ベスト・オブ・コリン・モールディング (ex-XTC) 08

"Runaways"
from "English Settlement" (1982)

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 XTCのアルバムで個人的に一番好きなのはどれかと訊かれると、色んな見方が自分の中にあって、その時によって評価の基準が変る為なかなか決められない。が、一番思い入れがあるのは? と訊かれると"Black Sea"(1980)と、"English Settlement"と即座に答えられる。そのココロは、何に関しても一番色んなことを吸収しやすい10代後半から20代始めに最も夢中になって聴いた音楽で、ゆえに一番強い印象が残っているから。その頃に聴きまくった音楽は忘れないものですし、その後の自分のなかでの良い音楽の基準を作ってしまいますからね。


 私が高2の頃リリースされたこの2枚組アルバム「イングリッシュ・セトゥルメント」は、彼らの通算5枚目にあたり、"Senses Working Overtime"という彼ら唯一の全英トップ10ヒットを生み出し、またアルバム自身も全英5位まで上昇しています。アンディーの体調不良による相次ぐツアーキャンセルにより当時の第二次ブリティッシュ・インヴェイジョンの波に上手く乗れなかった不運はありましたが、まさしく最高傑作、代表作と呼ばれる作品のひとつです。


 海外では1枚に編集し直されたこのアルバム、オリジナルは全15曲とこれまでで一番の大作であり、コリンもまた4曲と、多くの楽曲を提供しています。そのアルバムの冒頭を飾るのがこの歌。





 家出がテーマ、ということになると、The Beatlesの"She's Leaving Home"を連想しますが、あちらが価値観の大転換期だった60年代という時代や曲調から、もう戻って来る気配はないのにむしろ清々しく、古いものが崩壊して行く様を冷静だが解放感を持って描いているかのように見えるのに対して、82年のこの曲はそこまで楽観的になれない、この時代なりの現実に即した写実主義を感じます。家庭内不和が原因で飛び出した子に、お父さんもお母さんも悪かったと思ってる、みんな心配しているからここへ戻っておいで・・・と、ドラマチックではないが現実的な描写が出て来ます。そんな物語が12弦ギターとトラッドっぽい素朴なメロディーに乗って英国の森から聞こえて来るというのがこの頃のXTCらしくもあり、またコリン的であるように思えます。ちなみにコリン自身は子供の頃家出をした経験はなく、至って平穏なご家庭だったそうです。でもだからこそこんな日常のありそうな一コマを紡ぐことが出来たのではないかと、曲作りの方法論で自分が共感を持っていた理由が少しわかったことにはたと気づきました。


ベルギーでのライヴのようです(音のみ)。




Oh run-a, oh run-a, oh runaways,
(Please come home)
Oh run-a, oh run-a, oh runaways
(Please come home)

Daddy hit you in a temper,
But he's sorry now,
(Please come home)
Just a quarrel had with mummy,
Just a family row
(Please come home)

You caught mum chasing dad with a knife,
(Don't cry, don't cry)
You ran away to escape from the fights,
(Don't cry, don't cry)
Now you're lost in a maze of neon light,
And she's worried,
He's worried
She's worried, oh...

Oh run-a, oh run-a, oh runaways,
(Please come home)
Oh run-a, oh run-a, oh runaways
(Please come home)

Pacing street-lamps on the highway,
Haystack for your bed
(Please come home)
In the morning we will find you,
In papers to be read
(Please come home)

You heard screams from
The warmth of your bed
(Don't cry, don't cry)
You slumbered on without being fed
(Don't cry, don't cry)
Now there's no more tears to be shed,
And she's sorry,
He's sorry,
He's sorry, oh...

Oh run-a, oh run-a, oh runaways,
(Please come home)
Oh run-a, oh run-a, oh runaways
(Please come home)


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by penelox | 2011-07-23 00:04 | New Wave


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