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「怪獣な日々 わたしの円谷英二100年」 (実相寺昭雄・著/ちくま文庫)

4/29

あまりにボリューム満点な内容のため、数カ月前に読了も、咀嚼し切れず再度読み始めたこの本。

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TBSのディレクターを経て「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」といった円谷プロが誇る特撮ドラマに監督として参加、数々の意欲作を残した実相寺昭雄氏の、30数年に渡って数多くの雑誌に散らばっていた「ウルトラマン」「特撮」を巡る様々な随想をひとつにまとめた貴重な本。

印象に残った言葉をいくつか。

近頃、よく映画を志す学生たちに、
「ウルトラマンのような子供向け番組のとき、特別に何か意識をしましたか?」
といった質問を受ける。
考えてみると、ツブちゃん(円谷一: 円谷英二の長男にして当時円谷プロ代表、監督。昭和48年に逝去)と一緒になってあのシリーズをつくっていたとき、スタッフは大人の立場から、子供向けということを意識していなかったように思える。むしろ、あの番組を
つくっていたのは、ツブちゃんを筆頭に、みんな子供だったのだ。みんな少年の心を持ち合わせていたスタッフのあつまりだった、という気がする。
だから、ぼくは、
「あの番組は、子供たちが大人向けにつくった作品なんじゃないかな」
こう答えるようにしている。だから、独特の魅力が匂っているんじゃないだろうか。
(「ちくま」1988年4月号)

「...とにかく、毎週1回新しい怪獣を作ってウルトラマンと闘わせていったエネルギーはたいへんなものだったと思うね。ただし、山場の格闘技でウルトラマンが宇宙人や怪獣を倒す姿に、いつしか金城(哲夫: ウルトラマンを作った中心人物。昭和51年逝去)はふとコントロールのきかない恐ろしさも感じたんじゃないかな。夢を託すのはずのものが、いつの間にか夢にならなくなっていってしまった。...自然破壊や生態系の崩壊から生まれる怪獣たちとはちがって、なんといってもウルトラマンには四十年代の高度成長、巨大開発プロジェクトの尖兵という面もあったからね」(佐々木守: 大島渚率いる「創造社」出身、「ウルトラマン」をはじめとする特撮に数多くの名作を残した脚本家、2006年2月逝去)

内地と沖縄のはざまで身を引き裂かれていた金城哲夫にとって、ウルトラマンは不肖の子だったのか。ウルトラマンなる大ヒーローを飼育したことで、彼は大きな疲れを背負ってしまったのだろうか。

...ウルトラマン。
本籍地、沖縄。
やはり、私はこう記入したい。
(「潮」1982年6月号)

日本の特撮は遅れているとか、コンピューターの導入が必要だ、と言う手合いもいるが、見当外れの論だと思う。私はコンピューターで暴れる「ゴジラ」なぞ、見たくはない。

明治三十四年生まれの(円谷)英二少年が、徳川大尉のモーリス・ファールマンに憧れ、活動写真に、映写機のメカニズムに憧れたように、昭和の少年だった私も、こよなくメカニックなフォルムへ憧れを抱いた。
九七式大艇もそうだ、あじあ号も然り....スツーカに、メッサーシュミットに、スピットファイヤに...

戦後、というより、東京オリンピックや高度成長時代の少年には、到底考えられないフェティシズムが存在していたのである。

...特撮は、フェティシズムを肥しとしている大正のおじさん、昭和の少年たちのものである。へちまな奴に渡せるものか。

(「円谷英二の映像世界」1983年)


実際のところ、彼は「ウルトラ」シリーズにおける主戦投手、本格派のエースというよりも、目先を変える変則モーションの技巧派、変化球投手であり、ところどころに彼の作品があることがシリーズ全体のバラエティーに大いに貢献している...どちらかといえばそんな役割という印象が強い。
そんな異能派監督が、一番「ウルトラ」に関わる文章を、しかも思い入れを持って残しているように思えるのは興味深い。
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by penelox | 2006-04-29 23:59 |

Waking Up With The Sun / The Adult Net

from album "The Honey Tangle"(1989)

4/27

(mixi日記より)

C88? (part 3)

New Waveが切り開いた大地に咲いた、カラフルな花々。
88/89年に登場した男女混合/女性バンド、第3回です。

07: "Waking Up WIth The Sun" The Adult Net(1989)

b0022069_15114974.gifマーク・E・スミス(フォール)の元奥様にしてフォールのメンバーでもあったアメリカ人、ブリックス・スミスによるユニットは、その出自を全くイメージさせない古き良きガールズポップを80年代英国北部で甦らせた感じ。クレイグ・ギヤノン、ジェームス・エラー、クレム・バークなど、バックアップも豪華、儚げなVoがまた美味でした。

