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ルイ・フィリップより皆様へ

 先週の4月12日に行なわれました"Vostok Cafe Vol.1 Louis Philippe Live In Japan"に関しまして、昨日ルイさんよりメッセージをいただきましたのでここに公開いたします。僭越ながら、日本語訳をさせていただきました。下の英語が原文です。

 ルイさんからの、当日会場にいらした方々のみならず、ファンの皆さんへの感謝の気持ちです。ぜひ御覧下さい。




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 これは12日にモダンタイムスにいた人達だけでなく、行けたら良かったのにとか、あるいは行こうと思ったが行けなかった、そんな人達みんなにあてたメッセージだ。なかにはあの夜遠い所からはるばる京都まで来た人もいたのも知っているし、あなた達の私の音楽への愛情は本当にありがたい。皆さんが来て下さった努力の、その価値はあったと感じてくれてることを祈るばかりだ。



 この小さなギグは私のある思い-日本や日本の人々と私とのあいだには、何かとても特別なものがあるという思いを強めてくれた。そして2007年の私の特別な願いは、すぐに、しかも今度は何人かのミュージシャンとともに日本に戻って来て、皆さんにルイ・フィリップ・ライブの新しい側面をお見せしたい、ということ。ありがたいことに、これはおそらく秋には実現しそうだ。早いうちにさらなるニュースをお知らせするよ。もし私がやってることや計画していることを常に知りたいのなら、MySpaceのページ(http://www.myspace.com/louisphilippemusic)か私のウェブサイト(http://www.louisphilippe.co.uk)をのぞいてみてほしい。そこで私は喜んで君を友人に加えるし、君も世界中からの他のファン達と君の考えを分かち合えるはずだよ。



 今はロンドンで仕事に戻るところ-あなたたちが先週多くの曲を聴いたアルバム('An Unknown Spring')を完成させるんだ。皆さんとまた会える時まで、どうかこの愛と感謝を込めたちょっとしたメッセージを受け取って欲しい。


この地球に平和が広がりますように

ルイ



This is a communal message to all the people who were at Modern Times
on the 12th, but also to all of those who wished they could have made
it, or who tried to and could not. I know some of you travelled a long
way to be in Kyoto on that night, and I am truly humbled by your
affection for my music. I hope that you all felt that the effort had
been worthwhile.

This small gig strengthened my belief that there is something very
special between Japan, its people, and me. And my special wish for 2007
is that, soon, I'll be able to come back and, this time, with a couple
of musicians, to offer you another side of Louis Philippe live.
Thankfully, it looks as if this will take place, and probably some time
in the autumn. I shall have more news soon. If you want to keep being
informed of what I do and plan to do, remember that you can visit my
myspace page (www.myspace.com/louisphilippemusic) or my website
(www.louisphilippe.co.uk) where I'll be delighted to add you as a
friend, and where you can share your thoughts with other fans from all
over the world.

I'll now come back to my work in London - which is finishing for good
the album ('An Unknown Spring') of which you heard many songs last week.
Until I see you all again, please accept this small message of love and
gratitude.

May peace prevail on this earth.

Louis
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by penelox | 2007-04-19 14:00 | Vostokコンピ関連

4.12. Vostok Cafe Vol.1 手記(3)

 「今夜はJポップをやってみる」という言葉で始まったルイ・フィリップ言うところの、初めての「カラオケ・ショー」は、5月にリリースする予定というニューアルバムのバックトラックを使って、ちょっとしたコメントを挟みつつ、歌って行く、というものでした。

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 フランス語の曲で始まったそのステージ、新曲ばかりなので当然タイトルはわかりませんでしたが、どんな音楽だったかときかれれば、ブライアン・ウィルソンにも通ずる緻密で繊細な音世界を、彼のフィールドで(まさに年代物のワインのごとく...ワインに全く疎い人間としてはこの書き方は顔から火が出る思い)じっくり醸造したポップ...といえば一番わかりやすいかも知れません。複雑なコード進行、リズム、テンポチェンジを、ヨーロッパの感性が光る優しいアレンジといつも変わらぬあのまろやかな甘い声で展開させていました。


