H.M.S. Fable - Shack (1999)

 リヴァプールの至宝、元ペイル・ファウンテンズのマイケル・へッド率いるシャックの(長くお蔵入りになっていたアルバム"Waterpistol"を含めるとおそらく)通算3枚目、実質的には再編と言ってもいいぐらい、実に久々だったアルバム。

 これが出た当時は、かつてのネオアコースティックへのノスタルジーを持つ世代の音楽ライターを中心に結構話題になっていた。私にしてもリアルタイム世代だから、一曲目の"Natalies's Party"はその頃PVに触れ、やはり懐かしさに見入ってしまったのを覚えている(「おお、マイケル・へッドが動いている!」といった類いのもの)。しかし冷静に考えてみれば、当時(99年)でも彼等のことをリアルタイムで知る世代は現役のロックファンのなかでは既に少数派であったはずで、ブリットポップや野外フェスで音楽的アイデンティティーを形成した世代に受け入れられそうな要素がかなりあったからこそあれだけ話題になったのだなと、改めてじっくり聴き、感じ入る。80年代前半/半ばのペイル・ファウンテンズの頃とくらべると、ずいぶん(当時なりの)当世風ぽくなったというか、90年代におけるオアシスの世界的成功の影響なのだろうけれど、英国北部ワーキングクラスとしての意識の表出と思われる要素がずいぶん強まったことが感じられる作品なのだ。もちろんあのマイケル・へッドの持ち味である繊細なソングライティングや彼の音楽らしいアレンジもところどころうかがえるのだが、歌い方やメロディーにダイナミックさや野郎っぽさがずいぶんのして来ている。分厚くなった音像を聴きながら、時代の経過を考えれば自然なことなのだろうとは思う。思うけれど、その当世風な部分にはもうひとつ惹かれないのもまた事実であったりもする。非常に身勝手なことに、あの若さゆえの頼り無さ、か細さをどこかで切望していたりするのだ。ストランズでの穏やかな夢幻感覚がペイル・ファウンテンズの1st "Pacific Street"のある意味発展形だったから、シャックは2ndの"...From Across the Kitchen Table"的ギターサウンドの流れを汲むと考えればいいのだろうか。自然に受け止められるには、もう少し聴き込みが必要かも知れない。シャックの1st "Zilch"もまた手かがりになるかも知れない。いずれにせよ、思春期に出会ったアーティストの音楽には、様々な思いが去来する。
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by penelox | 2008-03-29 10:51 | CD備忘録


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