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CD備忘録 2008年1月以降(7)

■The Age Of Plastic - Buggles (1979)

 もちろんあの「ラジオスターの悲劇」("Video Killed The Radio Star")を収録したアルバム、これもCDで初聴き。今となっては最初の数曲で、当時のもう少し若い世代のミュージシャンとくらべての妙なぐらいの明るさが目立つ。今でもレトロ・フューチャーなものとして(エモ系バンドにさえ軽くスポーツ感覚で)消費されている要素がそのあたりに集中しているからなのかも知れない。当時の最新テクノロジーを手にしてのオジサン達の興奮、というニュアンスにさえ感じられたりして、場違いな眩しさに少しばかり反発を覚えたりもする。たとえば(比較対象としてふさわしいかは別として)ジョン・フォックス時代のウルトラヴォックスにくらべると特に、余裕の為せる技であろうユーモラスさが対照的に響くのである。私としては世代的には近かった分後者の悲痛さや怒りの方が何となくシンパシーを抱ける気はする。まあ結局のところどちらもずいぶん昔の作品だし、その後の両者の変遷もある程度知っているから、その道程の中で、今の私に触れあう部分がどちらが多いか、単にその比較問題に過ぎないけれど。

 むしろ未来派なテーマ性が全面に出たものより、アナログだとB面にあたる、ちょいとSailorを彷佛とさせる哀愁と小粋な曲展開が秀逸な"Elstree"が良い。あるいはエレクトロ10ccとでも言いたくなる浮遊感を持つ"Astroboy"とか。アルバム後半の方が実は彼等の本質というか、手癖が出ている気がする。
by penelox | 2008-01-13 23:21 | CD備忘録


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