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CD備忘録 2007年12月以降


 今年も御覧いただき、有難うございました。2008年最後はCD備忘録です。
 最近は、New Waveのことを細かく再研究(?)しはじめたら、急に興味が出て来て、当時の諸作品をまたCDで買い直したりってのが続いています。New Wave/ポストパンク・リバイバルも色々聴いてますが、またそれも改めて。


■Modern Life Is Rubbish - Blur (1993)
■Parklife - Blur (1994)

 ブリット・ポップに対して、あまり好意的とは言いかねる文章をよく書く私。その筋のファンの方には本当に申し訳ないなと思っています。ただ、何とか聴き所を掴みたくて、随時チャレンジしているのも事実で。Blur、これでやっと2ndから4thまで揃った。改めてじっくり聴くとします。


■Beat This! The Best Of The Beat - The Beat (2000)

 単なるスカ・バンド的要素に留まらない評価で知られる、バーミンガム出身の80年代のNew Waveバンド。後にGeneral PublicとFine Young Cannibalsに分裂することがわからなくもない幅広さ。かと言って、曲ごとにバラバラ、というのではなくて、統一感はかなりある。それは、当時の英国の、しかも中部のバンドだからこそなのかも知れない。白人黒人半分ずつの構成による6人組なのだけれど(だからこそ)、そのことがあるべき理想像としてのイメージを与えているし、それはまた、違うものが上手くやって行こうとする当時の気風にもあっていた。何よりこういう音世界は、時代的に実によくわかる気がするんですよね。90年代以降だったら、もっと殺伐としていただろうなという気がするんですね。レゲエ、スカに留まらない、カリブ海系音楽の温かみと英国のシャープなギターサウンドの融合が何故か上手く合っていて、心地よい。若い世代の方だと、たとえばブロック・パーティーやオーディナリー・ボーイズあたりが好きな方なら楽しめるかも知れませんね(ちなみにVoのランキン・ロジャーの息子が、オーディナリー・ボーイズの"Boys WIll Boys"にゲスト参加している)。


■The Fine Art Of Surfacing - The Boomtown Rats (Remastered:2005) (1979)

 「哀愁のマンデイ」、CDで買い直し。う〜ん、素晴らしい音質。ゲルドフ自らが監修にあたったリマスタード盤。こんな音でこのアルバムを聴くのがはじめてなので、ひたすら感動。今聴いてもやはり、捨て曲なしのポップアルバムという印象。ロックバンドからポップバンドへ、勇気を持って飛び越えた、という感じかな。たとえて言うと、スプリットエンズの賑々しさをもっと親しみやすくした感じ。最近で言うとThe Fratellisあたりをもっとカラフルにした感じでしょうか。むしろここでサービスし過ぎた感があって、それで次作以降苦しんだのかも知れないなと。ただ、やっぱり70年代終わりの人達の魂がそこにある、という印象もまた否めなくて、21世紀の音楽とは意識的に違う部分もかなりある気はする。若い世代の意見をききたいものです。
とまぁ、20何年のつき合いだと、色々考えさせてくれますわ。


■Hot Potatoes: The Best Of Devo - Devo (1993)

 ああ懐かしい。中高生の頃流行った。ついつい微笑んでしまう変態ポップ。ライナーに書いてある通り、真剣にやり過ぎる余り、つい笑ってしまう。でも当時はおおっ、凄い! だったんですよね。このへんがリバイバルものとは違うところ。テクノポップはやはり生音と機械音の衝突、異種格闘技なところにシンボリックなものがあると思う。そこに表現されていたのは、やっぱり、違和感、かな。たとえばポリシックスが、どれだけDevoに近いことをやっても、全くそうならないのは、やる目的、必然性が違うからで。この頃のテクノは、時代とともに登場し、時代とともにその役割を終えた瞬発力の音楽、という印象がある(悪い意味ではありませんので念のため)。


■Systems Of Romance - Ultravox! (1978)

 CDで初聴き。実際聴くのもずいぶん久しぶり。これも中高生の頃のムードをそのまま映している音。New Waveとしてどう、というより、その後のNew Waveの模範となった音、と言えるかも。今の耳で聴いて特に興味深いのは、当時の英国の状況にウンザリした若者の魂の彷徨の記録、そんな印象があるところ。70年代末の西ドイツの、そしてジャーマンロックの緊張感が、英国バンドに注入されて行くドキュメンタリー、そんな感じで面白い。後に成立する文字通りの"New Wave"とは立ち位置が全く違うなというのはそういうところ。また、B面に行く程ロックバンド的でなくなって行くのも面白い。フォックス氏が脱退してしまうプロセスが曲順に刻まれているようにさえ思えたりして・・まぁ、これは深読みかも知れませんが。


続きはまた来年に!
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by penelox | 2007-12-31 21:06 | CD備忘録

ポスト・バブルな反応としてのPenelopes

 あのバブル時代のことを考えているとまたまた芋づる式に色々と思い出してしまった。しつこいやっちゃな・・・そう思われるのも覚悟で、また書いてみる。深夜に色々思い出すのはいけないなと、反省しつつ。


 全く異常としか言い様のなかったあのバブル時代に抱いた怒り。これは今でも決して忘れないし、忘れないようにもしている。それは、その後の20年でこの国のエエ加減さ、危うさを身に染みて感じ、そうしないといけないことを改めて心に刻み付けたからでもある。まぁこれは突然爆発してしまう癇癪玉のようなもので、深夜に思い出すと本当に始末が悪い。それでも、前回書いたように、あの時代は今の日本と地続きであり、現代日本のダメさ加減の原点なのだということは、どうしても強調しておきたい。あの時代をちゃんと見ておかないと、今後何度でも同じ事が繰り返されると思うからで。


 ただ、あの当時のことで特に思い出すのは、バブル寸前の80年代前半から半ばのことだ。もしあの頃にもう少し何とかなっていたら・・・そう思えてならないからだ。当時高校生で、しかもいまNew Waveのことを書いたりしているから、余計に色々と記憶を手繰り寄せようとしてしまうのかも知れないけれど。


 高校生当時、幼いアタマで色々な本を読み、考えたり感じたりしていたのは、右肩上がりの経済成長が終わりを告げ(しかし国民的なメンタリティーの基本線は依然としてこのままだったが)、本格的な高度消費社会が到来しようとするなか、日本人は社会全体としての目標を見失ってしまってるんじゃないかということだった。アメリカに追いつけ追い越せで、経済大国にまでのぼりつめてしまったこの当時、日本人全体が迷っている・・・それは思春期の少年でも見抜けるものだった。当時の曖昧でふわふわした、どこか甘ったるい空気というのは、そういう気分を反映したものだった。今になって思えば、だからこそそれを無意識に感じ取っている若者のあいだでは、質の差別化、差異のゲームとでもいうべきものが流行っていたのだろう。ネアカとかネクラとかね(笑)。まあ、こういう質的な差異の流動化が日本の80年代のひとつの潮流だったのだろうと思う。それはある程度は評価はするけれど、当時は表面的には受け入れてるフリはしていたが、嫌だったな、ホント。一部の特権的な立場の人達がメディアを使ってやっているのがいかにも、だったし、所詮閉ざされた空間でしか通じないのがとにかくくだらない、と思っていたからだ。何より許し難かったのは、そういうことに対してさえ無知で鈍感な同級生達で、だからこそ、能天気な歌謡曲なんかよりは、コステロやウェラーの怒り、パートリッジの視点の方が遥かに共感でき信頼をおけるもので、だからNew Waveにどんどん傾斜して行った訳だ。とはいえ、そんなものでさえ、それ以前の世代のモーレツ社員ぶりや、安保闘争の時代よりは一歩進んだ、豊かさゆえのものだったことは事実で、今となっては評価すべきものだったのかも知れないけれど。


 ただ私自身は、個人的事情から、もっともっと強烈に過去に引っ張られていた。それは、何も過去の日本国の物語に向かったとかではなく、あくまで私的なもので、個人的な事情に対する大変動物的な反応でもあった。とにかく、高校生だった81,2年頃は、どこかいつも混乱していて、ゆえにいつも過去を手繰り寄せようとしていたのだ。当時の私が無意識に感じていた、あの混乱の源泉は何だったんだろう。分かってもらえない悲しみ? まあこれは、十代なら誰でもそうだろう。だけど、それだけではなかった。輝ける未来への浮かれた喧噪の向こうにある今の消失への、うっすらとした恐怖か。まぁこれも普通かな。当時の日本全体は、豊かになったとはいえ、まだほどほどの豊かさを、慣れぬままぎこちなく享受している程度だったように思う。こんなもの、いつまで続くんだろうかと。けれど、もしかしたら、他の家はもっと明るかったのかも知れない。我が家の状況は当時の日本の大手企業に勤める人達の大半のそれとは全く逆だった。日本が豊かさを謳歌しつつあるなかで、父が勤めていた会社は今にも消滅する危機にあった。倒産するときかされた時は大ショックで、ただただ唖然呆然としていたのだが、親や学校の手前、そう見られないように必死だった。成績も良くなければ、ますますいけないと、無理に自分を追い込んでいた。私の家庭をこの、明治時代に創業し100年続いた飲料水メーカーと切り離して考えることは出来ない。父で三代続けての奉職で、最終的には父がその最期を看取ることとなるのだが、英国人社長の放蕩経営が原因で、あっけなくその終わりを迎えることになってしまった訳だ。それはある会社員の家庭に大きな怒りと緊張を招いていた。ふざけるなと。何故なんだと。そんな、誰にもぶつけられない思いは、兄も私も弟も、ただひたすら抑え込むしかなかった。学校に対する怒りも当時頂点に達していて、しかしこんなことで余計に家に混乱を持ち込めないと、学校を辞めたいことも言い出せなかった。結局その重圧が、過去への郷愁と、音楽というはけ口に流れていたのだった。その混乱した感情が、いかに自分の身体と心に大きなつめあとを残していたかに気付いたのは、恥ずかしながら、実は割と最近のことである。


