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CD備忘録 2008年1月以降(9)

■Alternative Commercial Crossover - The Times (1993)

 80年代末、マッドチェスター期に復活したタイムズ(=エドワード・ボール)の作品。ポップなメロディーに乗せて、コンセプチュアルに時代を批評、編集して行く、いわば彼の頭脳の産物であるユニット、タイムズは、こないだ書いた"This Is London"の頃のモッド/ビートポップ路線を第一期とすれば、これは第二期にあたると言える。当時のクリエイションの隆盛と、その重役であるという恵まれた立場によって、グランジ、ダンス、アンビエントテクノ、ワールド・・・etc当時流行った音楽的要素をリアルタイムで料理しており、ここではまさに雑誌感覚のヘッド・ダンスミュージックを展開、いわばプライマル・スクリームの兄貴分風・・・冒頭はそんな印象だったのだけれど、アルバム中盤からは甘く切ないアコースティック感覚のバラードの印象も強くなる。このあたりは後のソロでの世界に繋がりそう。あのマンチェ期特有のマシン・ビートにはあまりに時代の感触が染み付いているので、今となっては全曲が時代を越えたフレッシュさを保っているとは思えないけれど、当時ハタチぐらいでマンチェに一番思い入れがある世代の方(たぶん今30半ば前後かな)なら、このNew Orderのカヴァーも含むアルバムが特に懐かしく聴けるのでは。"Finnegans Break"や"Ballad Of George Best"なんてタイトルは気が効いているし、"All I Want Is You To Care"なんてタイトルは、U2の曲を茶化してるようにも思える。"Corporate Rock Mix"(産業ロックミックス?!)なんてのも、実に批評的。"A Place In the Sun"という私のアルバムと同名曲(たぶんあの映画から来てると思うのだが)なのも嬉しい。あと、ゲストプレイヤーにNick Haywardとあるが、もしかしてあのNick Heyward?(綴りが違う)
by penelox | 2008-01-16 12:33 | CD備忘録


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