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The Essential Electric Light Orchestra - Electric Light Orchestra (2003)


 70年代半ばから後半にチャートを賑わしたビートルズの流れを汲むメロディアスなポップを得意とする職人、ジェフ・リンによる名バンドELOのベスト。ポップミュージックのスタンダードとでも言うべき「オーロラの救世主」をはじめ、名曲てんこ盛り。彼等に敢えてケチをつけるとすれば(いや、つけなくても良いのだが)、甘い曲が多すぎるところか。ポップミュージックをこよなく愛するつもりだが、たまには辛いものや苦いものも食べたいので、そのあたり、ELOはあくまで甘酸っぱさを味わいたい時向けという認識。
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by penelox | 2008-02-29 23:54 | CD備忘録

Clouds - True Love Always (2003)

 街角で時折ほんの少しだけ頬に触れる爽風のような、あるいはカヴァー写真にあるような淡い白昼夢のような一瞬が思い浮かぶような、そんなささやかなギターポップ。たぶん彼等は変わりたくないのだな。変わることで何かを失うことを恐れている-それはよくわかる気がする。だから、彼等が音楽を奏でることでやりたいのは、おそらく今言ったそんな一瞬を音楽で切り取りたいという、それだけなんではないだろうか。もしそうなら、それはそれでまた納得はする、ひとつの方法論だから。フォーマットはベストの時と基本的に変わっていないけれど、ベースのドライブ感が向上して音がタイトに締まって来た。また何曲か要所で聴かせる女性バッキングVoが良いアクセントになっていて、彼等らしさというものが確実に感じられる作品となっていると思う。もっと楽曲はバラエティー豊かにできるはずだろうし、前述のベスト盤で期待したような方向に成長をした訳ではないけれど、80年代前半の人達が背負っていた重みとも、90年代前半のうつむいた感覚とも違う、この時代なりのギターポップの陽だまり感や空気感がリアルで良いと思う。
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by penelox | 2008-02-27 22:24 | CD備忘録

Spring Collection - True Love Always (2001)

 アメリカはヴァージニア州、アーリントンの3人組、1995年から2000年までのシングル集。90年代以降世界中に広がり定着した「ギターポップ/インディーポップ」という言葉でイメージされるそのままの世界が展開。ゆえに、彼等ならではの個性と呼べるものが加味されているかというと正直微妙ではある。か細いVo、シンプルなギター2本のアレンジ、起伏の少ないメロディー、蒼く脆く淡い世界を疾走感で包んだこういった音楽は、おそらくゴービトウィーンズやオレンジジュースといった80年代前半の英インディーレーベルのギターバンド達の初期楽曲のある側面に見られる要素(当時はそれがポストパンクの流れのなかでエキサイティングな反抗だった)にインスパイアされ広がって行った音- もっともその爽やかなまでに乾いた失望感とでも言うべき儚気な感触はベルベッツに端を発するのだろうけれど-が、サラ・レーベル隆盛の頃(80年代末から90年代初め)に定型化し以後世界中に広がって行った・・・そういう印象がある。

 個人的には、特に前半はこういうフォーマットの音楽はもう十分過ぎる程聴いたという思いがあるので、自分がもはやこの手の音楽の良い聴き手ではないことを確認する結果に終わってしまった。今の私の耳にはこういう音楽の大半が、アレンジや歌にチャレンジ精神の不足と音楽的な物足りなさとして響いてしまうのだ。美しいジャケットでイメージされる世界はもっとカラフルでバラエティーに富んだものに思えるし、洒落たバンド名も何処かバディー・ホリーの"True Love Way"をイメージするだけに余計残念。まぁ結局のところ、自分がこういう音楽から離れて行った理由が分かってしまうのが少し悲しいだけなのかも知れない。今やホビー・インディーとでも呼ぶべき、無理せず背伸びせず風のこういう音楽ももうずいぶんスタイル的に使い古されており、オリジナリティーや新鮮なアイデア、あるいはアーティスティックな反逆精神と言ってもいいが、今ではそういう、魂を掴むような何かがよっぽど盛り込まれてないと私自身は満足出来ないのである。彼等がそんなつもりがあるかはわからないが、80年代前半とは似て非なる、守りに入ってカタチだけなぞった「ギターポップ」の世界に安住して欲しく無いなと思う。良さが分からないなら書くべきでないと言われたらそれまでなのだが、お節介ついでに書いておくと、せっかく09でREMを、10でポール・ウィリアムスを、16でEW&Fを、17でロバータ・フラックのカヴァーをやるような人達なのだから、音楽的視野は広いのだろうし、もっとアレンジ面や歌の面でチャレンジできるだろうにもったいないなと思うのである。この後の作品は未聴であるから断じたくないし、もし変わりたくないのなら仕方ないけれど、もしその気があるのなら、レーべルやファンと大喧嘩してでも変化し成長して行ってたら良いなと思った。そこまで極端でなくとも、序盤が印象的な08、ジャジーに進む09、ピアノによる10あたりの路線に渋さが加わってくれてたらなと願うばかりである。
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by penelox | 2008-02-27 22:20 | CD備忘録