08: "America Blue" His Latest Flame(1989)

Sophisticated Boom Boomから発展したグラスゴーの女性バンド。アルバムはこの1枚のみリリースの模様。快活なポップロックですが、フォーク、パンクに通ずるプロテスト的な要素も強く受け継がれていて、むしろ90年代に花開くタイプの音楽をやっていたという意味で、少し早過ぎた人達だったのかも。

09: "Perfect" Fairground Attraction(1988)

ビジュアルも含め、ここで取り上げている人達では日本で一番ブレイクしたと思われるスコットランドの人達。ノスタルジックでトラッド風味のあるバスキングぽい(しかし非常に完成された)ポップをやっていました。 エディー・リーダーのビジュアルは、今で言うメガネっ娘のルーツ?(そんな訳ないか^ ^;)
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by penelox | 2006-04-27 23:59 | 80年代

I Hang On To My Vertigo / Rupert Hine

4/25

The Penelopesのニューアルバム、発売日は9月15日で行くことになりそう。

まぁ結局、ちょうど前作(2003年9月30日発売)から3年ぶりぐらいのリリースということになってしまった。その前作も4年ぶりだったから、とても良いペースとは言えないのだけれど、自腹を切ってやっているし、生きていくためにあれやこれやとやる事があって、どうしてもこうなってしまう。

コンピ用の曲"Trick Of The Light"、ギターやキーボードのアレンジをああでもないこうでもないといじる。こないだ録音したVoは思ったほどヒドくなかった。素晴らしいとは思わないが、少なくとも楽曲の邪魔はしてないかなと思う。


物凄い力量、とは言えないボーカリストでも、曲の中で役割をちゃんと果たしているタイプ、という人がいる。そういう人は、だいたい基本的にはソングライターで、楽器演奏を複数こなす。そして、アレンジや歌詞に格別豊かなイマジネーションが宿っている。全体を見る、プロデューサーとしての力量がある人だ。音楽を映画にたとえれば、ただの俳優というより、自作自演の監督といった趣きであろうか。

アプローチ的には自分はそうありたい...というよりそれしかないだろう。生まれついてのボーカリストなんてのからは100万光年離れたところにいる人間なのだから。

b0022069_055759.gifこのルパート・ハインなどはまさに、そういうタイプ。
この人の場合、基本的に歌詞をジャネット・オブストイという作詞家/映像作家に任せていて、一際そういうニュアンスが強い。

プログレッシブ・ロックを通過した人のNew Wave、という感覚、これは少し前のモダン・ポップともクロスするところがあるのだけれど、知的な大人のエレクトロポップ、というとわかりやすいかも知れない。

ハワード・ジョーンズやフィクスのプロデューサーということもあり、特にフィクスの最初の3枚に似ているところは多いかも。
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by penelox | 2006-04-25 23:59 | New Wave

生意気 東京下町青春記 (大橋巨泉・著/三天書房)

4/24

いつも月曜日は必ず「週刊現代」をチェックしているのだが、その目的は、おもに大橋巨泉氏の「内憂外歓」というコラムを読むため。殆どそれだけ(それ以外のページも一応読むけれど、正直あまり面白くない)が愉しみだったのに、なんと今回で突然終了とのこと。どうやら新編集長の非礼(非常識)にお怒りのご様子。
この年代の方なら当然そう思うだろう、大事な事でも何でもメールで済ませるなんてのは論外なのだ。私もそう思うが、今の世の中、そうなってないのも事実。

最近入手した本「生意気 東京下町青春記」(彼の高校時代の日記)を読んでいたところということもあり、昭和ヒトケタ、戦中世代ならではの視点が眩しい同コラムを、興味深く読んでいたので、終わってしまうのは非常に残念。どこか別の雑誌で継続していただきたいもの。

こちらがその巨泉氏の高校2年から数年の日記である「生意気 東京下町青春記」(大橋巨泉・著/三天書房)。
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戦後まもなく、昭和20年代(1950年代)の東京の私立高校生 - 10歳頃に戦争が終わり、大人たちがそれまで言っていた事を撤回したという、子供にとっては何を信じていいのかわからなくなった混乱に満ちた時代、そしてそれゆえに冷静な観察眼と、権威、権力への盲信を懐疑する姿勢を若いうちに育む環境であっただろう時代-に思春期を送った著者の、現在の有り様の原点がわかる本です。

