September Sting / The Pale Fountains

from album "...From Across the Kitchen Table"

一応アルバムの録音自体は終わったので、スタジオに散乱したメモや走り書き、トラックシート、アイデアを書いた切れ端etc...を整理。見てみると1年前に上げていた曲リストと、実際の収録曲は微妙に違う。歌詞にしても、途中で内容が変わって行ったり整理されたりで、かなりの変更があった。たとえば1曲めの歌詞なんかは全く変わってしまっている。改めて見直すと色々と面白いものだ。当初は前のアルバムのムードを引き摺ったまま録音に入っていた、というのがよくわかって興味深い。前作は後で聴くとかなりヘヴィーで、客観的に聴くとよくわからないもやもやしたムードが残っていた。今回録音している中でそれに気付き、全く違う作品にするために出来るだけフレッシュな気持ちで取り組むことを心掛けた。

だから、今回はそういうもやもやしたムードは作品には出てない。ただ11曲、キャッチーなシングルを集めた感じ...だろうか。

まだしかし気を緩める訳にはいかない。新レーべル立ち上げに際してのコンピCDに収録する曲、それに来年出したいベストアルバムのための候補曲、このへんをやらないといけないのだ。やることは山積している。こちらはアルバムを意識したものではないので、またちょっと雰囲気が違った感じにしないと。


今回のアルバムに戻ると、歌詞の内容、前に比べるとだいぶ聴いてて無茶な感じがなくなった。うまく小説風にまとめられるようになったというか。

もう20年ぐらい前の話だが、The Pale Fountainsのマイケル・へッドが、歌というのは音の付いた小説、のようなことを言っていて、ある意味凄くわかるなぁ...という気がしたのを覚えている。それでも自分の音楽を始めた頃は、そんな作り方はなかなか出来なかったのだが。

The Pale Fountainsに関しては、アルバム2枚あるけれど、どちらがより好きかと言われれば、このバンドの本質が出ているという意味でセカンド"...From Across the Kitchen Table"を選ぶ。ソフトロックの流れで聴く方からすると1st"Pacific Street"なのかも知れないけれど、その後の彼等、マイケル・ヘッドのソロやShackを 振り返っても、b0022069_20422281.gifああいう1stみたいなストリングスやホーンをふんだんに使った路線は(アンディー・ダイアグラムの加入で)偶発的、たまたまああなった、強調されただけのものであって、60'のA&Mあたりのそういうソフトロックを聴きまくってたとはとても思えない。あれはあれでもちろん当時は彼等もやりたくてやったんでしょうけれど、本質ではないでしょう。

やっぱり彼等の音楽のコアは浮遊感のあるメロディーとサイケデリックなギターサウンド。潮風が音に染み込んでいるのかと思うほどダウン・トゥー・アースな港町リヴァプール特有の暖かみと鋭いセンスの程よくバランスが取れたギターバンド、という意味ではビートルズの初期から中期の匂いもあるし、同時期(80's)のエコー&ザ・バニーメン、アイシクル・ワークスと共通する薫りもある(Icicle Worksのヒット曲"Love Is A Wonderful Colour"は、The Pale Fountainsの"Love Is Such A Beautiful Place"からインスパイアされたと、イアン・マクナブがベストCDで自らそう書いてましたね)。b0022069_20423322.gifまた、後のラーズとも共通点を感じるし、最近のコーラルやバンディッツ、ズートンズとかとも似ている。だから実に、ビートルズ以来のリヴァプール伝統の音とも言えるのだ。けれどそこに、極めて内省的かつ観察眼の効いた短編小説風の歌詞(アラン・シリトー風?)が載る。派手さはないけれど非常に趣味の良い繊細な世界-ここが(ラディズムが台頭した90'sと比べると)80's的でもあるし彼等独特で、かつ変わらないところ(ラディズムの台頭には、何か政治的な意味で恣意的、策略的なものを強く感じているのだが、これはまた後日)。

The Pale Fountainsに限らないが、その場その場の売り上げや注目度が大事なのも理解はするが、商業目的ばかりを優先した近視眼的な括り、評価を下すのはバンドが可哀想だと、最近特に思う。彼等に関してはそのへんで、かなり本質からズレた評価が散見され気になっていたもので(何も知らない若い世代の方への影響を考えると特に)、悪しからず。
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by penelox | 2005-04-17 21:01 | New Wave


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