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 もうこの年代ぐらいのアーティストならある種当たり前かなのも知れませんが、唐突に新しいことをやる、というのではなく、自分の音楽をさらに深いものにして来ている...という感じでしょうか。非常に貧困な発想によるたとえをさせていただけるなら、やはり私は近年のXTCに近いものを感じました。カヴァー曲もあったのですが、最後に、これはよく知られている歌、だからあえてタイトルは言わないと前置きして始めたのはビーチボーイズのあの66年のアルバム"Pet Sounds"の某曲(公開していいのかわかりませんので敢えて伏せておきます)。とても印象的でした。おそらくこの曲もアルバムに入るのでしょう。


「まるで政治家(の演説)みたいだな。横には中国の首相もいるし」

 CD-Rがうまく読み込めないトラブルが時折あったものの、私の拙い通訳に冗談が出るぐらい、後半は彼も乗って来ていた様子。説明しながらのスピーチ、という新作発表会(予定しなかったものも含め、ほぼ全曲やってしまった!)も無事終了....と思ったらそうではなかった。予定曲が終わり、ステージを降りようとするルイ氏に、機転をきかせたBobbie、DJマチガミの両氏がDJブースでおもむろにレコードをかけ、熱心にアピールし始めます。これがなかったら、今回のイベントに何か大きなものがひとつ足りないまま終わったかも知れません。会場に響き渡ったのはもちろん"You Mary You"!

 自然と、彼が歌う予感が出来上がります。


「ダメだ! ダメだ!」

恥ずかしそうに手を振り、拒否のポーズを取るルイ氏。しかし会場はもうその気満々。Bobbie氏が最初から言っていた狙いが功を奏した瞬間でした。観念した(笑)ルイ氏はそれでも、私に苦笑いで訴えます。

「ギターがないと出来ないよ!」

「楽屋にあるから持って来るよ」と私。

私が楽屋にガットギターを取りに行こうとすると、とうとう彼も白旗を上げます。もう外堀は埋められていたのです(笑)。

「いいよ、持ってこなくて。歌うから」

 後はお越しいただいたお客さんは御存知の通りです。何度もあのサビが合唱され、彼もいつしかまんざらでもない表情へ、そして最後には、エンターテイナーの顔になっていました。おそらく本当は外すつもりはなかったのであろう、現役アーティストとしての矜持という枷を最後に来て会場の皆さんから心ならずも外され、20年前の名曲を歌ったルイ氏。昔の曲をレトロ的に見ていたのは実はアーティストの方で、聴き手にとっては今でも現在進行で生きているものだ...自らそのことを認めざるを得なかったのではないでしょうか...私はそう見ています。そのことは、彼が認める認めないにかかわらず、彼の中の何かを活性化させることになるはずだと、いや、ぜひそうなって欲しい...インディーの末席ながら音楽活動をしてそんな瞬間を感じた覚えのある人間にはそんな気がするのです。

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 思うに、会場みんなでアーティストを「その気」にさせることに成功した...これがこの夜のイベントの一番の収穫だった気がします。双方の有機的な動きが化学反応を起こしてこそライブは成功だと言える訳ですから。その意味で、DJマチガミ氏、Bobbie氏には心から感謝致します。そして、温かい空気を終始作り、アーティストの枷を自然と外して下さったお客様の皆様、モダンタイムスのスタッフの皆様、各バンドの皆様にも感謝したいです。


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 ライブ終了後、ルイ氏から最近の英国での活動事情を少しききました。曰く、このモダンタイムスとくらべると英国はハコが大きすぎるか小さすぎるかのどちらかで、ちょうど良いのがなかなかないこと。ミュージシャンを雇うのにコストがかかり過ぎること。そしてライブ自体英国では年に一回ぐらいしかやらず、ヨーロッパの方が多いとのこと。若さと激しさ、衝撃性と視覚的な刺激にばかり偏った昨今の音楽業界の風潮という意味では、欧米と少しも変わらない日本。この国のほうが、比較して彼の作るような音楽を聴く人が多いのかどうかはわからないので、彼の言葉からのぞく苦悩に対し何も言えませんでしたが、今回のこのスペシャル・ライブが、彼の活動の一助になればと、心から思います。


