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Triumphant / My Life Story

from album "Mornington Crescent"(1994)

12/1

ブリット・ポップ再考、続編。

Triumphant / My Life Story_b0022069_15154978.gif現在はExileinside(イグザイルインサイド)というマルチメディア・アーティストとして活動している模様のジェイク・シェリングフォードが、ブリット・ポップ期にやっていたオーケストラ主体のユニット、マイ・ライフ・ストーリーのデビューアルバム。94年リリースだから、もう11年も前の作品。

ずっと気になりつつも、聴き逃していたアーティストだが、今聴いてみると、音自体はいかにもブリットポップをオーケストラに乗せた、という印象がひときわ強い。Voはスタイルとしてはパルプなんかを思い出すベクトルで、かつロックしたくてウズウズしている感じ。ハードなギターやサンプル、シンセの渦の中で暴れまくりたい、そんな方向を声自身がまだ求めている気がする。そこにバックがオーケストラ、というのがこの時代では新しかったのかも知れない。

オーケストレーションがまた極めてオーソドックスなもので、こちらの専門じゃない人が悪さしちゃいました、みたいな邪気や悪戯心、遊び心というのはあまり感じられない。緻密な悪だくみ的オーク・ポップというより、出会いがしらの衝撃を狙ったオーク・ロックという感じ、ただし70年代からあるそういうスタイルの音楽程のマニアック度はない、という。それは回りの人々のマニアック度もあって、たとえばアラン・パーソンズみたいな人がプロデュースしたら、もっと深みと暖かみ、そして妖しさとマニアックさがバランスよく配された気がするのだが。しかしこれは偏った見方かも知れない。

どうやら最も鍵となるのは歌詞のようだ。かなりひねくれてるというか、舌を出したおフザケ、反骨心が絶えず見え隠れしていて、真面目に芸術を追求すると言うよりは、取り澄まして無茶な事をポロッと言ったりするところにパブロックにも通ずるリラックス感があり、そういう英国伝統のおフザケ感覚がブリット・ポップ時代のオーソドックスなオーケストレイションと出会った...という感じかな。もしかしたら、オーケストラの人達は何も知らされずにただ仕事をしただけなのかも知れない。あるいはシェリングフォード氏も、自分が何を歌うかは最後まで伏せてたんじゃないかな。それで、最後の歌入れでみんな笑ってしまった、とか。そんな計画的な悪戯に思えてしまう。

「諧謔の貴公子、オーケストラをバックに無茶を言い」(字余り!)


ちなみに上に挙げた曲を一番良く聴いています。ようこんな事歌うわ、って感じでニヤケてしまうのです。

シェリングフォード氏のここでの現在の活動を見ると、今の方がより自然体なのでは、という印象を受ける。
by penelox | 2005-12-01 05:15 | 90年代


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