 さらに言えば、私が社会にでる90年頃を思い出せば、バブルは終焉を迎えつつあり、明るい未来は何一つ到来していなかった。その後長期に渡る、「失われた10年」と言われた未曾有の平成大不況の足音がひたひたと迫りつつあった頃だ。心の原風景は、あらかた消えてなくなっていた。当時をさらに思い出すと、社会全体にはバブルへの反省もなく、強いものだけがのさばって行くシステムがどんどん強化されて行った訳で(その頂点があのコイズミ時代である)、さらなる無力感や怒りが沈澱して行ったのだが、じっくりその底部に残っていた思いについては考える時間もなかった。だからただひたすら、その時間の早さ、無常さへの悔しさがいつも意識の底に渦巻いていたように思う。消さないでくれ、大事なものはちゃんと残しておいてくれ、という思いが、いつもどこかにあった気がする。それでなくても、成長するたびに何かが消えて行く、そんな、古き良きものの消滅が幼少期という原風景(その当時を知らないという方は当時の映画やTV番組、漫画を見ていただきたい。常に野っ原と土管がある。その両方がその後子供の世界からなくなって行く理由を考えてもらうとわかると思う)と重なった形で育った世代である。あの喪失感は、その後の世代にはたぶんあまり分かってもらえないだろう。しかしまた一方で、焼け野原からから立ち上がって来た大人世代の多くにとっては夢のような時代の到来だというのも想像は出来た訳で。だからこの、複雑な、光と影の両方に引き裂かれた、名前の付けられない感情がいつも底にくすぶっているのは、私達世代特有のものなのかも知れない。だが、こういう中途半端な世代だからこそ、バランスを取って物を見ることができるのもまた事実なのだろう。

 こんな世代だから、高校生当時は、混乱の一方には期待も含まれていた。国としての目標がないのが必ずしもいけない訳ではない。むしろ、社会が物質的に豊かになり、やっとひとりひとりの人間が「個」として、自分のアタマで考え、立ち止まることができる。過去に捨ててしまった何かを取り戻し、そして一方ではより開かれた社会を希求する-高度経済成長とはまた違う枠組、会社と一体になったかのような旧弊としてのメンタリティーから脱し、個として、日本人が新しい一歩を踏み出す、そんなはじまりの時代になるのだろう、そうなったらいいな・・・と。が、そううっすらと思っていた私は甘かった。世界に開かれた新しい日本的価値観の創出も、欧米に比肩する個人が成立して行くこともなかった。自分のアタマで考えることさえついぞなかった。良い年をした大人が、ひたすら集団の空気に乗り、モラルを失い、躁状態のマネーゲームに興じて行っただけだった。その集団的空気の支配というのは、結局は戦争に突入した頃と変わらない、日本人の危険な傾向と言えるものだと警戒する声も、当時あったと記憶している。しかしそれもすぐに虚しくかき消された。


 80年代半ばに大学に入った頃はバブルど真ん中で、そんな日本を見るのは実に虚しく、失望の日々だったと言って良いかも知れない。光り輝いているのに気分はまっ暗闇・・・この時代もやっぱりその矛盾した感情に戸惑うしかない運命だったのだと思う。画家への夢を15才で捨てて以来、芸術的な方面からは距離を置いていた。弟が画塾に通うようになって気にはなりつつも、ジャーナリズムへの興味から、政治学を勉強していた。だがそれも何かしっくり来ず、自分に何ができるのだろうかと、彷徨っていた。世間のバブリーなムードへの怒り、幼稚なビートパンクなどへの不快感は、そんな若さ故の焦燥感も手伝っていたのだろう。こんな社会にこれから無力な自分が入って行くことを考えると、納得がいかない気持ちになったものだった。この40年で、この国は物質的繁栄以外に何を得たのだろう・・・疑問は深まるばかりだった。それを癒してくれたのが、音楽を通じて知った英国社会であり、政治学を勉強して見えて来た英国民主主義の伝統だった訳だ。今の日本の流れは絶対おかしいと、ハタチそこそこのガキがそう感じているにもかかわらず、エエ年をした大人で、ちゃんと警鐘を鳴らす人が見当たらないのは何故なんだ・・・21の幼いアタマで一生厳命考えたからこそ、当時の中曽根政権ブレーンの教授による自民党評価に傾いた書をテキストとした大学の政治学ゼミも投げ出した。そして、サッチャリズムに蹂躙されつつも社会民主主義の伝統の継承の闘いにもがいているように見えた1988年の英国に渡り、生まれ育った国の空気が狂っていること、おかしいことを、自分の五感とアタマで確かめようとした訳だ。で、それが行き着いた先は、絵筆でもなければ政治学でもなく、ギターだった。Penelopesと呼ばれるユニットでの音楽-ノスタルジックで、時にいびつに政治的意見が入ったりする奇妙なツギハギ音楽-の創作になったのだった。だから、Penelopesというのは、まさにバブルに対するわかりやすい反応だったと思う。特に最初の2枚には、その怒りが渦巻いている。


In A Big Golden Cage - The Penelopes (1993)
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Touch the Ground - The Penelopes (1994)
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BGM: English Settlement / XTC (1982)
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by penelox | 2007-12-29 12:09 | The Penelopes関連

英国ヒットチャートで見るNew Wave (9) 1978年1月

 いよいよ78年に入り、Punk /New Waveの勢いも加速して来ます。一般的に言われるNew Waveというもののイメージは、特に79年以降の第2世代の登場、つまりパンクに触発されて活動を開始したロンドン近隣以外の地方都市のバンド、スタイル的にもパワーポップだけではなくエレクトリックポップやスカ、ネオモッド、ファンク、ゴシックなどの音楽・・・要するにポスト・パンクな音全般が出て来るあたりに重点が置かれていて、それが大きく世界中に(もちろん日本にも)定まった音楽の括りとして伝わって行った気がします。それはそれでまあわかるのですが、上り坂が無ければ絶頂期もない訳で。この78年はそういう意味でちょうどその上り坂、パンクからニューウェーブへと主役が交代し加速して行く年にあたると言えるでしょう。ニューウェーブ第一世代-パンクから変化して行く人達、それ以前から活動して来ていた人達の両方がいます-が次々と鮮烈なデビューを飾って行き、基礎部分がしっかり作られて行きます。パンクによって開かれた扉から、フレッシュな実力派ニューウェーブアーティストが次々と入って来る、という年。

 主役交代の象徴的な出来事として、この1月に最初の三大パンクバンドのひとつに大きな動きがありました。1月14日に、セックス・ピストルズからジョニー・ロットンが脱退、事実上解散。初のアメリカツアー、ロスアンジェルスでの公演後のことでした。後はあちこちで読めると思いますが、ロットンの動きがむしろ重要ですね。「パンクは死んだ」というあの名ゼリフを残し、新バンド、Public Image Limited結成へと向かいます。

 また、前年の11月に2ndアルバム"Music For Pleasure"、12月にシングル"Don't Cry Wolf"をリリースしたダムドも、この時期に至ってどちらも全くチャートインしないという事態になり、この春にはこちらも一旦解散してしまいます。前回に書きました先月リリースのワイアーの1stアルバムで既に匂わせていたパンクムーブメントの終焉は、この月にはやくも表面化し始めたと言えますね。

(シングル)

■The Morning Of Our Lives - Jonathan Richman & The Modern Lovers (29)

 彼等はもうこの段階で実に安定した人気を誇っているというか、この頃が英国での人気の絶頂というべきでしょうか。ライブアルバム"Live"から。肩の力の抜けた、すっとぼけたユーモアを感じる彼の音楽は、チャートの常連であることとはまるで関係ない感じ。むしろPunk/New Waveとしての理解、というのももはや越えた存在だったのかも知れませんね。これは映像がありませんでしたが、こちらで試聴できます。14曲目です。

 それにしても、全く古さを感じないのは、昨今彼に似た佇まいの音楽(特にこのモゴモゴした歌い方)が増えたからでしょうか。2007年にヒットしても全然遜色ないですね。


■Quit This Town - Eddie & The Hot Rods (36)

 パブロックの出自を強烈に残す彼等。先月紹介したアルバム"Life On the LIne"からのシングルカット。これもYouTubeに映像はないようです。
ここで試聴できます。18曲目です。相変わらずスピード感のあるR&Rですね。


