(mixi日記7/12(2)より)
80年代の英国リヴァプールと言えば、特に日本では「ネオアコ」(ネオアコースティック)と称されたバンドのひとつの流れを象徴する場所でもありました。
それはたぶん、このバンドの1stアルバム"Pacific Street"の音- 時に60年代のアメリカA&Mレーベルに代表されるような(のちにソフトロックと括られる)ソフトなポップミュージックにも通ずる、管楽器やパーカッションでボサノヴァやジャズの味付けがなされた多彩なアレンジ、時に60年代の映画音楽からインスパイアされたとおぼしきストリングスを多用したドラマチックな展開ーが、当時、というよりむしろ数年後の日本の渋谷系の動き(89年〜93,4年頃)とうまくリンクした部分が大きかったからではないでしょうか。
つまりペイル・ファウンテンズの初期音源こそが、「日本のネオアコ」の音楽的要素のひな形を作り上げた...そう言っても過言ではないのでしょうね。
そういう意味ではやや分が悪いのか、あまり取り上げられない2ndアルバム。しかし、こっちが彼等の本来持っている要素 -(ネオ、というよりモロ)サイケデリックなギターサウンド、浮遊するかのようにフラフラと彷徨うマイケル・ヘッドの蒼いボーカルが紡ぐ親しみやすいメロディー...-をより充実させた作品だと思うんですよね。
"Jean's Not Happening"
この曲を収録した2ndアルバム"...From Across the Kitchen Table"を聴くと、彼等特有のギターサウンドが時に大きくフィーチャーされている一方で、意外にストリングスを多用しているのにも気付いていただけるのでは。
もちろん後のシャックにつながる要素もありますよね。基本的にシャックはこのアルバムの自然な延長線上にあるのでしょう(ストランズはむしろ1stに近い気がします)。
「ネオアコ」の色眼鏡を外すことで、その蒼い音世界の全景が見え始める。そして、リヴァプールにしっかり根をおろした「うた」がせつなく響き始める...そんなバンドではなかったでしょうか。