子供の頃はなんかエラそうな、ギャンブル好きな巨人ファンの司会者、というイメージしかなく(失礼!)、高校ぐらいになって11PMで結構反戦などの真剣な番組もやったりしているのを観て、イメージが変わって行ったのですが、こうして見ると実はある部分、ストイックなまでにブレてない気がした。しかしそれはまた、戦後を駆け抜けて来た昭和ヒトケタ世代らしいとも言えるのですが。

そして、今の高校生とは知的な意味ではケタが違うという感も。喫煙、酒、パチンコにのめりこみつつも、16,7でジャズ、歌舞伎、映画に精通し、早くも評論風の日記をつけていたり、俳句の同人にも加わっていたり。私の両親も若い頃、俳句は日常に自然とあったようだし、これはやはり時代ということもあるのかも知れないけれど、それにしても多趣味、そしてセンスが良いです。逆に、現代の日本人がこんなに悪趣味(露悪趣味、偽悪趣味)で、知性/品性嫌悪になったのは、いつからなんだろうと思ってしまう。

大橋巨泉氏についてよく知らない方、あまり知らないままで決まったイメージで見ている方は必読。
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by penelox | 2006-04-24 23:59 |

Lights Out/Read My Lips / The Katydids

from album "The Katydids"(1989)

4/21

(mixi日記より)

C88? (part 2)

ちょっと時間が経ってしまい、申し訳ないです。
88年頃にたくさん出て来た、女性Voをフィーチャーしたバンド達、続編です。

04: "Baby I Don't Care" Transvision Vamp(1989)

今聴くとデジタル・パンクなアレンジのよく出来たポップロックぶりに驚き。ウェンディー・ジェームスのソロはエルヴィス・コステロ書き下ろしでした(でもどこかに行ってしまって未確認...)。

05: "I Walk The Earth" The Voice Of The Beehive(1988)

60年代カリフォルニアのコーラスグループ、フォー・プレップスのブルース・ベラードの娘ふたりがロンドンで結成。元気一杯のバーストポップでした。ドラマーはマッドネスのダニエル・ウッドゲイト。

06: "Lights Out/Read My Lips" The Katydids(1989)

b0022069_1541538.gif日米ハーフのスージー・ハグが英国で結成、ニック・ロウプロデュースによるエバーグリーンなポップロック。はすっぱさ無し、少し大人の味わい。2枚で終わったのがとても残念。 個人的にはKatydidsみたいなプロジェクトをやりたいなと思っていて、ずっとアイデアを温めたままになってます。





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Katydidsのスージー・ハグみたいなボーカリスト、どこかにいないものだろうか。
少女の様な高音Voじゃなくて、穏やかで落ち着いた大人っぽい声の人。
そういう声にはホント惹かれます。
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by penelox | 2006-04-21 23:59 | 80年代

Terry / Twinkle

from compilation "Golden Lights"

4/20

ニューアルバムの完成見本が到着。
前にも書いたかも知れないけれど、ちょっと最近では珍しい、美しいデザインになったと思う。これがちゃんと店頭に並んだらさぞ綺麗だろうなぁ...客観的にそう思う。

昔は自分のアルバムがタワーとかWAVEに並ぶのは嬉しさよりも恥ずかしさ、心苦しさの方が勝っていた。それは、デザインがどうとかよりも、音がやっぱり納得行ってなかったからだ。
今回のアルバムは、そういう意味では、12年前のアルバムよりは恥ずかしくない。

b0022069_0282190.gifたまたま某古本屋チェーンで見つけたトゥインクルのベスト。
60年代の英国女性シンガーだが、もちろん芸名(本名Lynne Annette Ripley)。でも、ソロユニット名と取れないこともない。この時代の女性歌手としては意外なことに、自作曲も多数あり、お仕着せの人形ではなく、シンガーソングライターといった趣きだからだ。だが巧拙を超えた素朴な歌唱や、キュートなルックスはアイドル歌手のそれであり、この何とも言えないバランスが魅力。スミスの名カヴァーで知られる"Golden Lights"は彼女の自作自唱の曲なのである。
ヒットさせた時彼女はなんとまだ16才!