Rich Kids - Rich Kids (24)

 セックス・ピストルズを脱退したグレン・マトロックが、スコットランドの(アイドル的人気を誇っていた)バンド、Slik(スリック)にいたミッジ・ユーロらと結成したバンド、リッチ・キッズのデビューシングル(ちなみにそのスリックは、その後Zones(ゾーンズ)というNew Wave/Power Popバンドに変貌します)。New Wave初期の、まさに英国流Power Popの音というとわかりやすいでしょうか。非常に親しみ易い、キャッチーなメロディーが特徴のR&Rバンド。この特徴は、ユーロが後に参加する新生ウルトラヴォックスにさらに洗練され(もちろんタイプは違いますが)受け継がれますね。


Beauty And the Beast - David Bowie (39)

 78年の東京公演から。やはりこの頃のPunk/New Waveも、そろそろロックンロールばかりだとバリエーションに乏しい。ちょっと単調なバンドは飽きられ、音楽の質が問われはじめる訳ですが、この時期にボウイのようなアーティストが一方で君臨していることで、これから数年の間に出て来るエレポッブ/ニューロマンティック/ネオサイケ/ゴシック(当時はポジティヴパンクと言ってましたが)、それにネオアコースティック系の一部などのアーティストの多く・・・要するにかなり多くのまだデビューしていない若者達にインスピレーションを与えて行ったという気がするのですが、どうでしょう。


Statue Of Liberty - XTC

 チャートインしませんでしたが、まさにNew Waveムーブメントの旗頭となる彼等の、シングルとしては最初の作品。変態ポップとも評される彼等ですが、オルガンが印象的な一見非常に伝統的なブリティッシュR&B的なサウンドでありながら、変わった和音構造と個性的なアンサンブル、アンディー・パートリッジのねじれたVoとひねりのきいたメロディーがおやっと思わせる・・・最初から彼等以外にあり得ない個性的な音ですが、よく聴けば過去の音楽-60年代ソウル/モッド/R&B、グラムとパンクがうまく出会った音でもあり、それをこなれた演奏で上手く収めているという感じです。それはある意味保守的ではあるのですが、その纏め具合、編集のアイデアが非常に斬新で、センスが良いというか、クレバーというか。そこが、彼等がPunk以後の、質が問われたNew Wave時代の先陣を切ったバンドのひとつと言える所以でしょうか。先に出した3D-EPは12インチという当時としては珍しいリリースフォーマットで、それが原因で売り上げに繋がらなかったと言われています。こちらの方は歌詞の一部が猥褻という理由で、BBCに放送禁止になってしまいます。チャートインしなかったのが実に残念な彼等のクラシック。

 前にPVも観れたんですが、今は見つからないようですので、TV番組"Old Grey Whistle Test"からのものです。


(アルバム)
 この月にトップ40にチャートインしたPunk/New Wave系のアルバムはありません。チャートインしなかったアルバムリリースとしては、こういうのがあります。

・The Album - Eater

平均年齢16才のパンクバンド、イーター。このアルバム1枚で消滅。
ここで試聴出来るんじゃないかと。

 映像もありました。私観れないんです(苦笑)が、どんなもんでしょう。ベルベッツやボウイのカヴァーもやっていたというのが興味深いですね。16でそこまで音楽の趣味が良いというのも、英国ならではでしょうね。

No Brains - Eater


・The Modern Dance - Pere Ubu

 素頓狂な痙攣ボイスをきかせる巨漢のリーダー、デヴィッド・トーマス率いるアメリカはオハイオ州出身のペア・ウブ。先鋭的アート性と狂ったユーモアが同居したバンドのデビューアルバム。ここで試聴できますね。

 わざとこういう並びにしているつもりはないのですが、短距離走で燃え尽きんとしたパンクと長距離走のランナーを多数抱えるニューウェーブ。その主役交代という意味でなんだか象徴的な2アーティストです。

 また、上に挙げたXTCのデビューアルバム"White Music"が1月20日に発売されています。これは2月にチャートインしますので、改めて書きたいと思います。


Jonathan Richman & The Modern Lovers シングル "The Morning Of Our Lives"
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Rich Kids シングル "Rich Kids"
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XTC シングル "Statue Of Liberty"
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Eater コンピレーション "The Compleat Eater"
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Pere Ubu アルバム "The Modern Dance"
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by penelox | 2007-12-27 11:11 | New Wave

英国ヒットチャートで見るNew Wave (8) 1977年12月

 ちょうど30年前にあたる1977年12月。12月の英国ヒットチャートはクリスマス恒例の大物アーティストのリリースラッシュがあり、だいたい新しいアーティストの作品は出ないものなのですが、特にこの年は8月にエルヴィス・プレスリーが亡くなったこともあって、年末にかけて10枚を越える彼の作品がエントリーしており、注目や売り上げという意味で各レコード会社の警戒心が強く働いたのか、この月に発売されチャートインしたPunk/New Wave勢のシングルというのは殆どないんです。来月1978年1月以降、New Waveの火の手はさらに広がりをみせますので、嵐の前の静けさ・・・そんな印象があります。

(なお、どうも私のPCではいまYouTubeも観られないようになってしまったようで自分で確認が出来ませんが、映像も一応紹介いたしますので御覧下さい)

(シングル)

Little Girl - The Banned (36)

 クロイドン出身、60's/R&Bを中心に演奏したバンドによる唯一のヒットは、アメリカのガレージバンド、The Syndicate Of Soundの66年のカヴァー。こういう音もまたPunk/New Waveの一角を占めていましたね。確認は出来ませんが、インメイツあたりと通ずるものだったのでしょうか。編集盤がCherry Redから出てる模様。


(アルバム)

 アルバムもこの月はチャートインしたPunk/New Wave作品はないようです。しかし、リリースされた歴史的作品はいくつかあります。

・Pink Flag - Wire

 この、当時としては全く異質な「パンク」バンド、むしろその後のテクノ、ポスト・パンクや、80年代のアメリカのハードコア・シーンに隠然たる影響力を持ち続けた彼等のデビューアルバムは、実はこの月にリリースされています。

 彼等のデビューアルバム、改めてこんなことを考えます-すなわち、体裁としては確かにパンク。しかし、もし、よくある「パンク」な音楽を予想して聴いて行けば、必ずある違和感に気付き出す。そして、結局ここにあるのはパンクの無惨に破壊された断裂面であり、彼等はむしろそこに力点を置いていることに気付かざるを得ない。つまりはそこに向き合うことを、いわばスタイルとしての「パンク」の葬儀に付き合うことを当時のリスナーにアピールしていたのだと-。その違和感をもたらす源とは、スタイルとしての必要以上のデフォルメ感と、それでありながらパンクにつきものの若さゆえのエネルギーとは異質の、熱のない異様な感触、でしょうか。バンドを結成してから楽器を買いに行ったというエピソードや、メンバーの「ロックでなければ何でもいい」発言などで補えると思うのですが、「パンク」のトレードマークたる若さゆえのエネルギー、情熱や怒り、初期衝動の無邪気さに依拠せず、冷静に「パンクロック」なるものを客観視し、ある目的のためにその表現形態を使って実験しているがゆえの不自然さ、奇妙さ、熱の無さ・・・そう言い換えてもいいでしょう。つまり彼等にとっての「パンク」、もっと言えば音楽とは、自分達の方法論を押し進めるための道具であり、ここでの、パンクのある特徴を執拗に突出させデフォルメし、そしてある意味全く違うものを載せて換骨奪胎させてしまうという方法論には、むしろ現代芸術的というか、実験的な発想が大きく内在していて、そのシュールさは別の意味で過激なものではなかったかと・・・まぁこれはもう既にあちこちで指摘されてるのかも知れませんが。つまりは大変批評的に、パンクロックの形を借りてパンクロックの解体を開始した、と言うことなのですが、1977年終わりの段階で既にこんなことをやってるんですよね。それが凄い。

 非常に稚拙な演奏と異様に短く、しつこいぐらいの反復構造を持つ曲という、必要以上にデフォルメされたパンクサウンド(時にそのありきたりなタームからも逸脱しますが)に乗って、パンクとは無関係に思わせるタイトルを持つ、それでいて意味ありげなテーマを匂わせた歌詞が歌われるそんな奇妙な、パンクに擬態したかのようなパンクスタイルの音楽がひたすら、次から次へと始まってはあっけなく終わる。そこに非常に恣意的なもの、そしてその意図を支える知性の存在が見えて来たら、彼等ワイヤーの狙いの第一段階が見えた、そういうことでしょう。この1stアルバムのそんな、知性で制御された全く別次元への破壊は、英国よりもむしろ大西洋の向こう側で理解されやすかったのか、その後アメリカのハードコアパンク勢に強い影響を与えたようです。私にとっては、ずっと熱心に追いかけつづけた人達、という程ではないのですが、"Mr. Suit"、"Reuters"、"It's So Obvious"、REMもカヴァーしたここに収録されている"Strange"あたりを長らく愛聴してましたね。