 前回私がこのイベントとの関わりで書いた、今回のライブの曲"Lost In Your Eyes"にはこんなラインがあります。

Lost in your eyes in the daylight
Fallen leaves are shining
Lost in your eyes
The season is moving

君の目には
死に絶えてしまったように
見えるかもしれないけれど
陽の光の中で
落ち葉は輝いている
君の目には死んでいても
その季節は進み続けている


 この曲をこのイベントでやらなきゃいけないと、ずっと無意識に感じていた理由が、わかった気がした瞬間でした。



 補足させていただければ、つまり、こぼれ落ちてしまったもの、過去のもの、時代遅れになってしまったもの、最盛期は去ったと思いこんでしまうようなものの中に、何か大事ことを見落としてないか? ということですね。それはもちろん、自分の活動の中で、無意識にでも貫かれていた、ある種の世界へのメッセージ、とも言えますし、自分がそうやって過去の自分の音源の中に見落としていたこと、かも知れないです。あるいは、ルイさんのライブにもそんな部分があったかも知れないですしね。そういう、色んなことをひっくるめて、とても様々なことをインスパイアしてくれるイベントでした。


今回の手記、このPENELOGでは、mixiに書いた内容に少し加えて、いわばRe-mixi、してみました(笑)。
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by penelox | 2007-04-19 12:00 | Vostokコンピ関連

4.12. Vostok Cafe Vol.1 手記(2)

 8時半を回ろうかという京都モダンタイムス、今度はBobbie Gillespie Hairstyle氏率いるBoyfriend's Deadがステージに登場。私はといえば、入り口でお客様に慣れない対応で四苦八苦しながら、ルイ氏が無事到着することをひたすら祈っていました。自分もこの一時間後にはライブをするなんてことは殆どアタマになく!



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 Boyfriend's Deadと共演するのはこれで2度目。今回のイベントに関しては、Miniskirtのエドガー氏とともにリーダーのBobbie氏には大変お世話になりました。特に彼がいなかったら、このイベントも上手く行ったかどうか疑わしいぐらい。開催会場についての条件の細かいチェック、料金設定、タイムテーブルから、ルイ氏のための楽器の手配、フライヤーの配布まで...本当に感謝しております。


 それはともかくとして、前回共演時よりもさらに彼等ならではの色が強くなったその音楽、上手くイベントの中でのアクセントとなっていたと思います。90年代初めの英国シューゲイザーからの影響が強いノイジーなギターサウンドに乗るポップなメロディー...この、ポップ、というところでの接点はもちろんあるのですが、それぞれが違う音で、しかも後ろに行けば行くほど出演者が少なくなるというイベントを、元気な音で盛り上げてもらえたのはとても有り難かった。もちろん、Bobbie氏独特のMCも忘れてはいけません。思わずお客様の一部が、ルイ氏がまるで日本のアニメ好きであるかのように思い込んでしまうぐらい(ちなみに真相は不明ですが)マニアックなストーリーを展開。彼が新京極のアニメイトをウロウロしてるなんて話、よくもまあその場で作り上げるものです(笑/いや、最初から考えていた話なのかな?)。最後には、お手製の"You Mary You"Tシャツ姿で、寝転んでのギタープレイと、熱いパフォーマンスを見せてくれました。


b0022069_1552625.jpg ここに上げているのがBoyfriend's DeadのデモCD-R2枚。2006年に発表した、The Pale Fountainsのシングルのジャケットも連想させる"A Case Of Boyfriend's Dead Vol.1"が1st、今回のライブでお披露目となった黒いジャケット、こちらは一見ネオサイケデリック的なデザインに配したアニメっぽいイラストが彼等の出自を伝えてくれる"A Case Of Boyfriend's Dead Vol.2"が2nd。どちらも2曲入り。彼等のHPで問い合わせていただくと、もしかしたら入手出来るかも知れません。こちらのMuzieのページでも2曲聴けますね。

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...で、次は誰やったっけ?

