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It's Immaterial / Driving Away From Home

(mixi日記7/15(2)より)

 80年代リヴァプール・ポップ...こう括っても実に様々なバンドがいるのですが、このバンドもまた別の世界を見せてくれた人達でした。リヴァプールという扉を開けると、さらに中には色んな扉があったということです。

"Driving Away From Home"



 イッツ・イマテリアルは、ジョン・キャンベル(Vo)、ジャーヴィス・ホワイトヘッド(G/Kb)からなる二人組。場合によっては元メンバーであり元ヨッツ、のちクリスチャンズを結成するヘンリー・プリーストマン(Kb)が加わるという形態。Voのキャンベルも元ヨッツのボーカリストであり、いわばヨッツのソングライティングの核がここに集ったとも言える。ちなみにこのPVで車に同乗する赤毛の男がプリーストマン。

 Yachts(ヨッツ)は、もともと77年のエルヴィス・コステロのリヴァプール公演の前座でデビューしたバンドで、スティッフと契約しシングルをリリース。その後、(おそらくコステロ関係者の手引きで)彼の所属するレーダーと契約、その後2枚のアルバムをリリースしている。

 ここでの彼等の音楽性は、オルガンを中心とした、コステロの2ndアルバム"This Year's Model"にも似たひねりの効いたパワーポップ。が、キャンベルのVoは荒々しいものではなく、のびやかで豊かな声量のタイプだったので、イッツ・イマテリアルで展開する感情を抑えた大人っぽい音楽の方が合っていると思う。

 解散後、キャンベルとプリーストマンが81年にこのイッツ・イマテリアルを結成したらしいのだが、アルバムデビュー段階ではプリーストマンは既に脱退、クリスチャンズのフルタイムメンバーとなっていた模様。それでも色々手伝っているところを見ると(ふたつのバンドが使っていたスタジオは、同じピート・ワイリー関係のスタジオで、顔を合わせることも多かったのでしょう)まあ、イッツ・イマテリアル自体、もともとが緩やかなプロジェクトだったのだろう。

 彼等は、85年にこの曲を含むデビューアルバム"Life's Hard and Then You Die"(このタイトルにはノックアウトされた)、90年に"Song"という2ndアルバムをリリースしていますが、その後は不明。グラスゴーのブルーナイルの1stとともに、当時大変愛聴したのがこの1stアルバムでした。

 85年ぐらいから、こういう抑えた音楽、英国的解釈のAORと言ってもいいですが、そういうものがNew Wave勢から結構出始める訳です。これがまた私にとってはたまらなかった。音楽を比喩として捉える時、この音世界の向こうに一体何があるのか...さらに一生懸命追いかけることとなった私、20才の秋でした。

ここにファンサイトがありました。
by penelox | 2006-07-15 23:59 | New Wave


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