16,7でこれだけ脚光を浴びちゃうのって、どんな感じだったんだろう。
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by penelox | 2006-04-20 23:59 | 60年代

Pure / The Lightning Seeds

from album "Cloudcuckooland"

4/19

歌詞とメロディーがどーんと浮かんで曲が降りて来る。あわててギターを手にして形にし、ノートに書きつける。この曲はうまく行けば次のアルバムに入れられそうな気がする。

「夏」アルバムが(自分の中では)完了したので、「秋」アルバムに自然と神経が行くようになってる感じはある。前にも書いたかも知れないが、だいたい11枚目ぐらいまでのタイトル、アイデアはある程度出来上がっていて、それをとりあえず作り上げないと納得が行かない。この、納得が行かない思いというのが自分にとっての創作の原動力なのだろうか。創作と言うよりもむしろ、アタマの中である程度完成しているものを掘り出す作業...今の私にとってはそんな感じである。

で、その作品をちゃんと表現し切るための技術やお金が必要で、そのためにある程度の売り上げと、アルバイトがあり、生活が回っているのである。普通の人なら手に入れているであろう色んなものを削っているのは全てそのためなのだ。

...なんというシンプルな生き方であろうか。
あまりにシンプル過ぎて、時々それがたまらなく嫌になるのも事実。

嫌になるけど、まあしゃあないがな、というのもある。嫌々で、我慢してやっている訳ではないから。なにより揺るぎない喜びがあるのも事実だから(ほんの一瞬だけれど!)。
モノ作りというものの本質には、実は呆れるほどシンプルな動機がそこにあるだけだったりするのではないだろうか。元々は何かを埋めるために、シンプルな動機を満たすためにスタートしている場合が多いというか。それを歳を取ると忘れて行ったり、忘れようとしたりする...それだけなんじゃないのか。

だから、迷い始めたら、要らないものを捨てて行こうと思う。ピュアな最初の思いを思い出し、シンプルに、シンプルに...。
その事が、齢40にして、少しわかって来たような...今日この頃。

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持っているべき夢を売り渡してはいけない
いつもピュアで シンプルでいようよ

("Pure"の歌詞の一部を意訳)
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by penelox | 2006-04-19 23:59 | New Wave

Trick Of The Light / The Penelopes

for the new label compilation CD

4/16

コンピ用の曲"Trick Of The Light"の歌詞にまたしても取り組む。
歌詞をいままで10通り以上書いたが、納得出来ないので今日もああでもない、こうでもないと色々やってみた。しかし相変わらず気に入らない。うまくいかないな〜。出来るだけシンプルに、シンプルに...。

テーマが絞り切れてないのかというと...確かにそうかも知れない。
去年作り始めた頃と比べると、その後色んな視点が入って来ているのは否めない。

それはまた、ある意味前に進んだとも言えるのだけれど。

"Patriotism Is the last refuge of a scoundrel"
(「愛国心とは悪党の最後の逃げ場である」サミュエル・ジョンソン:18世紀英国の文豪)

これを今語る事の難しさが主なテーマ。

なおかつ、個人的に感じる昨今の世の中の風潮-外の世界も含めた物事全般に対する謙虚な好奇心や興味の薄さ、そしてそれゆえに生まれやすい偏見、そして、そんな風潮を、モノが売れさえすればいくらでも煽るマスコミの商業主義とその「マジック」ぶり...。

このあたりを、ある若者の心の動きを通じて描く...そんな感じです。
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by penelox | 2006-04-16 23:59 | Vostokコンピ関連

The Penelopes watanabeとVelvet Moonによる新レーベル

レーベルとしてのお知らせです。

The Penelopesのwatanabeと大阪のレコード店Velvet Moonによる新レーベル、今年末のワールドワイドなコンピレーションでスタート!

The Penelopesのリーダーであるwatanabe(私)とVelvet Moonさんによる新レーベルが、コンピレーションアルバムを2006年11月〜12月にリリースします。

参加アーティストは元ジェットセットのポール・べヴォワー、元モーメントのリナルディ・シングスといったモッド人脈から、マイク・オールウェイ、ミスター・ライトといったエル人脈、元ペイル・セインツのイアン・マスターズ率いるフレンドリー・サイエンス・オーケストラ、英国のフィール・ガーヴィー、ロシアのルメニーといった耽美/夢幻/音響系的な人達、またアメリカからノスタルジックなミュージック・ラヴァーズ、スウェーデンからルーツ的なアコーディアンなどなど、実にカラフル。

watanabeやVelvet Moonの交流をフルに活かした、インターナショナルかつこだわったセンスのアーティストをセレクトした、近年ちょっとない面白いオムニバスとなっていると思います。

もちろんThe Penelopesも参加。詳細は当方HPやブログで随時お知らせいたしますのでお楽しみに!