 その後「音楽」そのものの解体をさらに進めて行ったように思える彼等。どういう形で一時活動を停止し、新しいプロジェクトに移って行ったのかは分かりませんが、80年代後半に復活したときは、やはりパフォーマンス性が強いが、よりポップなニュアンス・・・という趣きだったのを覚えています(そのあたりは、Pere Ubuの復活にも似ていた気が)。今改めて初期の3枚を振り返れば、詳しい彼等の思想的背景はわからないけれど、やっぱり現代芸術/音楽におけるいくつかの方法論を、パンク勃発に際してその創作に意図的に当てはめたのでは・・・そんな気がします。つまりは、大衆芸能にその根を持つロックンロール、そしてそのリバイバルとしての側面を持つNew Waveではなく、アッパーミドル的な、あるいはアカデミックな教育がベースにある人間ならではの前衛音楽的側面としてのNew Waveの代表格ではないかと・・・なぁんて言うと愛情がないでしょうか? いや、私はどちらも気になりますし、それが上手い具合にミックスされたらより面白いと思っておりますので。それに、その両方が並立していたからこそ、New Waveは刺激的だった訳ですしね。ともあれ、このフレッシュでアヴァンギャルドなアイデアが77年に既に密かに蒔かれていたことで、79年あたりからのポスト・パンクの時代がさらに大きなものになったのは間違いないと思います。・・・そんな導火線としての印象をつらつらと考えさせる人達。

1.2.X.U. - Wire


・Suicide - Suicide

 昨今ではエレクトロニクス主体のロックミュージック全般の大きな源泉とみなされている気がする、アラン・ヴェガ、マーティン・レヴからなる、ニューヨークパンクの二人組のデビューアルバムもこの月にリリースされています。

Ghost Rider - Suicide

 クラフトワーク、ゲイリー・ニューマン(チューブウェイ・アーミー)、ジョン・フォックス(ウルトラヴォックス)といったあたりはエレポップ/シンセポップの開拓者として当時もよく紹介されていて、田舎の高校生(私)もそれなりに馴染んでいたのですが、スーサイドって、ちょっとだけそれらより早かったからか、ミュージックライフに写真入りでフィーチャーされてた記憶はないんですよね(笑/いや、もしかしたらされてたのかも知れませんが)。だから、個人的にはそういうポップなイメージはあんまりなくて、エレクトロポップ的な括りよりもむしろ、ヤバい! 危険! NY! ・・・そういうイメージばかり記憶してます。実際のところ、シンセサイザーの使い方(この楽器との距離感、といってもいいかも)からして、アメリカの人達だけに、ヨーロッパのアーティスト達とは相当違う気がしますしね。冷徹で緻密な構成感を打ち出すための道具、というよりも、エネルギッシュな暴力装置として使われてる感じ。それはまさに、ニューヨークそのものなんでしょう。


・Before And After Science - Brian Eno

 このアルバムも実はこの月にリリースだったんです。何かこう、毎月Punk/New Wave関連の歴史的名盤が出て来る感じがあって驚きです。昔はもっと否定的な扱いを受けていたPunk/New Waveですが、凄い時代だったのだということがわかっていただけるかと思います。元ロキシー・ミュージックのメンバーで先進的アーティスト/プロデューサーとして名高いブライアン・イーノがPunk/New Wave系のアーティストと関わるのみならず、この穏やかでありながら鋭さに満ちたVoアルバムやいわゆるアンビエト・シリーズをこの時期に発表して行くことも、テクノ/エレクロポップ/ニューロマンティックといった系統に多大な影響を与えて行く気がします。これもチャートインはしていませんが、アメリカでは171位まで上昇。

 昔からその傾向があったとはいえ、この頃から、チャートインしていないけれど名盤と呼ばれるものが実に多くなって行くのも特徴でしょうか。人気や売り上げ、ひいてはアーティストの評価の指標にまでなっていたナショナルチャートというものの価値が、必ずしも絶対的でなくなって来ることは、この後インディーチャートというものがクローズアップされて来ることで、さらに顕著になりますね。


・Life On the Line - Eddie & The Hotrods (27)

 先日もシングルの方を紹介した、この愛すべきバンドの2ndアルバムもチャートイン。


The Banned コンピレーション "Little Girl"
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Wire アルバム"Pink Flag"
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Suicide アルバム"Suicide"
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Brian Eno アルバム"Before And After Science"
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Eddie & The Hotrods "Life On the Line"
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by penelox | 2007-12-18 23:45 | New Wave

CD備忘録 2007年11月以降

■Aquarela Do Brasil - Dionne Warwick (1994)
 ディオンヌ・ワーウィック、ボサノヴァを歌う・・・それだけでも興味深いのだけれど、90年代の作品ということで、実に豪華な録音、それに比して声に昔ほどの溌溂感がない気がしてしまう。まあ、これは私がいつまでも70年代はじめまでの彼女を追い求めているからだけれど。もちろん、大変に円熟味を増した歌がここにあるのも事実。最初はちょっと元気がないけれど、2曲目からだんだん調子が出て来る感じ。自分でエグゼクティヴ・プロデューサーを務めているというのも面白い。

■The Original Soundtrack - 10cc (1975)
 もちろんあの"I'm Not In Love"収録でよく知られている10ccの名盤です。遠い昔にテープで何曲か聴いて以来。クイーンとの類似性と、知的でプログレッシヴなエンターテイメント性(こちらの方がカリスマ的なシンガーがいないぶん地味だが)を大いに確認できた。今英国の若手バンドに一番発掘されてない(でも一番学ぶべき)バンドのひとつ、という気がしている。やっぱり色々音楽を聴いてから触れると、また印象が違うなぁと実感。

■Amazing Grace - Sissel Kyrkjebo (1994)
■Innerst i sjelen - Sissel KyrKjebo (1994)
 ノルウェーの女性シンガー、シセル・シルシェブー。実に美しい声なのだけれど、品が良すぎるというか、余りに綺麗過ぎて引っ掛からない。民衆の唄というのはしかし、ここまで綺麗綺麗に終始するものだろうか。そこがどうにも、タテマエ界の音楽、という印象になってしまう。もっと下世話で残酷なものなんじゃないのか、フォークミュージックは、とか、どうにも下衆なやっかみさえ浮かんで来る私である。まだまだこの国のことをよく知って、何回も聴かないといけないな、とも思いつつ。

■The Best Of Dolores Keane - Dolores Keane (1997)
 冒頭の"Caledonia"がとにかく良い。この言葉をヴァン・モリソンも使ってたことを思い出す。枯れた声、すこし根っこがハスキーで、力強い。デ・ダナンにも加わったことがあるアイルランドのトラッド/コンテンポラリー系シンガー、という意味では、メアリー・ブラックと並ぶ存在なのだろうけれど、こちらの方がくたびれた感じ(褒め言葉です)で今の気分にはグッと来る。

■Making Dens - Mystery Jets (2006)
 ゴチャゴチャしたアレンジがヒッピー調の正体不明な奇妙なムードを高めている、英国の新しいバンド。ただ、コード進行やメロディーに閃きや新鮮味、おやっと思うものがあるかというと、そこは微妙。言わば、ポップフックの足りない、ブリットポップ以降によくあるタイプのブリティッシュポップ/ロックという感じ。でもその背後に何があるかはわからないので、まだ何度か聴くと思う。たとえとして出させてもらえるなら、ゴーキーズ・ザイゴティック・マンキやスーパー・ファリー・アニマルズ、スーパ
ー・グラス・・・このあたりの、勢いのある時代の作品に通ずるものを感じさせる。もしかしてそのあたりとの類似性からプログレとか言われてるのだろうか。個人的好みでいえば、悪くはないが、強烈に光る楽曲が欲しいなという印象で、物足りない。むしろ、こういうことの方が気になってしまう。つまり、英国音楽メディアでメシ食ってる人達もずいぶん甘いというか、"Brit Pop"以降、ちょっとばかりナショナリズムにかまけすぎて(英国印のポップ音楽という、自国の名物産業の防衛という目的もあろうが)保守的になってる気がする、ということ。

■The Nashville Sound... Owen Bradley - Various Artists (1996)
 ナッシュビルのプロデューサー、オーウェン・ブラッドリーの手になる1959年から70年に至るまでのカントリーの楽曲を集めた編集盤。所謂"Nashville Sound"(それまでのようにフィドルやバンジョーを使わず、エレクトリック・ギターや弦楽器、コーラスを多用、その後のカントリーの道筋を付けた)を堪能出来るが、コンピで10曲は少ない気がしてしまう。個人的にはやっぱりパッツィー・クラインが良い(ここにもあのコステロがカヴァーした"Sweet Dreams"が入ってた)。

■Time Out - The Dave Brubeck Quartet (1959)
 いわずと知れたジャズの名盤。特に3曲目の"Take Five"はポップ音楽のファンにもよく知られる名曲だと思う。50年代のジャズはやっぱり素晴らしいなと改めて。カッコつけや無駄なものが一切ない、純粋で素朴な音が清清しい。

