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Ugly Beautiful - Babybird (1996)

 名前だけは知っていたがはじめて聴いた。呟く時のU2のボノに少し似た歌唱法で冒頭から英国らしいメロディーを柔らかく紡いで行く。01にはチャンスが与えられず消えて行った87年頃のたくさんの英国ギターポップバンドを思わせる要素がたっぷりあって、懐かしさというか、何かデジャブに襲われるというか、せつなさに身体を捩ってしまう(苦笑)。どのバンドに似てる、と言われると難しいけれど、07"You're Gorgeous"もそんなことを思わせる名曲(歌詞はDVや恋人間の暴力を想起させるもの。このあたりのギャップはスミスっぽい)。聴き進めるともちろんそれだけではなくて、その後の音楽的要素も加味されていて、02はマンチェなリズム、03にはそこに96年当時のブリットポップぽさも加わって来る。もちろんその流行のなかで注目されたのだろうけれど、常日頃ブリットポップには偏った評価を下してしまいがちの私のような人間には、あの動きがこういう良質なポップロックの浮上するチャンスを与えたという視点も改めて気付かせてもらえたのは良かったと思う。時折エキセントリックさが顔を出すこのアルバム、スリーブやタイトルの人を食ったようなとぼけた感じに相反するような歌詞の内向的重さはしかし、音楽全体のイメージを極端に変えるほど激しくは表れない。その結果、意外にオーソドックスで素朴な印象に留まる。これも英国の音楽らしいかも知れない。英国流の毒気が、さりげなく脈打っているといった趣。調べてみるとバンドというよりはスティーヴン・ジョーンズ氏によるソロプロジェクトらしく、4トラックでのホームレコーディング時代からこのアルバムに至るまでには結構長いキャリアがあったようだ。看板ほど派手さはないが今後も愛聴しそうな作品。
by penelox | 2008-03-06 00:09 | CD備忘録


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