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洪水前に咲いていた一輪の花を忘れない・・・The Waltones

Watanabe's Pop Picks 188
"Deepest" - The Waltones (1988)
from the compilation "You've Gotta Hand It To 'Em: The Very Best Of The Waltones"(2007)

 このアーティストの作品も当時は手に入れられなかったんですよね・・・しかも、音源を聴けたのは、実は去年の3月だったという。いやはや、20年もかかったというのは、あるいは、そんなにしつこくこだわったというのは、こりゃ一体何なんでしょうと自問自答してみたい衝動にも駆られますけれど、ともかくかなりの感慨があって、当時ブログにも書いたものです。こちら

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 自分で書いた文章ですが、改めて89年の1stアルバムを巡る配給トラブルの箇所(「・・・レーベルとディストリビューターの衝突からこの作品は残念な事に初回分が出回ったに過ぎないらしく・・・」)は色々考えさせられます。イギリスにいた頃、当時雑誌で出たばかりの彼らのアルバムがレビューされていて、買おうと探し回ったが一向に見つからなかったんですね。今となってはよくわかるのですが、音楽をやっていて、作品をリリースするという段階に来るとこういう、音楽そのものではないこと(プロモーションの仕方、スリーヴデザイン、配給、ギャラなどの金銭問題・・・これらを巡るレーベル/マネージメントの無理解やら彼らとのコミュニケーション不足、挙げ句は陰口とか・・・)でイライラさせられることが多くなって、それで嫌気がさして辞めてしまったりする人達も多いんですよね。私自身もそれに類する事は多少なりとも経験して来ましたし、最近にしても、去年のコンピCDに関して、資金問題、そして何とかリリースまで漕ぎ着けたのに、その段になって配給会社が潰れてしまい、他に色々ディストリビューターに当たったがダメだった・・・なぁんてトラブルが続いたので、余計に身につまされます。ともかく音楽を創るときは音楽に集中して、要らんことを考えて自滅しないこと。これを肝に銘じている次第です。


 まぁ、それはともかく。
 このマンチェスターのバンドThe Waltones(ウォルトーンズ)も、前回のThe Desert Wolves同様、今からみると所謂マンチェブーム前の87年~89年頃に、オレンジ・ジュースやスミスの流れを汲む趣味の良いポップミュージックをサッと奏で、そしてサッと消えて行った・・・そういう印象が強いです。いわば、マンチェ/ブリットポップの大洪水がやって来る前、おだやかな時間にいっときだけ咲いていた可憐な一輪の花。そういうアーティストがちゃんと評価されるようになるには時間がかかるというのもまた、わかってはいるんですが、今だにシャーラタンズのマーク・コリンズが在籍していたというエピソード以上に語られることが殆どないというのは正直残念ではあります。こういう系統に位置するバンドでは、The Weather ProphetsやBradfordがより知名度が高いですが、音楽では決してヒケを取らなかったというのが今聴いて感じる私の印象です。

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■She Looks Right Through Me (1987)
 これもセンスの良い曲。彼らって、ビートルズ中期のギターサウンドをこの時代の感覚で料理した感じが結構ありますね。





 私がこのバンドの音を追いかけた理由を煎じ詰めると、結局は上のタイトルに集約されるかなと・・・ちょっとカッコつけ過ぎかも知れませんが(笑)。

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The Waltones MySpace page



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by penelox | 2009-10-20 23:32 | Pop Picks


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