■This Is London - The Times (1983/2006年再発)
60'sブリティッシュポップをこよなく愛する80's英国育ちにはたまらないアルバム。前に90年代の作品を聴いてピンと来なかったのだが、この頃のはやはり、実にシックリ来る! 作家性が強く、コンセプチュアルなのも私好み。言ってみれば、アタマをフル回転させたというか、知性によって制御され、それでいてエネルギーをしっかり備えたビートポップなんですね。80年代初め特有の、新しいことをやってやるのだという清冽な気概がひたすら眩しい。"Whatever Happened To Thamesbeat?"に涙。ライナーノーツに中心人物エドワード・ボール氏の興味深い記述がある。
「ヒッピーを憎んでるのか? いや、ホントはそうじゃない。憎しみに値するものは社会のはるかに大きなところにある。純粋な意味でのパンクは純粋な意味でのヒッピーイズムが形を変えたものなんだ。ヒッピーのバスはまさに「あっち」へ行ってしまったと思うけれど、パンクはどこへも進んで行かなかった」
なるほど。彼がマンチェの頃何故ドラッグカルチャーに関わって行ったのか、わかったような気もする。ヒッピーイズムの新たな(より知性、広い視野とオープンな姿勢を持った)展開として期待したのかな。まぁ、とは言いつつもハウス時代のタイムスの音楽の方が遥かに良かった、とは思わないけれど。このあたりは、また聴いてわかることもあるかと思う。ともかく改めて思うのは、80年代にこういう音楽に触れていると、90年代のブリットポップに違和感を感じるのは仕方ないことなのかなということ。