■The French Collection Vol.2 - Various Artists (1991)
 いわゆるよくある廉価CD。フランスのポピュラーミュージックをある側面からざーっと見るには良いかなと思い購入。隣の国なのに、いや、しかし全く別の歴史を歩んで来た国だからこそ、フランスの音楽というのは、イギリスのそれとは強烈に違う。言葉が作り出す感触も違うし好まれる展開も、そして歌によって表現されがちな世界もずいぶん違う。そのあたりをつらつらと考えるきっかけにしたい。シャルル・アズナブール、ジャック・ブレル、ジュリエット・グレコからジョニー・アリディー、フランス・ギャル、エデット・ピアフ・・・まさにごった煮の編集盤。

■The Great Jazz Vocalists - Ella Fitzgerald (1996)
 またしても廉価盤CD、ええ加減正規盤を買わんかいな、というところだが。何も言葉が浮かばない、そんな声(どんな声?)。
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by penelox | 2007-12-17 23:03 | CD備忘録

英国ヒットチャートで見るNew Wave (7) 1977年11月

 このあたりから、リアルタイムで見覚えがあるものがポツポツ出て来ます。私は当時まだ小学校6年でしたが、結構感覚的に大人の世界のものに飢えていたところがあって-みんな当時はそうだったとは思いますが、昔は今程大人の世界に対して子供がさほど失望してなかったというか、まあ情報が限られていたからかも知れないですが、早く大人の味わってるもの、年上の人達が楽しんでるものを味わいたい、という背伸び願望がありましたね-運良く2つ上の中学2年の兄からのインプットが多かったものですから、ここに出て来るアーティストのジャケットの多くは、そういう懐かしいノスタルジックな記憶として思い出せるんですよね。いまだにみんな美しい(笑)。

The Modern World - The Jam (36)
 同月チャートインするアルバム"This Is the Modern World"からのシングル。これのアルバムの方は兄貴が持っていたので、特にジャケットを覚えています。なかも含めてシャープで洒落た(当時はそんな言葉は浮かびませんでしたが)デザインでした。
 デザインの重厚さ、シャープさ(英国独特の色彩の深さ)から、当時はものすごく大人の音楽に思えたものです(笑)が、今聴くと1stからの過渡期というか、曲作りに関してはすこし彼らなりの壁に当たってる感じはしますね。個人的には3rdで停滞を突破し、4thでポール・ウェラーのソングライティングが完成された...そう思ってますので。

Mary Of the 4th Form - The Boomtown Rats (15)
 ブームタウン・ラッツ、"Looking After No.1"に続く1stアルバムからのシングル「4年生のマリー」。こちらもTop20入り。タイトルだけで懐かしいです。勢いがまさに、デビュー当時の彼等らしさを際立たせてますね。

White Punks On Dope - The Tubes (28)
 アメリカ西海岸、サン・フランシスコのNew Wave、というよりはその少し前、プログレ、モダンポップとNew Waveのあいだを行くような音楽をやっていた、英国のクイーンやビー・バップ・デラックスなんかと同時代的な感覚を持った近未来バンドとも言えるバンド、初の全英ヒット。親のお金で遊び放題、暴力沙汰を起こしたりヤク中になったりしてる「中流白人のパンク」な若者達を揶揄した歌詞は、流行りとしてのパンクが社会問題となるなかで、特にウケたでしょうね。当時所謂"Punk゛というものが世間からは問題視、もっと言うと馬鹿にされていたというのがよくわかると思います。まあ、いつの時代にもこういう側面を持つ若者たちの行動はあり、それらを面白可笑しく報道した挙げ句、今度は一転して叩く、というパターンは必ずありまして。ただ、叩かれたからこそPunk支持者たちにはただのヤク中で終わらず(?)、負けじとクォリティーを上げて行った人達もいた、とも言える訳で、それがNew Wave/Post Punkにおける社会への関わりに繋がって行った部分も見逃せないと思います。こちらでは映像はないのですが歌詞が掲載されてます。

 一方こちらの映像を見ますと、シアトリカルなぶん、皮肉が強調されていて、これが当時大多数にイメージされたパンクス、というのがよくわかります。結果的には所詮パンクなんてニューヨーク・ドールズやアリス・クーパーの真似しだろう・・・みたいなアメリカ人の視点がうかがえる気もします。

Watching The Detectives - Elvis Costello & The Attractions (15)
 コステロ最初のTop20入りシングル。前にも書きましたが、この頃レゲエビートを導入したバンドは多かったんですよね。しかし、当然というべきか、柔らかくゆったり聴ける感じにはならず、厳しく冷たく、ギクシャクした音像。そして、やはり過剰なまでの怒りが彼自身から放射されてる感じ。

 録音では確かグレアム・パーカーのバックバンドThe Rumourが演奏してると思うんですが、TV出演では新たなバックバンドとなるThe Attractionsが登場、以後数年はElvis Costello & The Attractionsとして活動することになります。それにしても、当時のコステロは、触ったらこちらがケガしそうな侠気みたいなのが迫って来ます。近寄るな、とでも言いたげな。こういうものを中高生ぐらいで見てしまうと忘れられないものなんですよね。


 Punkとは直接関係ないように見えるかも知れませんが、実はロックンロール/オールディテーズ・リバイバルも同時期にありまして、そのへんもPunkの一部と(ある無意識のなかで)繋がってたことも忘れてはいけない、という訳でこのあたりも。

Daddy Cool - Darts (6)
 こういう、オールディーズ・リバイバルも、健然なシーンの新陳代謝の象徴と言えるのかも知れません。バック・トゥー・べーシックな部分はあきらかにNew Waveの一部と連動していました。

Dancin' Party - Showaddywaddy (4)
 50年代風テディーボーイファッションに身を包み、当時コンスタントにヒットを飛ばしたいわゆるオールディーズ・リバイバルなパーティー・バンド。こういう、楽しいオールディーズ・ポップまで出すと、たとえばベイシティー・ローラーズも・・・という感じになって来るかも知れませんが、彼等も一部では(Power Popつながりで)New Waveと繋がってると個人的には思ってるんですね。こういう古いものの見直しを求める気風が当時あり、それがその新しい動きの片翼を担っていた、ということも注目したいんですね。New Waveというのは、あの時代における音楽のリフォーメーション(作り替え/改善)の動き全体を呼んだのですが、そのなかには健然な新陳代謝である広い意味でのリバイバル(露骨にそれは出しませんが)も含まれていたということです。そこをやっぱり忘れたくない。もちろん、結果的に表現される感情の多くはここにある楽しさとは対極ですが、それは、若さ、純粋さに依拠した反発/批評性/ヒネクレのどれかであって、楽しさを完全に放棄したものではない・・・むしろ当時の新しい感覚で強引に古いものも取り込んで違うものに作り替えて行ったと言えるもので。その強引さゆえに反発や誤解もまた生んだとも言えますが、それがNew WaveのNew Waveたるゆえんだったと思っています。


(アルバム)

・Stick To Me - Graham Parker & The Rumour (19)
 3枚目となる本アルバムで遂にパーカーもTop20入り。パンク勃発前から活動を続け、76年にニック・ロウのプロデューズでデビューした彼は、当時「怒れる若者」のひとりと数えられ、Punk/New Waveの動きと結び付けられたのでした。音楽的にはパブロックからの匂いをかなり残していて、コステロ、ジョー・ジャクソンといったひとたちの道を切り開いた存在と言えるでしょう。彼をNew Waveと呼ぶと、今の日本ではあまり同意は得られないかも知れませんが、個人的には当時の感覚としてその範疇に入れてもおかしくないと思っています。コステロと並び立つ存在、むしろソウルフルな迫力という意味では上で・・・なんて言ってもまた理解されないかも知れませんが(苦笑)。
このアルバムも良いのですが、お気に入りの曲ということで、こちらを。

Don't Ask Me Questions - Graham Parker & The Rumour
 これは名作1stアルバムのラストの曲です。もともとはレゲエビートなんですが、この映像ではディスコっぽさもさりげなく入って来ているのが面白いですね。当時ディスコ・ビートというと業界による金儲けの道具として糾弾されたものなんです。しかし、もともとディスコがゲイコミュニティーなどのマイノリティー文化から来ていたものということがのちに理解されると、ガラッとその評価が変わって行きます。

Heat Treatment
 こちらも素晴らしい2ndアルバム"Heat Treatment"から。モータウンにも通ずる古き良きソウルをPunk/New Waveの時代に甦らせた名曲。

・Never Mind the Bollocks - The Sex Pistols (1)
 遂に、Punkの中心的存在による歴史的なリリース、当然のごとく初登場1位を獲得。これまでシングルごとにレコード会社とトラブルを繰り返して来た彼等、このアルバムはもったいつけた末のリリースだった訳で、業界イベントとしての「パンク」としてはこのリリースこそがまさに一番待ちに待った瞬間だったでしょう。しかしこれがまた、「パンク」のある意味での終わりであったという気もしてしまう、それこそが刹那的な象徴としてのパンクというものの宿命のような気がします。これで所謂代表的パンクバンドのアルバムが全て出そろったのですが、ここから何をどう発展させるか、という意味では、一番そういったビジョンがバンドの音に見えないピストルズが最後に出た、というのは何か象徴的でした。翌年1月にはロットンが全米公演中に脱退(ジョン・ライドンと本名に戻しPublic Image Limited結成へ)、バンドは事実上解散に追い込まれます。