...私らですがな。Penelopesやがな(笑)。


 まだ時間に余裕があったため比較的ゆっくり準備を始めますが、それまで緊張する余裕さえなかったので、何だか実感が湧きません。なにしろ、ここ数日のヒノキの猛襲で花粉症は二度目のピークを迎え、赤鼻のトナカイならぬウタウタイ、かゆみを通り越してハナイタイという状態。そこに、3月からのしつこい咳が加わっていて、ウタエナイ、になる可能性もありました(くどいですね、すみません)。歌ってる最中に咳が出て、これでルイ氏が来なかったら...お客さんにさんざんなじられて終わりかなと...まぁこれも我が人生らしいか。最悪のパターンをシュミレーションしながら、ステージに機材を持ち込み、ゴソゴソやっていると、私を呼ぶ声が。

「ルイさんが来ましたよ」

 振り向くとバーの端の方に背の高い外国人が。なんと私達Penelopesが演奏を始める前に、もうルイ・フィリップが到着していたのです。それまで心にあったある重苦しい何かがスーっと溶けて行ったのは言うまでもありません。第一関門突破です。なんとかルイ氏のもとに辿り着き、挨拶。奥さん、お嬢さんにも会釈。懐石料理の予約があったため、どうしても10時は過ぎるという話だったのに、まだ9時半を回ったところ。なんだかあっけないぐらい理想的な展開です。


 もう演奏したのか? との問いに、これからだと返事。
 彼がこのイベント出演を真剣に捉えていることが、目と言葉のトーンに感じられるある緊張感でわかりました。少なくとも、ホリデイ気分で遊びに来てる感じはない。これで第二関門クリアー。後は彼がどういうライブをやるつもりなのかをその場で判断したらいい...そう思うと、かなり気持ちが楽になりました。ここで始めてミュージシャンモードになれたのかも知れません。


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 The Penelopesは、ここ数カ月でよくやっているスタイル-アコースティック・ギターにエレクトリックのギター、ベースを揃えた三人編成、ドラムなし、というもの。個人的には、「鎧」を着ないで演奏しているような開放的な感じがあって、とても気に入っています。これで見えて来るものを、もし今後作品を作るのであれば活かしたい、そう思って始めた編成です。もちろん、フルバンドを期待されている方には申し訳なかったですが、それを作り上げるための諸々の条件がなかなか揃わない、というのもありますし、色んなやり方を試しながら、新たな道を模索しているということで御理解いただきたいです。



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曲目は以下の通りです。

1.Vehicle
2.Melt the Snow
3.Listen To Their Words
4.Lost In Your Eyes
5.Sweets From My Bittersweet
6.Midday Stars





 3は93年のコンピ"Ask the Sky"からの曲。演奏したのは10数年ぶり、こんな編成でやるのもはじめてでした。どちらかいうと、歌詞の内容で当時の自分という要素が強過ぎて、いま演るのは難しいものがありました(演奏自体も難しかった!)が、プレゼント感覚で頑張りました。4は99年の5thアルバム"Inner Light"の曲。ライブでやるのははじめての、この"I Will"の模倣ギリギリの曲は、季節とそぐわない秋の歌であるにもかかわらず、何故かどうしてもやらなければいけないように感じていました。それが何故なのかは後でわかった気がしたのですが。他の曲はいつも通り。



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 "Listen To Their Words"を演るのは、本当に難しかった。それは、歌の端々に染み付いた感情、思いが、1993年のそれであって、2007年の私がそれを歌った場所にいないのは紛れも無い事実だからでしょう。でも、この曲に大いなるラブコールを送って下さる方が、ひとりいましてね。それだけに、感情の入らない、からっぽの器みたいな曲になるのではないかと、かえってそんな曲をやるのは失礼じゃないのか...そんな風に考えていたんですね。

 でも、たとえそうだとしても、曲は半分、お客さんのもの...そんな思いもまた、ここ数年して来ていまして。自分がどう思うかを最優先するのが誠実さ、と思っていたのが、いやいや、そうじゃない。自分自分とこだわるんじゃない、そんなことは一番大切なことではないと、少しずつ思えるようになって来た訳です。それが進歩かどうかはおくとして。

