"Summerdew Avenue" 全曲解説 - "Magic"

(Track 03 - from album "Summerdew Avenue" by The Penelopes)

 "Magic"はある種、人類へ宛てた手紙と言ってもいいかも知れませんね。

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 そもそもは、いつもアタマから離れないこと- アメリカ的なるものへの、一方では愛情や憧れと、もう一方ではそうやって惹かれて行くことへの警戒と、両方に引き裂かれた自分の心、戦後の日本で生まれ育った自分自身の心を問い直すところから始まったのです。それは、The Penelopesの音楽の中にずっとあるテーマであり、おそらく第二次世界大戦後の世界でアメリカ以外の国(特に西側先進国)で生まれ育ち、アメリカに代表される大量消費文明の影響にドップリ浸かって来た人間なら多少なりともアタマを過るテーマだとは思うのです。それをどう整理するかに関して、今回は曲と歌詞をかなり意図的に分けてみたかったんですね。それで結果どうなるかをみてみたかったと言いますか。で、歌詞に関しては、当時のある大きなトピックに影響されて行きました。それは、あのイラク戦争です。その影響で、さらに曲と歌詞が大きく乖離した感はあります。

b0022069_2333611.jpg この曲の歌詞のアイデアが湧いて来て、完成まで行った時期は、2003年後半から2005年初めまでの間の事ですので、その頃の国際情勢を考えてみればその意図はわかりやすいかと思います。つまり、この曲は、2001年9月11日のテロとそれに続くアメリカによるアフガン侵攻、そして2003年3月にはイラク戦争...と、ちょうど日本もその戦争ムードに包まれ(12月に自衛隊派遣が開始されます)、これ幸いにと勇ましい論調がメディアを占拠して行った、そんな風潮を横目に見ながら書かれたものでした。

 21世紀になってもますます、戦争という暴力による解決(実際解決などはしない)に走ってしまう...これは本当に悲しい事でした。でも考えてみれば、人類は有史以ずっと、嫌になるほど殺し合いを続けて来た訳で、もしかしたらこれが本能なんじゃないかと、悲しい結論さえ頭に浮かんだりします。そんな、いつまで経っても過去から学ばない、そして想像力が足りない、人間という生き物を思うだに、逆にこの地球という星がこれでもまだ存在していることこそ魔法じゃないのか、と、そう思い至ったんですね。

We do live in magic we don't know,
in the world so tragic, black and white

我々はまさに(我々の知らない)魔法の中で生きている。
悲劇的な、アナクロ(白黒)の世界で...

 白黒というのは、古臭い、というのもありますが、実際は灰色の妥協でとりあえずの決着をさせるしかない現実を、白黒付けられると信じている短絡性(たとえば「悪の枢軸」。政治家が「悪」なんて単純な言葉でレッテル貼りをする時ほど用心しないといけないという事を、どれだけの人間がわかっているのでしょうか)も指しています。b0022069_23471930.gif思うに、ひとりひとりの中にあるそういう、何でも(たとえば正義と悪という具合に)二元論で単純化したり、政治というものをヒロイックな陶酔感とすぐ結びつけたりするそんな、短絡性、暴力性、全体主義的性向をコントロールする術をなんとか身につけないと、これからも人類は戦争を続けるんじゃないかと思うんですよ。それを食い止めるには、とにかく立ち止まってよく考える事、相手の立場に立って考える事-つまりは想像力を使う事...そんなことを思い、歌詞に鏤めて行った訳です。そんな風に出来るのもまた、人間という生き物の魔法じゃないかと、期待を込めて...。

 で、曲自体はそれに反するように、私が非常に影響を受けた、いわゆるモータウン的な快活なリズムと、のちに日本ではソフトロックと称されたようなアメリカンポップ...要するに、まだ大量消費社会としてのアメリカが美しく輝いていた60年代への讃歌を表現しているつもりです。でも考えてみれば、そんなキラキラと輝いている音楽が流れていた60年代だって、実際はベトナム戦争のさなかだったんですよね。


もっと平和を!

War never gets you soul

戦争で、魂(ソウル)など得られない...


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by penelox | 2006-12-26 23:59 | The Penelopes関連


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