Walkabout - The Fixx (1986)

 80年代にアメリカで人気があった英国出身のNew Waveバンドの4thアルバム。LPは持っているがCDでシャープな音像を再び。1stの攻撃性、2ndのファンキーさ、3rdの突散らかったバラエティーといった印象からまた前進している。今挙げた要素を踏まえた上で、楽曲のまとまりが良くなっており、その分派手な一点突破的なポップさは後退したけれど、深みが増している感じ。ジャネット・オブストイによる歌詞がそれまでの彼等の楽曲史上もっとも明るく力強いメロディーに乗る01に導かれるようにポジティヴなムードがアルバム前半に特に横溢しており、サイ・カーニンの歌詞が素晴らしい02、歌詞同様包み込むようなスケール感のある03あたりにそれは顕著。吐き出すような迫力ある05も良い。いずれにせよバンドが大きく窓を開けた感じがする、開放感ある作品。
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by penelox | 2008-02-27 21:56 | CD備忘録

When Your Heartstrings Break - Beulah (1999)


 このバンドもはじめて聴いた。バンド名、ジャケットからなかなかイメージしにくいが、イギリスぽいヒネクレ感一杯だがアメリカのバンド。ちょっとアタマのネジれたインディーポップ、イジケポップと名付けたい。不思議なアレンジが現れては消え、時折所謂ローファイな音がガチャガチャ鳴り・・・かわいらしいし、キンクスを思わせる感覚も好きだけれど、途中から楽曲自体が単調に思えてしまうのも事実。強烈なキラーチューンが欲しいです。時折ティラノサウルス・レックスを連想させる05が個人的お気に入り。
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by penelox | 2008-02-27 21:53 | CD備忘録

Virgin White Lies - Amateur Lovers (1997)

 はじめて聴いたシアトル出身のアマチュア・ラヴァーズ、ジェリーフィッシュ好きにお薦めという定評があるらしい彼等のおそらく1stアルバム。シアトルということは、ポウジーズに通ずるものもあるのだろうかと思ってスタートボタン。逆回転の01から始まり、02で後期ビートルズ、クイーン、10ccを連想とするあの世界に突入・・・ということで、やはりジェリーフィッシュと比較されるのが妥当だろう。しかし当時あまり大きな注目を浴びなかった気もするのは、こういう音楽の流行りからするとちょっとデビューが遅かったからだろうか。02と同じタイプの曲03、爽快な04など、前半快調だけれど、後半迄聴き進めるとちょっとアイデアが尽きて来る感じはする。

 全体としてムードはグランジ以降のギターサウンド(このへんがポウジーズとの共通点)、ジェリーフィッシュ以降の70年代リバイバルを踏まえた90年代型パワーポップなのだが、楽曲に強烈で個性的なフックが足りないようにも思える。つまり、このバンドならではのキラーチューンがないというか、アイデンティティーというものを何処らへんに置いているのかがわかりにくい、と言い換えてもいい。後発組の宿命として、この方面では決定版になってしまったジェリーフィッシュからどれぐらいズラすか、差別化をはかるのが重要だったろうと思うのだけれど、そのへんがもうひとつよく見えないという感じなのだ。が、これは90年代のこの手のバンドの多くが抱えた問題だったようにも思える。つまり演奏が上手かったり過去の沢山の「ポップ」と呼ばれる音楽から意匠や装飾面を学習したりはしているのだが、本質的なところにこの人達ならではセンスの煌めきやアイデアが見えない・・・という音楽が多かったのだ。結果、その手でのわかりやすい決定版バンドに評価の基準が預けられてしまい、誰某に似ている、けれど彼等ならではの風景が見えて来ない、ということになってしまったのだ。この作品以後の活動はわからないのであくまでこの段階での評価だけれど、以後楽曲における個性がさらに際立ってたら良いのになと思う。
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by penelox | 2008-02-27 21:46 | CD備忘録

Trapped And Unwrapped - Friends Again (1984)

