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生意気 東京下町青春記 (大橋巨泉・著/三天書房)

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いつも月曜日は必ず「週刊現代」をチェックしているのだが、その目的は、おもに大橋巨泉氏の「内憂外歓」というコラムを読むため。殆どそれだけ(それ以外のページも一応読むけれど、正直あまり面白くない)が愉しみだったのに、なんと今回で突然終了とのこと。どうやら新編集長の非礼(非常識)にお怒りのご様子。
この年代の方なら当然そう思うだろう、大事な事でも何でもメールで済ませるなんてのは論外なのだ。私もそう思うが、今の世の中、そうなってないのも事実。

最近入手した本「生意気 東京下町青春記」(彼の高校時代の日記)を読んでいたところということもあり、昭和ヒトケタ、戦中世代ならではの視点が眩しい同コラムを、興味深く読んでいたので、終わってしまうのは非常に残念。どこか別の雑誌で継続していただきたいもの。

こちらがその巨泉氏の高校2年から数年の日記である「生意気 東京下町青春記」(大橋巨泉・著/三天書房)。
生意気 東京下町青春記 (大橋巨泉・著/三天書房)_b0022069_1634103.gif

戦後まもなく、昭和20年代(1950年代)の東京の私立高校生 - 10歳頃に戦争が終わり、大人たちがそれまで言っていた事を撤回したという、子供にとっては何を信じていいのかわからなくなった混乱に満ちた時代、そしてそれゆえに冷静な観察眼と、権威、権力への盲信を懐疑する姿勢を若いうちに育む環境であっただろう時代-に思春期を送った著者の、現在の有り様の原点がわかる本です。

子供の頃はなんかエラそうな、ギャンブル好きな巨人ファンの司会者、というイメージしかなく(失礼!)、高校ぐらいになって11PMで結構反戦などの真剣な番組もやったりしているのを観て、イメージが変わって行ったのですが、こうして見ると実はある部分、ストイックなまでにブレてない気がした。しかしそれはまた、戦後を駆け抜けて来た昭和ヒトケタ世代らしいとも言えるのですが。

そして、今の高校生とは知的な意味ではケタが違うという感も。喫煙、酒、パチンコにのめりこみつつも、16,7でジャズ、歌舞伎、映画に精通し、早くも評論風の日記をつけていたり、俳句の同人にも加わっていたり。私の両親も若い頃、俳句は日常に自然とあったようだし、これはやはり時代ということもあるのかも知れないけれど、それにしても多趣味、そしてセンスが良いです。逆に、現代の日本人がこんなに悪趣味(露悪趣味、偽悪趣味)で、知性/品性嫌悪になったのは、いつからなんだろうと思ってしまう。

大橋巨泉氏についてよく知らない方、あまり知らないままで決まったイメージで見ている方は必読。
by penelox | 2006-04-24 23:59 |


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