繚乱の様相と言うか、かなりの数のインディーレーベルが存在していて、出ているレコードの数といったら、もう大変なものだったんじゃないでしょうか。88年から一年イギリスに滞在していて非常に感じたのが、その割にというか、だからこそというか、の、流通の偏り。音楽紙に好意的レビューが載っていてもロンドンの大型店ではなかなか簡単に手に入らないレコードって、結構多かったんですよ。寒いのにわざわざラフトレードまで行くのがしんどかったというのもあります(笑)が、それでいてロンドンであれだけ探して見つからないレコードが意外と地方のレコード店にはあったりして、不思議でした。後で英国の地方バンドの人に聞いたら、自分の地元にはレコードがドバッとあるんだと(笑)。まあこれは、日本でもそういう部分はありましたけれど。

 それと、日本との評価の落差ですね。これは流通とも関係があって、つまり当時日本に入って来てたものってのは、実はずいぶん絞られていたんですよね。で、おそらくその大半は東京に流れていて、たとえば大阪、神戸でも実際はずいぶん枚数的にもアイテム的にも限られてたんでしょうね。だから、当時こういう音楽のレビューが載るといったらほぼフールズメイトだけで、実はそのレビューもかなりバイアスがかかっていた訳で、限られた情報を頼りに当たって砕けろで・・・(笑い)思えばずいぶんリスキーでしたね。もちろんイギリスでだってバイアスはかかってたでしょうけれど、日本では非常に限られたところから選ばされてるに過ぎなかったというのを、彼の国に行った時に痛感しました(同時に、本場にインディー音楽の熱心なファンが思ったほどいないのにも愕然としましたが!) だから、評価もずいぶんいい加減だったんじゃないかと・・・フールズメイトが本当に信用に足るレビューをしてたのかという点に関しては、実は今ではかなり懐疑的なんです。

 まあともかく、若さと情熱だけで音を追いかけていた時代、手が届かなかった人達に対する思い入れもまた、特別なものがあります。Ugly Manから87年に2枚のシングルを出していた彼らThe Desert Wolves(デザート・ウルヴス)もそんなひとつ。ともかく巡り合わせが悪いのか、どうしても当時は見つからなかったんですよね。この初期オレンジ・ジュースの影響が色濃いマンチェスターのバンドをリアルタイムで聴けてたらもっとよかったろうにとも思います。

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■"November"
いやあそれにしてもオレンジ・ジュースしまくってます(笑)。




■"Passion In the Afternoon"
これもオレンジ・ジュース/エドウィン・コリンズ抜きには語れない。しかし年代/世代から考えて、80年代前半は客席から観ていたのであろうと思います。その辺りが愛らしいと思えるのは同世代だからでしょう。親しい同級生たちが、出したかった音をついにたぐり寄せた。やりやがったな、という憎らしい感じですね(笑)。



The Dessert Wolves MySpace page

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by penelox | 2009-10-19 23:52 | Pop Picks


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