 ですので、そういう、エゴばかり優先したがる今迄の自分と、もうええやんけの心境になっている今の自分が、どうやって闘い、どちらが勝利するのか、曲をやりながらその戦況を見守ろうと思いましてね。それでどれぐらい心が揺れるのか、それとも揺れないのか、見てやろうと。そんなつもりでやりました。ひどい出来なら言い訳にもなりますしね(笑)。でも結果、面白いことにこの曲の違う表情も見つけられそうな気がしました。お客さんの前でやることで始めて曲に命の灯がともされたとでもいいましょうか。むしろ、昔の方が心が入ってなかったのかも知れない...そんな気までして来たのですね。決して良い出来の演奏ではありませんでしたが、そんな興味深い発見も出来たのも事実で、それは進歩だったと思います。



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 そっと始まりそっと終わる...エレクトリックギターのガーンというパワーコードで終わり、にぎやかにお客さんの拍手とともに終了...というようなステージではないので、正直お客さんがどんな印象をお持ちになったかはわかりません。ただ、優しく温かみのある空気が開始からずっと会場に保たれている感じはしまして、今回はそれで十分でした、少なくとも私にとっては。


 10時を回り、私達の最終曲が終わりました。気がつくと、非常に不思議なことにあれほど悩まされていた咳は全く出なかった。考えてみれば、咳のことを考える余裕すらなかったのでした。いよいよ、今夜のクライマックスです。ステージでの挨拶を終えると、今度はルイ氏の通訳、そしてこのライブのチェック役としての立場に切り替えます。急いで機材を片付けると、大急ぎでルイの元に飛んで行きました。果たして次の関門はクリアーできるのか。


 とても残念なことに、当初のメールであったような、そして寸前まで期待していた(お客さんの皆さんもそうであったでしょう)彼が何曲かは生演奏もするかも知れない、という予想は、手渡されたCD-Rでくつがえされました。それはニューアルバムの全編カラオケミックス。全てこのCDーRを使ってやる、というのです。ギターもピアノも必要ないというルイ氏。しかしショックを受けてる暇もありません。ガットギターやピアノの準備はなくなり、代わりに今度はCD-Rがちゃんと読み込めるか、という心配がアタマをもたげて来ました(CD-Rは経験上、プレイヤーによっては読み込みエラーが出ることがありますので)。そして、彼が望んでいること-CDプレイヤーを手元において操作するというのが不可能なことを彼に伝えなければいけません。時間がないなか、彼にそのことを説明。それに納得してくれると、それではとコンソールのスタッフにかけるべき曲を大急ぎで紙切れにリストアップし、かけ方を逐一指定して行くて行くルイ氏。彼もまた様々な状況を経験しているのであろうベテランのアーティストらしく、落ち着いた態度で事態に臨んでくれました。これでまたクリアー。


 しかし、まだそれでも安心できません。私は通訳としてステージに彼と上がることになっていましたが、彼が一体どんな風に進めて行くのか。ある程度見当はつくとは言え、心の準備も何も出来ませんでした。いや、もうこの段階では、心の準備も何も、なるようにしかならない訳です。臨機応変に対応して行こうと、それだけを心に留めて、ルイ氏に続きました。ともかく、ショー・マスト・ゴー・オン!
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by penelox | 2007-04-17 16:03 | Vostokコンピ関連

4.12. Vostok Cafe Vol.1 手記(1)


 先日は皆様、"Vostok Cafe Vol.1 Louis Philippe Live" at Modern Timesにお越し下さいまして、誠にありがとうございました。少しずつではありますが、感謝の気持ちを込めまして、当日の模様を私なりの視点でお送りしてみたいと思います。大半はmixiに書いたのと同じ内容ですが、部分的に加筆、写真も色々と違うものもアップしておりますので、楽しんでいただけましたら幸いです。(渡辺達彦)