 改めて彼等の音に思うのは、よく出来た楽曲を作ったグレン・マトロック、職人的にしっかりした音に収めたプロデューサーのクリス・トーマス、そしてボーカリスト/作詞家としてのジョニー・ロットン、やはりこの3つの才能が目立つ、ということですね。あ、もちろんマネージャー、マルコム・マクラーレンの才能も認めますよ(笑)。
 これもいつのまにか兄貴のレコード棚にあったのですが、Punkの歴史的レコードなんてことは何も知らず、かけたら音が出ることさえも意識しないまま(笑)、何年も経ってから聴いた覚えがあります(PILより後でした)。

・Greatest Hits - Roxy Music (20)
 彼等も、再始動に向けてベスト盤を発表。約一年半後にニューラインナップで久々に作品をリリースして来る時(79年3月にシングル"Trash"、アルバム"Manifesto")には、ニューロマ/フューチャリストの先輩格というスタイルを纏って登場します。あぁ、これも兄貴もってたなぁ・・・なんでこの月に出たレコードあたりから急にあったのか不思議(笑)。

・This Is the Modern World - The Jam (22)

・Rock 'n' Roll Over the World - Status Quo (5)
 ロックンロール/オールディーズのリバイバルついでに言えば、AC/DCとともに、こういうブギ・バンドも当時人気が高かった(日本でもダウン・タウン・ブギ・ウギ・バンドが・・・笑)。彼等ステイタス・クォーの名曲も実はこの頃です。いや、彼等がNew Waveだなんてもちろん言いませんし、むしろ対極と見られていたかも知れませんが、当時のムードを感じて欲しい、ということで(笑)。

9月にこの同名シングルをリリースし、全英3位になっています。

Rock 'n' Roll Over the World
今となってはこちらも大好きなんですけどね、10代の頃だったら馬鹿にしてましたね(笑)。 

The Jam アルバム"This Is the Modern World"
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The Sex Pistols アルバム "Never Mind the Bollocks"
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Graham Parker & The Rumour アルバム "Stick To Me"
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Roxy Music ベストアルバム "Greatest Hits"
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by penelox | 2007-12-11 00:49 | New Wave

阪神2007年の総括 + 2008年の展望 (2)

 なんかニュース見てるとグライシンガーもクルーンに続いて巨人に行きそうだとか。
嫌やなぁ・・・しかし考えてみればここ数年の阪神がやってることというのは、言わばミニ巨人化であって、情けないと言ったら情けない。広島さんに申し訳ないのだ。本当は現有戦力を底上げしないとどうにもならないのに。自前のエース、4番が育たない悲しさよ。

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 今年打線が駄目だったというのは、もう周知の事実だけれど、結局、何がダメかと言って、金本を乗り越えようかという若い選手が出て来なかったからだ。いや、確かに林、桜井は伸びたのは事実。しかし、もうだいぶ前から言われ続けていた選手だということを忘れてはいけない。やっと出て来たという感じで、本当はまだまだ物足りないのである。それに、1,2年よくてもすぐに不振になったり、故障したりと、ヤワな選手が多いのも事実。このふたりがいつ濱中や今岡と同じ道をたどるかわからない。金本以外に5年ぐらいコンスタントな成績を残せる選手がいないのが問題なのだ。

 ここ何年かは、金本を打の、矢野を守の要として頼って来たけれど、このふたりはもともと阪神の選手ではない。この人達が元気でいる間に新しい柱を育てなければならないというのが課題だったはずなのだが、来年40になる、衰えが見え始めたふたりを、実力で控えに追い込むような選手がいない。今岡、濱中、関本、鳥谷はどうなった・・・。来季はさらに苦しいと言わざるを得ないでしょうね。

 ケガで一年フルで出るのは苦しい赤星、シーツ退団、濱中放出。そして林は手術で開幕に間に合わない。今岡の復活は期待したいけれど、これもまた安藤、福原と同じように、衰えかも知れないのである。いないと考えた方が良い。たぶん岡田監督もそう思っているのだろう。もちろん復活は待っているのだろうけれど。

 で、そういうことをアタマに入れて、岡田監督が考えていることを推測すると、来年はたぶんこうなるんじゃないかと予想する。赤星と(オリックスから移籍の)平野の併用。鳥谷の下位打線行き。あとは新外国人と今岡、桜井、林の併用。このあたりがポイントでは。

打順はたぶんこうじゃないかと。

1 8 赤星/平野
2 4 平野/関本/藤本
3 7 金本
4 5 新井
5 9 新外国人/桜井
6 3 林/今岡/新外国人
7 6 鳥谷/坂/大和
8 2 矢野/野口/狩野
9 P

 今年よくわかったのは、積極性に欠ける鳥谷では打線を引っぱれないということ。ゆえに、やっぱり怪我は気になるけれど、1番は赤星しかいないではないだろうか(赤松ではあまりに頼り無い)。たぶんそのつもりで取ったのだと思うので攻撃的で器用な平野と併用で。3、4番はこれで不動だと思う。5、6番は順番が変わることも十分あるけれども、結局このあたりの争いになるのでは。林は開幕に間に合わないらしいし、新外国人もアテにならない。だから、桜井がどれだけやれるか、それと今岡がどの程度復活するかによって、ここは大きく変化しますな。7番は鳥谷で固定。しかし、もし相変わらずだったら、坂とか、二軍から大和とかを持って来る手もあるのではないだろうか。毎年2割7,8分、HR10本程度では、あかんでしょう。これではまるで悪い意味での藤田平化である。鳥谷本人への刺激のためにも、坂と大和のパワーアップを切望する。8番のキャッチャーというのも決まりでしょうね。でも、たぶんこの3人の併用になると思う。個人的には野口がもっと使われて良いと思うけれど。

正直言って、新井が頑張ったとしても、金本が予想以上の活躍をしても、それだけではダメであろう。若手が彗星のように・・・というのは、来季はあまり見込めない(そういう選手が2軍にいない。敢えて言えば野原か)。結局、今岡が3割、25本、桜井が2割8分、20本、林が3割、30本ぐらいの活躍をしないと、来年は優勝どころか、Bクラスになる可能性が濃厚ですな。非常に残念だけれど。



宝塚の星今岡〜、復活してくれ〜(祈)
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by penelox | 2007-12-06 22:21 | 野球のことしか語らない場所

英国ヒットチャートで見るNew Wave (6) 1977年10月


 この月はまだ英国ヒットチャートに登場するPunk/New Wave系のアーティストというのはさほど多くはなくて、この段階で知名度の高い最初のPunkバンドいくつかが頑張り続けているという感じですね。その一方で地下のあちこちからからヒタヒタと新しい潮流がしみ出してはじめているというべきでしょうか。翌年、一気に奔流となって吹き出して来る前兆と言ってもいいのかも。

Complete Control - The Clash(28)

 ピストルズ、ダムドと並ぶPunkシーンの雄。ファンに対する誠実な姿勢が一番クローズアップされるのが彼等でしょうかね。外交官の父を持つアッパー・ミドルの出身ながら、アートの世界に進みドロップアウト。バスカー、101er'sを経てクラッシュのメンバーとなったジョー・ストラマー。当時既に25才だった彼は実際のところかなり複雑な人生を経て来ているようで、それがのちの音楽的引き出しの多さ、詩人としてのテーマの大きさに繋がっていると思いますね。のちに典型的なPunkの音から脱却して、彼等なりに時代と格闘しながら最新型ダンスミュージックを追求して行く訳ですが、これはまだ3枚目のシングル、まさに煽動するかのような荒々しく生々しいパンクロック。

2-4-6-8 Motorway - Tom Robinson Band (5)

 そして、この名曲もこの月にエントリーし、トップ10入りの大ヒットを記録、その独特のスタンスがまた大きな反響を呼びます。このヒットはPunk/New Waveがその初期の動きにおいて政治性/社会性も強く帯びていることをアピールしたきっかけのひとつであり、彼等がその大きな一翼を担ったのは間違い無いでしょう。

 当時雑誌で彼等のことを読んだ時は驚きでしたね。たぶんこの後のバンド、セクター27から辿ったのだと思いますが、当時の日本の社会全般の認識としては、欧米的な感覚っていうのはまだまだかなり遠いもので、彼の立ち位置を受け入れるのに最初は少々困惑した記憶があります。高校生のアタマには、彼等が「人種、性別を含むあらゆる社会的マイノリティーのために歌う」バンドで、リーダーのトム・ロビンソン自身がゲイで・・・ってところだけでちょっとしたショックだったんですね。何しろそういう姿勢、あり方っていうのはまだまだ日本の一般的な認識として定着しておらず、ゆえにそういうバンドは見た目も態度もそれ風なものだと思っていましたからね。それが、メンバーのルックスも、音楽スタイル(地に足のついた伝統的なポップロック)そのものにもそう思わせるものは何もなくて・・・まあ要するに当時の私が単に偏見バリバリ、何も知らないガキンチョだった(苦笑)訳ですが。ただ、学生運動は既に退潮して、時代はバブルに向けての高度消費時代。社会について何かを考えたりということさえ忌避されて行く時代の日本でしたからね。その英国流の柔軟さには非常にフレッシュな感動をもらったものでした。Punk/New Waveというのがマイノリティーの視点を汲んだリベラルな左からの幅広い運動であった、という意味は、こういう人達の登場にも象徴的だったように思います。

