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カテゴリ:80年代( 5 )

スコット・ウォーカーに恋して・・・



 mixiの方に昨日公開した、The Cleaners From Venusの"In Love With Scott Walker"という歌についての記事です。以下はmixiよりほぼそのまま転載したものです。

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 クリーナーズ・フロム・ヴィーナスという、素晴らしく英国的なポップロックを奏でるグルーブがあります。率いるのは10/18の日記で書いた、ワンマン・XTCとも異名を取る(?)マーティン・ニューウェル氏。事実上彼のプロジェクトでもあるこのバンドは、90年代に彼がソロアーティストとしてリリースを重ねて行く間、いわば休止状態にあったようですが、最近またこの名義でのリリースが再開されたようで、それもまた触れるのがとっても楽しみ。繊細かつ英国の牧歌的香りが漂って来る彼の音楽は、いつも心をリフレッシュさせてくれる存在であり、自分が進もうとする指針の一つであり、そして永遠の憧れでもあります。


 実はこの名義での曲に、"In Love With Scott Walker"(「スコット・ウォーカーに恋して」)という作品があります。私も割と最近知ったのですが、実に良い歌なのです。今回は、マイミク様のご要望にお応えしまして、ニューウェル氏ご本人からその方に送られて来た歌詞を元に、和訳などという大それた事をする機会を有り難くもいただきました。


 恐縮してしまうのは、何しろニューウェル氏は、現役の詩人/作家としてのほうがよく知られる方だということ。wikiによれば、The Sunday Express紙にコラムを持ち、現在East Anglian Daily Timesにも毎週書いていて、このコラムで今年1月にはコラムニスト・オブ・イヤーをThe EDF/ East of England Media Awardsでもらってるような、そんな人なのです。


 ですので、そういう現役の英国詩人の方の味わい深い詩の世界を読ませていただくだけでも幸せなのに、それをまた訳すというのは、一方で実に興味深く面白いことでもあり、また大変気恥ずかしいことでもありましたが・・・


 ともあれ、曲を聴きながら、少しでも彼の描く世界に触れるお手伝いが出来ましたら幸せです。

では、どうぞ。


"She's In Love With Scott Walker” by The Cleaners From Venus




There she is, I'm sure you've caught her
Sipping at her mineral water
Where the autumn light had sought her
She's in love with Scott Walker

Older now, I think you'll find her
Beautiful, though time's behind her
Now she's got a grown-up daughter
She's in love with Scott Walker

  Down she sways
  All her misty days
  She was a good-looking girl
  For a rainy time


High up in her flat I've seen her
Hears the songs and thinks they mean her
Talking with the window cleaner
Lets him call her Marina

  Down she sways
  All her misty days
  She was a good-looking girl
  For a rainy time

Once, when she was drunk, I caught her
Swearing like a Smithfield porter
She's no better than she oughta
She's in love with Scott Walker

Goodbye Marina
From your window cleaner
Goodbye goodbye
And please don't cry
Good bye bye bye bye bye
bye bye bye bye....


「スコット・ウォーカーに恋して」

ほら彼女だ 見えるよね
秋の光が彼女を探し求めていた場所で
ミネラルウォーターを口にしてる彼女が
彼女 スコット・ウォーカーに恋してるんだ

今では年を取り 君にもわかるだろうが
美しい彼女にも時間の経過が忍び寄ってる

今ではもう大人になった娘がいる彼女
彼女 スコット・ウォーカーに恋してるんだ

*ゆらゆらと
おぼろげな日々へと揺れ落ちて行く彼女
彼女 素敵な女の子だったんだよ
雨の時にピッタリの

彼女の高層フラットで彼女に逢ったことがあった
ウォーカーの歌を聴きながら彼女 窓拭き掃除夫と会話するつもりなんだ
彼に自分のことをマリーナと呼ばせようってね

*

前に酔っぱらった時 
彼女 スミスフィールドのポーターみたいに毒づいてたっけ
そうあるべきほど良い女なんかじゃない彼女
彼女 スコット・ウォーカーに恋してるんだ

さようならマリーナ
君の窓拭き掃除夫より
さようなら さようなら
どうか泣かないで
さようなら・・・



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如何でしょうか。彼の詩世界が広がるお手伝いは出来ましたでしょうか?
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by penelox | 2010-11-09 10:22 | 80年代

Waking Up With The Sun / The Adult Net

from album "The Honey Tangle"(1989)

4/27

(mixi日記より)

C88? (part 3)