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 今回のレーベルイベント、出演する4アーティストのうち、今後リリースを予定しているコンピCDに参加しているのは、実は私達The Penelopesだけでした。そんな訳ですから、レーベルイベントとは言っても、今回に関しては準備万端整えた、満を持しての、というよりは、むしろ公式の初飛行の前に他のアーティストさんの力を借りて強引に離陸させた...といった方が相応しいです。準備はまだまだだけれど、取りあえず試験飛行をやって様子を見てみよう...そこに、既に舞い込んでいたルイ・フィリップ氏からの申し出を加えることで、大きな推進力にさせていただいた...今回のイベントの概観を表現すると、そんな言い方になります。



 ルイ・フィリップ氏にはじめてコンタクトを取ったのは、2年ぐらい前でしょうか。新レーベル設立の話が出た時のこと。Velvet Moonさんと参加して欲しいアーティストを好き勝手に挙げて行った時に、マイク・オールウェイ=エル関連のアーティストとして出たのがきっかけでした。それで、メールでご本人に、楽曲提供にご興味ありますか? と打ったところ、しばらくして、どんな曲が欲しいのか? との返事。結局彼の参加は双方の時間的制約、ご本人の仕事の忙しさ等があって叶いませんでしたが、これがきっかけで、彼に名前を覚えてもらった、といったところです。


 今はとても興味深いと思える、エルにあった英国ぽくない要素(言い方をかえるとヨーロッパ的なカラフルで豊かなイメージな要素)というのが何で、誰が持ち込んだものだったんだろう...これをここ数年、マイク・オールウェイ氏やルイ氏と関わるようになってから考えるようになっていましたね。前にインタビューした時に感じたのですが、マイク氏が英国でも南西部の、海岸部で生まれ育ったことと、ルイ氏がフランスの海岸部ノルマンディーで育ったというのは、結構大きいのかも知れない...そんなことも考えるようになって、昔はよく見えなかったエルのアートとしての純粋な側面が自分に近付いて来た気がします。最初にこのあたりの音源に出会った86,7年頃というのは、日本は苦々しいほどのバブル期で、急速に物欲至上主義に日本社会全体が傾斜して行った時代。貧しい頃の日本を少なからず知っていて、当時政治学を学んで中途半端に知恵のついていた大学生には、このレーベルの音楽はあまりの記号のつぎはぎに見え、消費主義の申し子と警戒してしまう部分(たとえば日本の広告代理店が絡んでるんじゃないのと穿った見方をしてしまうぐらい)の方が大きかったのです。同世代で、当時のNew Waveを好んで聴いていた方ならわかっていただけるかも知れません。

 そんな、様々な思いを経てこのイベントに至ったことには、運命というか、人生の巡り合わせの不思議さを思わずにはいられませんでした。



 昨年12月に、突然ルイ氏からメールがあり、4月に日本に休暇で来るついでにちょっとしたライブが出来ないか、もし可能ならそれに相応しいヴェニューを探してくれないか、との依頼がありました。ちょうどレーベルコンピのマスタリングが完了したところで、春頃からそろそろイベントを始めましょうかという段階でしたので、まさに渡りに舟で、こちらが東京ではなく関西在住であることを伝えた上で、何度かのやり取りののち、4月上旬に京都で、という具体的な話が1月中には決まって行きました。その後は、こちらをお読みになる方は御存知かとは思いますが、彼の日程変更が伝わらず私のミスで皆様に大変な御迷惑をおかけいたしましたが、おかげさまで何とかこの日を迎えられました。

 当日は気候も良く、桜咲く京都は素晴らしい観光日和。ルイさんからはお昼には東京から着くときいていました。春の京都を存分に楽しんで、夜には無事に会場に来てもらえたら...祈るような気持ちで会場入りしました。