Holiday In the Sun - The Sex Pistols(8)

 翌月初登場1位を飾るデビューアルバムの露払いとでもいうべきシングルカット。しかし、アルバムはもちろん大ヒットするものの、正直出るのが遅かったというか、Punkとしての旬を逃したのではないかという気もします。既に主だったパンクバンドはアルバムをリリース(ストラングラーズに至っては2ndも出した)、New Waveという括りが出始め、次の段階へ向かうために各バンドが模様眺め・・・といったところだったのではないでしょうか。まあこれは、マネージャー氏の戦略でもあったかも知れないので、判断は難しいところですけれど。

Egyptian Raggae - Jonathan Richman(5)

 それにしても相変わらずコンスタントにヒットを飛ばしてますね。ジョナサン・リッチマンが英国でここまで愛されたのは何故なんでしょう。確かに英国で受けるアメリカ人(本国のメジャーシーンでは勝利できそうにない、知的でユーモラス、ウィットに富んだ、腕力なさそうな東海岸のリベラル的なタイプ)の要素を持ってると言えば持ってますね。もちろん才人だと思いますが、英国的判官贔屓も多少入ってたのかも知れませんね。

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 あと、Punk/New Waveが徐々に"New Wave"の方にその重心を移して行く過程において、この2アーティストのこの時期のヒットも、後々大きな意味を持って来るのではないでしょうか。すなわち、グラム・シーンにおいて中心的存在を担ったデヴィッド・ボウイとロキシー・ミュージックです。

Heroes - David Bowie (24)

 私は兄がロキシーばかり聴いていたので、その影響でデヴィッド・ボウイはやや距離があった(美男子過ぎるのも男としてはヒガミが入る理由だったんでしょうかね。それに比してフェリー先生は・・・笑)んですが、ここまでの彼の活動がNew Waveに与えて行く影響ははかり知れないんじゃないでしょうか。この時期のヒットもまた、のちの動きにつながって来る気がします。

Virgina Plain - Roxy Music (11) (Re-Issue)

 ベストリリースにあわせて再発されたシングルが大ヒット。今ボウイと並べて聴くと、やっぱりロキシーは(特にこの時代は!)どこか異物感というか素頓狂というか、かっこいいんだか珍妙なんだかわからないその微妙なところが野郎向けなのかも知れません。ある意味子供のプラモデルのような、継ぎ目だらけの接合面が露になった音楽。彼等もまた、New Waveの兄貴分として、復活を果たします。

ちなみに右端で奇妙な音を出してるシンセ奏者が、かのブライアン・イーノです。

(アルバム)

Lust For LIfe - Iggy Pop (28)

The Passenger - Iggy Pop

 有名な曲ですけど好きなもので挙げてみました。何か甲本ヒロトのステージファッションを連想したりもするんですが、どんなもんでしょうか。このデトロイト出身、60年代からストゥージズを率い、オリジナル・パンクのひとつとして「パンクのゴッドファーザー」の評価を得る男が、上のボウイのプロデュースにより復活して行くという構図も面白いですね。この時期のボウイがいかにPunk/New Waveの広がりに関わっているかは興味深いところ。

No More Heroes - The Stranglers (2)

New Boots and Panties!! - Ian Dury (5)

 イアン・デュリーもパブロック、Punk、New Waveの橋渡し的な存在として強烈な存在感がありました。キルバーン・アンド・ザ・ハイローズを経ての成功ですね。

Wake Up and Make Love with Me - Ian Dury

Heroes - David Bowie (3)

 それにしてもう〜んと唸りたくなるアルバム・チャート。なんかこう、凄い贅沢なんですよね、この並び。当時の英国人がうらやましい。それにしてもストラングラーズとボウイが、全く逆のタイトルなのも面白いです(サビも反対のベクトル)。同時期に出たのは単なる偶然だと思いますが・・・。

 最後にもうひとつ。チャートインしなかったとはいえ、この月でPunk/New Waveにおいて特筆すべきアルバムと言ったら、これでしょう。

Ha! Ha! Ha! - Ultravox

 彼等の2ndアルバム。アイランドと契約した彼等、1stアルバムはこの年の春に出たのですが、こちらも残念ながらチャートインせず。John Foxxが率いたこの時代は、のちのチャートの常連となるミッジ・ユーロ在籍時とはまた違う、New Waveの先駆者として、評価は高いものの、セールス的には不遇な時代でした。お聴きいただけるとわかるように、暴力的イメージに括られるPunkとくらべると、攻撃性を持ちつつも、その核心は非常に内省的(というか、その逆のような気もしますね)。知性、芸術性、どれを取ってもPunkから一歩進んだ内容を見せており、彼等もまた先月のThe Only Onesとともに、少し早過ぎたNew Waveと言えるのでは。この2ndからの曲をふたつ。

Hiroshima Mon Amour - Ultravox

 先に挙げたボウイ、ロキシーと並べると、その影響も強く感じますし(特にロキシー)、そういった要素と同時代性の見事な同居が、まさにその後のNew Waveの地平を切り開いたバンドという感じです。

Man Who Dies Everyday - Ultravox

The Clash ベストアルバム"The Essential Clash"
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Tom Robinson Band アルバム "Power In the Darkness"
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Ultravox アルバム "Ha! Ha! Ha!"
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David Bowie アルバム "Heroes"
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Ian Dury アルバム "New Boots And Panties!!"
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Iggy Pop アルバム "Lust For LIfe"
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by penelox | 2007-12-06 17:33 | New Wave

阪神2007年の総括 + 2008年の展望 (1)

 野球日本代表決めましたね、北京五輪。
 やっぱりサッカーより野球の人間としては、ここ二晩は燃えました。
 最終戦は試合終了になんとか帰宅して間に合いましたが。

 上原というのは改めて凄い投手なんだなと再確認。あの状況でのあのコントロールというのは、もう、あっぱれ(大沢親分じゃないので念のため)。やっぱり精神面というのは大事なんだなと思う。巨人なのが悔しいけれど(笑)。
 来年からタテジマを着る新井選手がHRを打ったのも嬉しいところ。いや来年が実に楽しみ。


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 今年のプロ野球、何か色々ありました。結局中日が日本一になったけれど、最後の最後が何かしっくり来なかった(でもその時TVで見て無かったので、何とも言えないのですが)・・・まあそれは別として、我が阪神。こちらは問題だらけ、課題だらけでした。よくあれで3位に入ったものだと思う。10連勝はすごかったけれども、全体としてはあまり印象に残らないシーズンでした。それはたぶん、投打の柱が若い世代から出て来なかったのが原因ではないかと思う。もちろん上園、林、桜井、狩野の台頭はありましたが、まだまだ大きな柱じゃないですしね。来年はまだわかりませんもの。


 まずは投手陣。
 何しろ先発総崩れ、これに尽きますわ。結局今年一年、井川の穴は埋まらないままだった。規定投球回数に入った投手がひとりもおらず、来年不惑の下柳がただひとり2ケタ勝利という惨状。もちろん新人の上園が頑張ったのは良かったけれど、正直JFKだけで何とかここまでの成績に持ち込んだと言っても過言ではなかろう。特にがっかりだったのが安藤、福原、杉山。この右3人はホントに何をしとったんでしょうか。そりゃ怪我やったとか、投げられなかったとかなのかも知れないけど、それだったら完璧に調整してから戻って来いやという話。帰って来てからもボコボコ打たれて、特に安藤、福原には、正直、衰えという嫌な言葉もよぎるのである。左腕の方も伸び悩んだ。新人小嶋は最初だけ、岩田は結局ひとつも勝てず、中村泰ももうひとつでモノにならずとうとうトレードされてしまった。復活が期待された三東に至っては引退である。能見も一年通してみるとなんだか中途半端で、結局良いのか悪いのかよくわからなかった。ゆえに、ファンとしてはなんで江草を先発にしてくれないんかな、岡田監督、と言いたくもなるのである。そりゃ中継ぎは弱くなるかも知れないけれど、2ケタはしまっせ。使い続けてエースに育ててやったらどうですのん、と。

そこで、僭越ながら、来年はこれでええんとちゃうのん、と勝手にローテーションを組んでみた(笑)。まあ誰も私の意見など興味はないだろうけれど。

(先発) 基本は5,6人ですが、候補として多めに。

・グライシンガー(もう入ったことにしている)
・上園(2年目だから少し苦しむと思う。5,6勝はするでしょうけれど)
・下柳(そろそろ2ケタはキツいかも)
・金村(2ケタ希望だが、まだわからない)
・久保田(先発希望をのんでやって欲しい。彼が一年先発やるのも見てみたい)
・ボーグルソン(嫁はんのCMも延長YA!でも来年化けるかはちょっとわからない)
・江草(この人は2ケタする力あると思いますデ。頼り無い杉山は正直買えない。年に一度良いピッチングでは若い頃の伊藤ではないか)
・岩田(この人も一年先発ローテで回して欲しい。5勝ぐらいしたら伸びて行くと思う)