New Waveが切り開いた大地に咲いた、カラフルな花々。
88/89年に登場した男女混合/女性バンド、第3回です。

07: "Waking Up WIth The Sun" The Adult Net(1989)

b0022069_15114974.gifマーク・E・スミス(フォール)の元奥様にしてフォールのメンバーでもあったアメリカ人、ブリックス・スミスによるユニットは、その出自を全くイメージさせない古き良きガールズポップを80年代英国北部で甦らせた感じ。クレイグ・ギヤノン、ジェームス・エラー、クレム・バークなど、バックアップも豪華、儚げなVoがまた美味でした。

08: "America Blue" His Latest Flame(1989)

Sophisticated Boom Boomから発展したグラスゴーの女性バンド。アルバムはこの1枚のみリリースの模様。快活なポップロックですが、フォーク、パンクに通ずるプロテスト的な要素も強く受け継がれていて、むしろ90年代に花開くタイプの音楽をやっていたという意味で、少し早過ぎた人達だったのかも。

09: "Perfect" Fairground Attraction(1988)

ビジュアルも含め、ここで取り上げている人達では日本で一番ブレイクしたと思われるスコットランドの人達。ノスタルジックでトラッド風味のあるバスキングぽい(しかし非常に完成された)ポップをやっていました。 エディー・リーダーのビジュアルは、今で言うメガネっ娘のルーツ?(そんな訳ないか^ ^;)
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by penelox | 2006-04-27 23:59 | 80年代

Lights Out/Read My Lips / The Katydids

from album "The Katydids"(1989)

4/21

(mixi日記より)

C88? (part 2)

ちょっと時間が経ってしまい、申し訳ないです。
88年頃にたくさん出て来た、女性Voをフィーチャーしたバンド達、続編です。

04: "Baby I Don't Care" Transvision Vamp(1989)

今聴くとデジタル・パンクなアレンジのよく出来たポップロックぶりに驚き。ウェンディー・ジェームスのソロはエルヴィス・コステロ書き下ろしでした(でもどこかに行ってしまって未確認...)。

05: "I Walk The Earth" The Voice Of The Beehive(1988)

60年代カリフォルニアのコーラスグループ、フォー・プレップスのブルース・ベラードの娘ふたりがロンドンで結成。元気一杯のバーストポップでした。ドラマーはマッドネスのダニエル・ウッドゲイト。

06: "Lights Out/Read My Lips" The Katydids(1989)

b0022069_1541538.gif日米ハーフのスージー・ハグが英国で結成、ニック・ロウプロデュースによるエバーグリーンなポップロック。はすっぱさ無し、少し大人の味わい。2枚で終わったのがとても残念。 個人的にはKatydidsみたいなプロジェクトをやりたいなと思っていて、ずっとアイデアを温めたままになってます。





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Katydidsのスージー・ハグみたいなボーカリスト、どこかにいないものだろうか。
少女の様な高音Voじゃなくて、穏やかで落ち着いた大人っぽい声の人。
そういう声にはホント惹かれます。
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by penelox | 2006-04-21 23:59 | 80年代

Crash / The Primitives

from album "Lovely"(1988)

3/27

(3/26のmixi日記より)

C88? (part 1)

もちろんそんな言葉、ないんですけれどね。
C86、つまりNMEが作った"Class 86"(86年組)という括りが80年代半ばから後半当時の英国インディーポップを区切る代表的キーワードだった訳です。大雑把に言えば、New Wave後半の動き、「ネオアコースティック」的音楽に限ればその後の「ギターポップ」を総称した言い方、と言えるでしょうか。

でも、今振り返ると、C88、っていう区切りも出来た気がするんですよ、インディーに限らず、この年前後から一気に出て来た、女性をフロントに立てたバンドの動きをあえて括れば。 今でこそこういうバンドは特別珍しくはないのですが、この時期にいきなり増えたんですよ。その事を今さらながら思い出してみました。

01: "Crash" The Primitives(1988)(左)

オーストラリア出身のトレイシー・トレイシー嬢をフロントに立てた、究極にスタイリッシュなギターポップ。 ガールズギターポップ制共和国の規範的な音楽。

02: "Burst" The Darling Buds(1988)(真ん中)

人工甘味料多め、作り込み風のプリミティヴズと並べると、メインキャラのアンドレア嬢の素朴さがよくわかる、ウェールズ出身、ドライヴィン・ギターポップ。
こちらで彼等の音、ご確認下さい("Burst"はないみたいですが)。


03: "Birthday" The Sugarcubes(1988)

全くもって個性的な味わい。もちろんあのビョークがいたバンドです。アイスランドと都はるみは相性が良いのか...とか思った22才の夏。

(続く)