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 当初の打ち合わせとはライブの内容がかなり違って来るであろうこと、また、その場でも変わりうるというのは、前日に来たメールでもわかっていました。日程が決まった当初は、みんなでお酒を飲み、カラオケで歌おう、とまぁ、まるでカラオケボックスで出来そうなことを仰っていたのです。これはライブではないのだから、と主張するご本人。しかし、周囲の期待を伝えるうちに、話はどんどん「ライブ」になって行きました。宣伝するなという彼に、お客さんの大きな期待をこちらでコントロールすることは出来ないということ、みんなあなたと一緒に"You Mary You"を歌いたがっているのだということを知らせました。何年も待っているファンがいるのだと。ここで彼も本気になったのか、次に5,6曲をピアノやアコギを使ってやる、という話になりました(間際になってから、私に100枚ほど入った新作CDのカートンを送る、という話にさえなったのですが、さすがにこれはちょっと時間が足りなかった)。ガットギターの準備も、Boyfriend's DeadのBobbie氏のご協力で無事行えたのでした。


 それが、前日のメールでの内容では、また彼の気持ちが微妙に動いていることがわかりました。ファンとの憩い、という部分は変わらないものの、気楽に昔の曲をレトロっぽく聴いてもらうような心境ではないようでした。私のステージでの通訳とCD-Rをかけることをしきりに強調されていて-いつのまにか、現在進行形のアーティストのニューアルバムの紹介の場へと移行して来ていたのです。おそらくそれは、こちらが懐かしのヒットショー的なライブへの期待を伝えるなかで、彼の心境がレトロ的に捉えて欲しく無いという、良い意味での反発を含む前向きなものへと変化して行った結果ではなかったかと思います。正直、大変さが増したと思いましたが、こちらの真剣さで信頼してもらえたのかな、という気もしたのも事実でした。こんな状況-どれくらいのお客さんが来るのか、どんなイベントになるのかもわからない、何より、お互いがまだ会ったことがないのですから、殆どが手探りな訳です-を考えれば、そんな人間に複雑なことを任せてくれるというのは、逆に誇らしくもありました。ですから私としては、ビジネスライクなプロモーションをイベントに付け足したようなものにだけはならないように、うまく彼が求めるものとイベントの流れとの間での落とし所を、彼が来て、ステージに上がるまでの間の数分で掴まなければならないなと、そのバランスが一番注意したところでした。

 朝彼が宿泊する予定の旅館に会場へ来るためのインストラクションをファックスし、旅館に確認の電話。間違い無くルイ氏がそれを手にし、ちょうど良い時間に辿り着くことを祈りつつ、昼には家を出ました。京都までの2時間の間も、リハーサルの時も、そして開場してからも、彼がちゃんと来るのか、来た時に何をすべきか、どういうライブにしたいのか...そんな様々な事柄がアタマのなかでグルグル回っていて、とても自分もこの日演奏するとは信じられなかったですね(苦笑)。

 こうしてイベントは始まりました。お客さんがポツポツと入り始め、Ready For the 80'sマチガミ氏のDJで軽やかな空気が広がります。Miniskirtが登場し、エドガー・フランツ氏のとぼけたユーモアが会場を笑いで包む頃には、私の心配をよそに、このイベントの雰囲気が、期待していた通りのリラックスした感じになっていることにようやく少しホッと出来たのでした。今回のMiniskirtは6人編成。


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 そのものズバリの、キュートなインディーポップな音楽をやる彼等ですが、平気で途中で演奏を止めたり、時にあっけにとられるほど人を食ったMCには、真面目一点張りを横から笑うようなユーモアと知性を感じ、楽しませてもらっています。

 こちらがドイツのMarsh Marigoldから2003年にリリースされた彼等のアルバム"Woody Aleen LIkes Guitar Pop"です。


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彼等のHPはこちら


(続く)
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by penelox | 2007-04-17 12:57 | Vostokコンピ関連

Vostok Cafe Vol.1 Louis Philippe Live




 昨晩は皆様ありがとうございました。おかげさまで、素晴らしいライブイベントを行なうことが出来ました!

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 またイベントの詳細を少しずつ振り返ってみたいと思いますが、まずはお越し下さった皆様、各アーティスト、DJの皆様、モダンタイムスのスタッフの皆様、励まし、支えて下さった皆様に心から感謝致します。





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本当にありがとうこざいました!
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by penelox | 2007-04-13 13:41 | Vostokコンピ関連