from album "Native Sons"(1984)
現在はロック評論家、グラム・パーソンズ研究家としての顔を持ち、英国に在住してコール・ポーターズなどのバンド活動を続けているシド・グリフィン。彼が80年代に率いていたのがこのロング・ライダーズ。 彼等は、83-84年ぐらいのアメリカ西海岸のいわゆる"Paisley Underground"の動きのひとつとして紹介され、他に中心バンドとしてバングルズ、スリー・オクロック、ドリーム・シンディケート、レイン・パレード、グリーン・オン・レッドなどが挙げられていた。同様にアメリカの新しい波として、ヴァイオレント・ファムス、スポンジトーンズ、ランク・アンド・ファイル、トゥルー・ウェスト、リヴァーブス...これらを知ることでREMと共通する感覚の新しい世代が実はたくさん出て来ている事もわかったし、少し前のNYパンク、パワーポッブ、アメリカン・ニューウェーブとの関係もつながったのをよく覚えている。彼等に関しては弟がメチャクチャ好きでしてね、それでずいぶん聴いたものです。 こんな人達の中ではバーズ・リヴァイバルの最右翼とみなされた彼等だったけれど、当時聴いて、それほどバーズに似ているという印象はなかった。今考えてみれば、バーズはロックンロールに親しんでいた訳ではない人達だからこその衝突の音というか、発明から始まった感がある。もちろん徐々に完成されて行くけれど、むしろ彼等の軌跡そのものが新しいアメリカの音を作った感じがするのだ。カントリーロックの発明にしても、あらかじめ意図されていたものではなかったように思う。だから、完成度というより、実験意識が強いような気がするのだ。 それに対して、80年代に登場した彼等の音には、70年代のアメリカンロックの歴史が詰まっている。スプリングスティーンから、トム・ぺティー、同時期のジェイソン&ザ・スコーチャーズに至るまで...そのあたりの完成された、タフでパワフルなアメリカンロック的演奏-そこにパンクから得たこの時代特有のビート感覚...カウパンク、という言葉が当時あったか思い出せないけれど、少なくとも忠実にバーズを再現しました...という感じはしない、どちらかというとけたたましい音。 ではどこに彼等らしさがあるかというと、研究体質。それはバンド名であり、ルックスも含めたファッション、それに曲タイトルや歌詞なのだと思う。そのあたりに鏤めた大学ロック研究会的な感覚(悪い意味ではない。逆に知的とさえ言える)が、逆に叩き上げ好きなアメリカではあまり受けず、ルーツロック研究体質の濃いイギリスでは評価されたのは非常によくわかる気がする。 この曲は"I Had A Dream"なんてタイトルだから、キング牧師を一瞬連想したりするが、その後に"Last NIght"なんて続くから、あれっ、エレクトリック・プルーンズか?となって、60'sのガレージパンク/サイケも思い出したりする。そのへんのミックス具合というか、色んなところから引用して来て自分たちの音を作ろうとしている姿勢が、日本人としては共感できる部分でもあった。 バーズを思い出すよりも、その後のカレッジ系のカントリーロック、リプレイスメンツとか、あるいはオルタナ・カントリーと称される音楽の先駆者として見た方がわかりやすい人達。 こちらに日本語によるとても詳細なグリフィン氏のサイト(勝手にリンクして申し訳ありません)があります。ぜひ御覧下さい。
by penelox
| 2005-12-08 23:59
| New Wave
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