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思うに88,89年頃に沢山の才能ある女性Vo/アーティストが出て来たというのは、実は偶然ではない気がする。
70年代以降の女性アーティストの表現の多様化がベースにあるのはもちろんだけれど、自分とだいたい同世代にあたるこの人達、何より子供時代に幸せで豊かな音楽体験をしているのが大きいと思う。それは、お金があった、ということではなくて、子供時代に流れていたポップミュージックが本当に音楽的、芸術的にに豊かだったということ。ロックをたくさん聴いた、というよりも、クラシックや映画音楽、TVの音楽を含め、職人的技術がまだ大事にされていた頃の、しっかりした構成と豊かなアレンジの音楽を、デジタルの刺さるような音ではなく、アナログのまろやかな音でもって楽しむことが出来た時代に幼少期を送った...そのことが、自分の経験からもよくわかるからだ。80年代後半以降などとは、幼児の置かれている音楽環境はまるで違ったということである。

ロックとして一般的にイメージされる事をやっているくせに、とお叱りも受けるのも覚悟で書けば、うるさくて暴力的な音楽、というものから幼い耳は守られるべきだと思う。刺さるような音、心の混乱をそのまま映したかのようなギターノイズは、思春期の青少年が必要とするのは良いとしても、あまりに幼い頃だと恐らく耳を(もっと言うと脳を)破壊するように思えてならない。

優しく、温かい音楽。これがまず幼少時のベースにあるべきで、うるさい音楽、攻撃的な音楽は思春期にでもなって聴きたければ聴けば良いのだと思う。これは、近頃色んな子を見ていて確信になりつつある印象だ。

子供の頃は、まず人間どうしの信頼感や自然(周囲)との一体感、それがコミュニケーションの前提として、音でも絵でもその中に匂わせる方が良い。それが、無意識下に心の安定感、バランスのとれた情緒を形成するのだと思う。もちろんそれは、家族や、もっと言えば社会そのものが子供に対してそんな空気を形成してるのが重要なのだけれど。それにそもそも近頃では、大の大人の幼児化が著しいため、とてもそんな話にまで及ばないのだろうが。

このへんのアーティストは、色々な作風の違いはあっても、結局根源的なポップさ(=幸福感)が一貫してある。これは、真に無意識下に温かみのある音楽体験が蓄積されている結果じゃないだろうか。暴力的なギターやうるさいデジタルサウンドに子供時代を壊されていなかった、60年代末から70年代前半の幸福な音楽体験があればこそではないかと。それを思うだに、90年代に最初の音楽体験をした子供達の、何と不幸なことか。
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by penelox | 2006-03-27 23:59 | 80年代

I'm Gonna Prove It / Randy Van Warmer

from album "Terraform"

ああ、鬼の様に忙しい・・・。

しかしそういう時ほど、手軽なCDではなく、アナログのレコードをかけてしまう。それも、たまにしか聴かないものを。そして、ハマってしまう・・・。

どういう訳か急に聴きたくなってかけたこのレコード。80年のアルバム。
ランディー・ヴァン・ウォーマーは、イギリス育ちのアメリカ人シンガーソングライター。パンク/New Wave吹き荒れるイギリスでのデビューは避け、AOR的音楽が主流であったアメリカを中心に活動を開始。

日本では特にデビューアルバム"Warmer"からの"Just When I Needed You Most"(邦題「アメリカン・モーニング」)で有名であった。たぶん皆様も耳にしたことはある筈。アメリカン・ポップの王道を行くその穏やかで爽やかな曲ゆえ、いわゆるAOR、西海岸サウンドの人として認知されているが、79年のそのデビューアルバムの時から、実際はインタビューではニューウェーブへの興味を示していた。この"Terraform"はその指向性が結構出ていて、上の曲は、いかに当時のコステロやアメリカン・パワーポップの波が全米各地に飛び火していたかを如実に示す出来。メロウなバラードと、元気一杯の、(多少モッチャリめ?の)アメリカンNew Wave風ポップロックの合わせ技という感じが、なかなか当時らしくて面白い。声質的に、若干無理している感じもある(とっても優しく繊細な声だから)が、どの曲も職業ソングライター的な上手さがあり、非常によく出来ている。

・・・と聴いていて、最近の活動をネットで調べてみたのだが、ちょっとビックリしてしまった。

なんと、Van Warmer氏、亡くなっていたのだ。しかもつい数日前のことである・・・。

虫の知らせ?? まさかね・・・。しかしこういうことって、私自身よくあるのだ。

なんでも白血病との闘病生活の末とのこと。御冥福をお祈りいたします。



http://www.jttk.zaq.ne.jp/penelopes/
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by penelox | 2005-01-18 23:23 | 80年代