参加アーティストのいくつかを。

Lumeny
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Fiel Garvie b0022069_20442656.gif







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Paul Bevoir
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by penelox | 2006-04-15 15:00 | Vostokコンピ関連

昭和三昧(1) ウルトラ5つの誓い

(4/12のmixi日記を編集)

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予想外のこないだの週末。
まさか土日と二日続けてウルトラ5つの誓いをきく事になるとは思わなかった。

ウルトラ5つの誓いとは...


「一つ、腹ペコのまま学校に行かぬこと
 一つ、天気のいい日に布団を干すこと
 一つ、道を歩くときは車に気をつけること
 一つ、他人の力を頼りにしないこと
 一つ、土の上を裸足で走り回って遊ぶこと」

(「帰ってきたウルトラマン、最終回「ウルトラ5つの誓い」より)


土曜日の夕方、突如始まったウルトラシリーズの最新作「ウルトラマンメビウス」。
のっけからウルトラの父が出て来たと思ったら、今度は冒頭の隊員のセリフで上の誓いが出て来た訳です。
まあ、驚いたのなんの!

設定も昭和のウルトラシリーズの続編(25年後?)、という事になっているらしく、どうやら「帰ってきたウルトラマン」とは地続きのようである。亡くなったらしき前隊長の友人が次郎くんらしいのだ。

次郎くん!

この名前をきくと電気が走ってしまう。常に郷さんに憧れ、大きくなったらMATに入ることを夢見る少年。当時観てる子供は
次郎くんの目線になってドラマに感情移入していたと思うし、彼のように郷さんをひたすらかっこいいと尊敬していたと思うから。
言わば当時の子供の代表だったんですよね。

「帰ってきたウルトラマン」の最終回、ウルトラマンに変身し地球を去る郷秀樹に向かって、最初は拒否したものの、結局は涙ながらに砂浜を走り、上に挙げた5つの誓いを叫びウルトラマンを追いかける次郎くん。

文字にすると、何かほのぼのしたものに見えるんで、何じゃいなと思う方もおられるかな...?
でも、これはこれで深いものがあるんですよ。


で、次の日曜日の夜には、何とその名シーンが(ケーブルのファミリー劇場というチャンネル)。このシーン、最後に観たのは30年近く前、中学の頃だったか。思春期のヒネクレ小僧には、感動しつつも、説教臭いと鼻白む思いも残ったのは確か。
それが。

エエ歳した大人になるとこれが、泣けるんですなぁ...。
本当に美しいシーン。素晴らしい童話のエンディングとして、素直に感動してしまいました。


前述の「メビウス」での前隊長というのも、怪獣に体当たりするのだけれど、これもどこか「帰ってきた」のオマージュっぽい。
何しろ、郷隊員、最後はゼットンに体当たりした訳で(そう言えば、「エース」でも最初に北斗星司がタンクローリーで超獣に突っ込み命を落とす。この、自分の命を犠牲にするのも厭わぬ勇気、というのが最近のドラマ全般で描かれなくなって久しかったと思うのだが)。

で、この「帰ってきた」で、最終回にゼットンを出して来た、というのも、初代「ウルトラマン」へのオマージュだったような事を、脚本の上原正三氏はかつて語っていたと思う。当時の子供たちにとって、ゼットンというのは本当にトラウマのような名前で、
「帰ってきた」でゼットンを倒したことによって、「ウルトラマン」から続いていた大きな物語を完結させたのでしょう。

「帰ってきたウルトラマン」は、郷秀樹の成長物語であると同時に、郷(青年)と次郎くん(少年)の心の交流の物語でもあったと思います。いずれにせよ、その底流に流れるメッセージは、成長。そのある種普遍的なテーマを 30数年後の「メビウス」でどう描くのか、実に興味深いなと。

この時代に、昭和40年代の忘れ物を取りに行ってる感じがとても良いなと。

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昭和40年代の特撮を今振り返って観るとわかる、味わい深い要素-映像美、小道具のシンプルさ、メカニックのデザインの秀逸さ、セリフ回しの端正さ、メッセージ性の色濃いドラマ、テーマ音楽の重厚さetc-これらの全てをいま求めても仕方ないのかな...なんかそんな気がする現代の特撮ドラマ。ただ、それらの要素が失われて行くまでには数十年という長い歳月がかかっていて、今それをすぐに取り戻すことなど、出来ない相談なのでしょう。

だからそういう面ではなく、過去の遺産をどう活かし、普遍的なテーマをどう盛り込むのか...オッサンとしてはこのあたりに目が行きます。「ウルトラマンメビウス」は、そういう意味で面白い作品になりそうな予感がありますね。
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by penelox | 2006-04-12 23:59 | 懐かしいテレビ番組/主題歌など