「味覚がまだ充分に発達していない子どもの時期からハンバーガーの味に慣れさせ、一生それなしにはいられない体にしてしまう...そんな戦略が超低価格のハンバーガーには隠されている。胸焼けの素にしかならないクズ肉のハンバーガーを体にいいものなんて何も入ってないコーラで流し込む。幸福とは程遠いこの営みが幸福そうな家庭のイメージでカモフラージュされている。私はハンバーガーを貪り食う客を憐れみながら、個人的にマクドナルド不買運動を続けている。それが私のささやかなアメリカへの経済制裁である。」
(「楽しいナショナリズム」島田雅彦・著/毎日新聞社より)