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Will The Circle Be Unbroken / The Staple Singers

Will The Circle Be Unbroken / The Staple Singers
from album "Gospel"

ヘトヘトながら、やっと辿り着いた。今日が私の仕事納め。
と言っても、また2日早朝から仕事なので、これが正月休みなのか何なのかよくわからないが。


移動の合間に、こないだ読んだ姜尚中・森巣博の「ナショナリズムの克服」に続く、その続編とも言うべき「デモクラシーの冒険」を読みはじめる。これも前にも書いたが、"Looking"という曲の歌詞の資料として。

この本は、先の書に出て来た森巣博氏の妻であり、政治学者であるテッサ・モーリス・スズキ氏(オーストラリア国立大教授)と、先の姜尚中(カン・サン・ジュ)氏(東大教授)の対談集である。姜氏は、在日韓国人であり、「朝まで生テレビ」などにもよく出演されるから御存じの方も多いのでは。個人的には9.11以降の日本で、最もまともな発言を続けてらっしゃると思える数少ない知識人のひとりだ。

で、この本、非常〜に刺激的だ。ブッシュ/ネオコンによるアメリカの9.11以降の独善ぶり、小泉の米追従外交、石原都知事のポピュリズムetc...閉息感と暗たんたる気持ちになりがちなこの時代、無力感に囚われている場合ではないのだな、ということを思い出させてくれる。「デモクラシー」を活性化させるための、非常に爽快な言葉の数々。特に、

すべての人間は、外国人である。

これは本当に言い得て妙、な、良い言葉だと思う。


また、政治学科だったのに録音とレコード集めばっかして勉強もろくすっぽしなかったダメ学生としては、良い政治学のテキストでもある。とは言えこの二冊、一回読んですぐ理解できるような類いの本ではないので、あと数カ月は何度も繰り返し読むことになりそう。

しかし、結局、この"Looking"も含め、2曲が年内に録音に入れないまま残ってしまった・・。



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今年最後に上げる曲。前に入手したゴスペルのCDから、ステイプル・シンガーズのこの曲を。

これはゴスペルといっても、一般的にイメージされるような、壮大なハーモニーできかせる訳でも、またステイプル・シンガーズ独特の、メイヴィス・ステイプルズののソウルフルなVoでグイグイ引っ張って行くようなスタイルでもない。お父さんポップ・ステイプルズの、つぶやくようなモゴモゴVoが中心という、ちょっと彼等の全体的イメージとしては毛色の違う曲なのだが、漂って来るブルース臭がなんとも言えない味わい。いわゆる日本で一般的にイメージとして定着してしまっているような泣きのブルースではないのだが、実に染みます。

それにしても、ブルースは太く、深く、そして悲しい。ヒリヒリ痛い曲が多い。なのに、そんなスタイルでなおかつゴスペルだから、なんと言っていいのやら。つつみこむような温かさがありつつ、悲しいという・・・。

ゴスペルは宗教音楽でもあるから、くり返しが続くうちに、ある高みに達して行くという意味では、お経みたいな良さ(誤解を恐れず言えば)があるのだけれど、特に、こういう低い声でやられると・・・なんとも独特の凄みがあります。


しかし、最近なんでブラックミュージックがこう染みるのか。
特にディスコ以前までのR&B/ソウルにハートをわしづかみにされてしまう訳だが。

それはやはりそれが、社会的に弱者の立場に置かれた人々の、本当の、心からの叫びだから・・・そしてそれが、勝者/敗者に二分されつつある現在の日本社会での自分の立場からすると、よりリアリティーをもって突き刺さるようになって来たからだな、当時の彼等の音楽が。私には宗教心はないし、黒人音楽の中にある宗教心を自分のものにする気も全くないが、それでも入って来るものがあることにおそまきながら気付いた訳だ。

あまり認めたく無いが、弱者/少数派にある理想主義への共感、これは事実だと思う。
自分が良い、と思うこと。こうあって欲しいと思うこと。社会的レベル、芸術・文化的レベル、何であれ、そこに求める理想。夢。希望。正義。誠実さ。心というかソウルというか。

そういうものを求めて行くと、いつもそれが多数派の側にないことに気付かされるから。
マイノリティーに自ら嬉しがって進んで行くとか、そこに付加価値を求めてわざとらしく向かって行くのではなく、ごくごく自然に求めるものに従って動いて行くと、そうなっているのだ。

結果そうなることに、少し残念だと思うこともあるが、恥じている訳では決してない。それに、希望もまだどこかに、ほんの少し残っている。それがある限り、自分が音楽に託せるものはなくならないし、だから、卑屈になってる暇などないのだ。

2005年もさらに音楽を作って、皆様と何かを築いて行ければなぁ、と思います。

今年は本当にありがとうございました。
2005年もよろしくお願いいたします。

http://www.jttk.zaq.ne.jp/penelopes/
by penelox | 2004-12-30 22:40 | R&B/Soul


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