福原、安藤、杉山、能見、太陽は来春のキャンプ次第ですな。こうしてみると、候補は多いんですけどね。

(中継ぎ)

・橋本(この人を先発に回すのも面白いと思ったり思わなかったり)
・渡辺(来年は彼が重要だと思う)
・筒井/正田(左のワンポイントが欲しいところ)
・桟原(来年は正念場)
・ウィリアムス

(抑え)

・藤川


う〜ん、井川、帰って来てくれ〜・・・


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by penelox | 2007-12-04 23:30 | 野球のことしか語らない場所

英国ヒットチャートで見るNew Wave (5) 1977年9月

Waiting In Vain - Bob Marley & The Wailers(27)

 "No Woman No Cry"(1975年9月22位)、"Exodus"(1977年6月14位)に続く、ボブ・マーリー3曲目のトップ40入り。81年に残念ながら病死するのですが、この後も特に80年代前半にかけて何度もチャートインし続け、揺るぎない人気を保ちます。72年に英国アイランド・レコーズと契約してからの10年足らず、この時からはわずか4年足らずで、36年という短い生涯を終えてしまうこのレゲエ界の巨人。彼がこの時代にいたというのも考えてみれば凄いことです。決してレゲエを熱心に聴く人間ではない私ですが、もしこの場にボブ・マーリーが居合わせていなかったら、Punk/New Waveもここまでの厚みと大きな広がりは見せなかったということはわかります。

 とは言え、レゲエがPunk/New Waveにどれくらい影響を与えたのか、それをチャートだけで細かく説明するのは難しいでしょうね。むしろ、このレゲエ・ビートを取り入れたバンドが(流行りも含めて)この時期英国にたくさん出現した、というところから、本格的なホワイト・レゲエバンド、人種混成バンドの登場、79年以降特に目立ちはじめるインディーシーンでのダンスミュージックの興隆に至るまで、現象的には様々ですけれど、この音楽のスタイル、そしてそこに含まれていたヴァイヴレーシヨン/メッセージが、当時の英国の若いアーティストと鋭く共鳴し、影響を与え、何かを動かしたのは間違いないと思います。やっぱりそこがとても大事だったんじゃないかと。

Your Generation - Generation X(36)

 ビリー・アイドルを輩出した、ということでよく知られるバンドですが、むしろ今のパンクバンドと並べても殆ど遜色ないところに特徴がありますね。現代のメディアで言うところの"Punk"のある種のプロトタイプなのかも知れないバンド。私自身は影響は受けてませんね(笑)。

No More Heroes - The Stranglers(8)

 翌月リリースされ全英2位まで上昇する2ndアルバム"No More Heroes"の先行シングル。これでストラングラーズは3曲連続でトップ10入り、「パンク」バンドとしては非常に安定した人気を保っている印象。Punk/New Waveのポピュラリティーという意味では、彼等のコンスタントな人気ぶりはやはり特筆すべきですね。

・・・なぁんて客観的に書いてますが、やっぱり4thアルバム"The Raven"の衝撃が忘れられない人間なので、どこへ持って行っていいかわからないある種の衝動を、またこの曲で着火されそうで恐い。そういう、恐い曲のひとつなんですけども。

 彼等がこれほどのポピュラリティーを得た理由を私なりに分析してみます。やっぱり、パンクバンドとしての危険な香りと、ポップバンドとしての安定感の絶妙なバランスでしょうかね。こういうと、何か彼等をちゃんと評価してないみたいにきこえますが、安定感というのは、知性と良質のポップミュージックへの愛情に裏付けさられた穏健性、保守性、大衆性、エンターテイメント性の表出と言い替えて良いかも知れません。思うに彼等って、二つのイメージがあって、ひとつは特に初期の過激な発言や歌詞、これも初期のギグで問題になった暴力沙汰などから出来上がった攻撃的なイメージ。それと、これは特に80年代以降顕著になる、非常に静的なイメージな訳です。時代を経て変化し、前者から後者へと落ち着いて行ったという見方がよくなされますが、音楽自体を聴いて行って私が思うのは、もともとはじめから両面があり、それは攻撃的な表層と穏健な内面の本質、という構造になっていて、それが次第に表出するようになっただけなんじゃないかということ。初期においても、静的な佇まいはニヒルの鎧の下に見えている気がするのです。

 で、一見相反するその両要素が矛盾することなく両立しているところに彼等の懐の深さがあり、その両面を乖離することなくつなぎ止めているのが、パンクバンドとして括るにはいささか熟練した演奏力やしっかりしたソングライティングであり、歌詞に表出する知性なのかなと。初期の暴力性というものも、演技ではないとしても、知性によってコントロールされたもので、むしろある種の勇気を持って振り絞った意図的な暴力性である気がするんですね。それはPunk/New Waveという時代の風に後押しされた部分でもあったかと。逆に言えば、それが日本で正当な評価を得られない理由(日本人が考える典型的なパンクバンドに見えない理由)なのかも知れないなと。私が惹かれるのはしかしながらそちらの要素で、たとえばこの曲も内向的な文系青年が多少無理して宣言してる感があって、今となってはそこに何とも惹かれます。その視点で見てるものですから、80年代の彼等は私のなかでは、どんとん肩の力が抜け良くなって行く印象がありますね。

 知的営為としてのPunk/New Waveには興味あり、しかしスポーツ感覚、その場限りの馬鹿騒ぎという意味でのPunkにはあまり興味が無い・・・そんな向きには、以下のような経歴は彼等のそういう本質のバックグラウンドとしての証明になるのではないかと。すなわち-生物学の博士号を持つヒュー・コーンウェル(当時28才)、クラシックを学び高い技術力のオルガンプレイを際立たせるデイヴ・グリーンフィールド(当時28才)、ジャジーなドラミングを見せる当時酒類販売会社の経営者であったジェット・ブラック(当時既に39才。来年なんと70!)、そしてリードベースとでも言うべき独特のプレイをみせるジャン・ジャック・バーネル(当時25才)。彼はフランス系イギリス人で、大学で経済を学んだ彼はまた、当時は三島への敬愛と極真空手を学んでいることで日本贔屓ということが殊更に強調されていましたね-19、ハタチの熱い思いをぶつけたアートスクール出のPunksとは全く違う知的バックグラウンドと意気込みを持っていたというのはこれだけでもわかるのでは。もちろんこれらの事実を無視しても楽しめる音楽ですが、この経歴を知ったうえで、その音楽の核に注目するとより聴き所が見えて来るような気がします。

She's A Wind Up - Dr. Feelgood(34)

 ニック・ロウ制作、ブルース/R&Bをスピードアップした彼等独特の音楽を追求。余談ですが、スティッフレーベルというのは、そもそもこのバンドのVoであるリー・ブリローから(マネージャーのジェイク・リビエラが)お金を借りてスタートしたんだそうです。

その他、TOP40入りしなかったものとしては、こういうのもあります。

■Dancing the Night Away - The Motors(42)

 彼等の1stシングルですね。パブ・ロックバンド、ダックス・デラックスのメンバーによる新バンド、彼等もPower Pop/ロックンロールリバイバル的な初期Punk/New Waveシーンになくてはならない存在。ヴァージンからの1stアルバム"The Motors"は翌10月にチャートインし、46位まで上昇。

Search And Destroy - Dictators(49)

 MC5やストージズといったデトロイトパンクの流れも汲む、NYパンクのもうひとつのエネルギッシュな側面を代表する人達による、唯一UKチャートに入った曲。

 やはりPunk/New Waveフィーヴァーは過熱する一方だったようで、この時期にはたくさんのPunk/New Waveシングルがリリースされたと思います。

■Lovers Of Today - The Only Ones

 このシングルがこの月に出たのかは不明ですが、77年9月13日にBBCにてジョン・ピール・セッションを録音、この曲も入っています。

 翌78年に1stアルバムをリリース(チャートインせず)するオンリー・ワンズのスタイルもまた独特で、あまり英国風ではないところに彼等らしさがあるのかも知れません。ピーター・ぺレットの独特のフワフワしたVoとサイケデリックな歌詞にはディランやベルベッツの影響、そしてもちろんNYパンクとも共振していた要素はあるのでしょう。世代的にはパブロックの頃からやって来た世代で、Punk/New Wave期に古い音楽をフレッシュな感覚で甦らせたという感じです。ペレットの拙い少年のようなVoスタイルは、のちの80年代のネオサイケやギターポップのある部分に与えた影響が少なく無く、マガジンとともに、まさに「早過ぎた」音楽と言えるのでは。

(アルバム)

The Boomtown Rats - The Boomtown Rats(8)

 このデビューアルバムがトップ10入りし、先月のコステロの1stとともに、ますますNew Waveの動きは加速して行きます。このアルバムからはもうひとつ、"Mary Of the 4th Form"が11月にトップ20入りしますが、それはまた今度ということで。


Bob Marly & The Wailers ベストアルバム"Legend"
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The Stranglers アルバム "No More Heroes"
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The Only Ones ベストアルバム "Another Girl Another Planet"
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by penelox | 2007-12-02 17:24 | New Wave