Multicoloured Shadesのレビューのために聴く。厳密に言うとCDではなくてLP備忘録になってしまうが。これはちょっと前にも聴いてたので、その時の色々思ったことを元にまた聴き直す。どうしてもノスタルジーが勝ってしまうが、まぁこれは仕方ない。こちらはペイル・ファウンテンズとは違ってカラッと明るく、それでいて負けないぐらい鋭い詩作ぶりがある。音自体はかなり当時のコンテンポラリー的作りなので、頼り無気な歌や演奏を期待すると面喰らうかも知れないけれど、色んな要素が背後にあるのも実によくわかる気がする。このVoのクリス・トムソンという人の声はかなり好きだ。自分では絶対真似出来ないから単なる憧れなのだが。彼のインタビューでグラスゴー・スクール・オブ・アート周辺の80年代前半のことが語られていて面白かった。グラムというかニューロマというか、そういうのをメイクでやってるような人達が色々いたとか。グラスゴーはやっぱり80年代が良いなと思う。90年代以降は・・・・・・ほっとくとずっと・・が続くのでもう止めよう。89年3月に行った時の地下鉄の切符は今でもお守りにしている、筋金入りの80年代スコットランドファンの私である。

Multicoloured Shadesにこのアルバムのレビューを近々載せますので、また御覧下さい。
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by penelox | 2008-02-14 23:57 | CD備忘録

Pacific Street - The Pale Fountains (1984)


 久々に聞き直す。ああ、良いなぁ。この音宇宙にずっといたくなる。時は2月、3月、それでなくても学生の頃の夢をよく見る時期なのに、18,9の感傷が戻って来て困る。当時はそんなこと思わなかったが、深いエコー、心の奥へ奥へと旅して行くようなサイケデリックな音像なんですよねぇ・・・煩わしい日常からトリップして戻って来れなくなりそうな夢幻音楽。当時はLPは弟が買って来たのだ。その前にクレプスキュールだったかで出てたシングルで一発でファンになっていた("Just A Girl"が良かった)から、待望の1stだったのである。"Unless"で思いのほかシンセを多用しているのも興味深い。83年から85年ぐらいにこんな音楽に出会ったら一生モノだなぁと改めて思う。
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by penelox | 2008-02-13 23:15 | CD備忘録

Multicoloured Shadesに関してのお知らせ

 なかなか更新出来ないレビューサイト"Multicoloured Shades"ですが、この度、こちらのexciteブログで新たに再開することにしました。こちらではpenelogで既にCD備忘録というところで色々書いてますが、'Multi'も使い易いところでもう少し頻繁にアップデートしていければ、と思います。CD備忘録が買って来たてのものを割とさっと聴きですぐ書く感じとしますと、こちらはもう少し腰を据えてじっくり・・・というような感じになると思います。ただ、あまり冗長にならぬよう、注意して参ります。

早速カラーフィールドのレビューからアップして行ってます。また御覧下さい。

こちら
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by penelox | 2008-02-11 01:21 | 日々雑感

Martinis & Bikinis - Sam Phillips (1994)


 ジョン・レノンの"Gimme Some Truth"のカヴァーをラストに収録した、T・ボーン・バーネットの奥様であるシンガー・ソングライターの94年作品。バーネットと言えば80年代後半にコステロと組んだCoward Brothersや、その後数年のソロでの活躍をうっすらと覚えている程度だが、プロデューサー、映画音楽の方面でも今も活躍中のようだ。このアルバムは彼の幅広い人脈を活かしているのか、チャド・ブレイクやピーター・バック、ヴァン・ダイク・パークス、マーク・リボー、ベンモント・テンチといった有名どころが名を連ねている。

 面白いのは、ベーシストとして我らが(?)コリン・ムールディングが参加していて、あの、空間を活かした彼独特のベースラインを聴かせるだけでなく、"Baby I Can't Please You"ではバーネットともにプロデュースにクレジットされていること。そのせいなのか、この曲は他の曲に濃厚なアーシーで粘り気のあるアメリカンR&B/ロックンロールの感覚より、ビートルズにも通ずる60年代後半のサイケポップさが特に出ている気がする・・・まあ彼女のアメリカンアクセントでは英国風、とまでは行かないけれど。実際のところ、どの曲も過剰なまでにアレンジに凝ったアルバムではあります。コリンが参加したのは、XTCが"Oranges & Lemons"を録音してた時に、隣でコステロが"Spike"を録音していて、その時のプロデューサーだったバーネットが彼のベースに惚れ込み・・・といういきさつはバイオ本にもあった。このままセッションベーシストの仕事もバンバン受けてたらまた違ったのになぁ・・・というのは、外野の勝手な意見ですね。

 フィリップス女史の話に戻ると、彼女のようなアメリカ白人女性ロックシンガーのある典型的な歌唱法のパターン、それひとつで行く場合は、ハマる曲とそうでない場合の落差が結構あって、この方の場合はあまりあれこれと曲をいじらず、風通しの良いアレンジで軽快に行ってくれた方が私自身はさらにわかりやすい気がした。夫君があれやこれやとやりたがったのだろうけれど、曲によってはアレンジに気を取られてしまい、曲の魅力、歌の魅力が伝わり難い印象が少しあるのだ。そういう意味では、"I Need Love"は実に良い感じ。
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by penelox | 2008-02-10 22:06 | CD備忘録