mixiにこの文章を上げてからずいぶん遅れてのPENELOG登場で申し訳ないです。このNew Waveの記事、しばらくは割とゆっくり進むとは思います(結構聞き返しもしたいもので)が、御容赦下さい。
この月あたりから猛烈な数のNew Wave勢がチャートに登場して来ますので、フォローし切れるか自信がなくなって来ましたが・・・(笑)。 シングルですと何と言ってもこの月はこの2アーティストでしょうか。 (シングル) ■Denis - Blondie (2) New Yorkパンクシーンから登場、見事にポップバンドへと進化して行くブロンディー最初の全英トップ40入りシングルは、第二位まで上昇の大ヒット(オリジナルは1963年のRandy & The Rainbowsの"Denise")。PENELOGの方にもちょこっと書きましたが、当時の彼等はパンクの出自とオールディーズ感覚を匂わせた古くて新しいPower Pop路線で、そこから徐々にメインストリームで隆盛を極めていたディスコサウンドなどのコンテポラリーなダンスミュージックへと進んで行くと思うのですが、これは前者的楽曲(何しろホントにオールディーズ)に少し後者のアレンジがスパイス的に忍び寄って来てる感じでしょうか。実は彼等、この78年2月から3月にかけて大がかりな全英ツアーをしていまして、それと連動した大ヒットと言えるでしょうね。 で、ここからは全くの余談なんですが、その前座に起用されたのが、EMIと秋に契約し11月にシングル"Lipstick"をリリースしていたバンドThe Advertising(未聴です・・・)。このツアーの盛り上がりの余勢を買ってアルバム"Jingles"をリリースすることとなるのですが、残念ながらチャートインはせず、79年には解散しています。このバンド、御存知の方もおられるかと思いますがトット・テイラーがいたことで知られていますね。他のメンバーも面白くて、Simon Boswell (vocals, guitar) はその後Livewireというポストパンク系のバンドで活躍。トット(vocals, keyboard)はいうまでもなくその後ソロアーティスト/ポップ職人として、またコンパクトオーガニゼイション主宰へと活動の場を移して行きますね。Paul Bultitude (drums) はその後一時ネオモッドバンド、Secret Affairのドラマーに在籍、後にDance Networkを主宰、The Jetsetを世に送り出すことになります。PaulのいとこであるDennis Smith (bass) もこの後Secret Affairで活躍しています。特筆すべき(?)はThe Jetsetのふたり、Paul BevoirとMelvin JがPaul Bultitudeにはじめて接触しているのはこのブロンディーの英国公演での楽屋だということ(笑: Jetsetのベストには79年と書いてありますが・・・)。その時にトットにも紹介されたんでしょうかね。何ともマニアック過ぎる話で恐縮ですが、英国ポップの新しい動きの胎動が、そこかしこにあったという一例ですね。 ・・・長い余談で失礼。 ■Wuthering Heights - Kate Bush (1) そしてそして、この偉大なアーティストの鮮烈な登場もこの月でした。ケイト・ブッシュ。 おそらくここをよく御覧下さる方に説明は不要だとは思いますが、洋楽に全く疎い方でもこの「嵐が丘」を知らない方はまた殆どいないと思います。土曜の夜やってるTV番組「恋のから騒ぎ」のオープニングの曲は御存知ですよね。 ぜひフルでお聴き下さい。個人的には、この方の4枚目のアルバム"The Dreaming"にはひっくりかえる程の衝撃を受けたのも忘れられません。あのアルバムはぜひ若い方に聴いて欲しいですね、きっと人生変えられる方もおられるでしょうから。 彼女をNew Waveという括りに入れるかどうかというと、異論はあるかとは思います。後から振り返って「ロック史」を書けば、もっと大きなところにいる人であることは間違い無いんですが、同時代での認識としてみると、New Waveの一つの道筋を切り開いて行った人として、違和感がない・・・そんな感じでしょうか。それを裏付けられるのは年齢です。このヒットの段階で彼女、わずか19才。まさに新世代を代表していたと。その事実は、当時New Waveかどうかの基準というのが、10代の聞き手にとっては、自分に同世代か、世代的に近いか否か、つまり自分の側にいるか・・・これがとっても重要だったことを思い出すんですよ。New Waveの主な聞き手の世代へのヴィヴィッドな影響力を考えると、彼女のフレッシュな登場は、象徴的にNew Waveの一部に思えますし、またその存在を無視しては成り立たないようにさえ思えます。客観的に見れば、New Waveムーブメント云々とは無関係に登場した、才能に溢れたアーティスト(彼女は、英国で全英1位を記録した最初の女性シンガーソングライターなのだそうです)な訳ですけれど、その音楽性の影響力の大きさは決してその後のNew Wave、特に女性アーティストの多くにとって無視出来ないと改めて思います。トラッド/フォーク、プログレ、文学的、不思議系・・・と、彼女の音楽はおおまかに纏められるけれど(実に乱暴な纏め方だという気もしつつ ^ ^;)、New Wave時代に新しい女性アーティスト像のひとつの基準をひとりで築き上げてしまったという、その強烈な存在感は忘れられないですね。 他にも色々と。 ■Don't Take No For An Answer - Tom Robinson Band (18) 大ヒットのデビューアルバムからのシングル。"2-4-6-8 Motorway"ほどのインパクトはないですが、良い曲です。 ■Five MInutes - The Stranglers (11) 安定した人気を誇る彼等、元々はアルバム未収録のシングル。パンク勢のなかで、78年になっても勢いを下げないのは流石と言うべきか。個人的にはヒュー・コーンウェルが歌う方が好きなんですけどね。 ■Nervous Wreck - Radio Stars (39) これは映像ないみたいですね。痛快なハードポップといった趣きの彼等、1977年のデビューアルバム"Songs For Swinging Lovers"より。中心人物アンディー・エリスンは元ジョンズ・チルドレン(マーク・ボランが在籍したことで知られる60年代のポップバンド)、マーティン・ゴードンは元ジェット、スパークスでもプレイしていたという、実は大ベテランであります。New Waveというのはこのように、60年代から活動してる人達、70'sグラム時代の残党、こういった新規巻き直し組の人達もいましたね。 ■No Time To Be 21 - The Adverts (34) デビューアルバム"Crossing the Red Sea With The Adverts"からのシングルカット。 そして、いよいよこの人達も登場します。マンチェスターの音楽シーンに燦然と輝く偉大なる2組。 ■What Do I Get - Buzzcocks (37) パンクロックというスタイルで十分なオリジナリティーを有していたというのは、実際にはなかなか無いこと(今でも沢山の「パンクバンド」がいることを考えれば・・・)。彼等は実にセンスがあったと思います。 ■Shot By Both Sides - Magazine (41) この2バンドが揃って同じ月に初の全英ヒットを放っているというのも面白いですね。言うまでもなくマガジンとは、バズコックスのオリジナルメンバー、ハワード・ディヴォートによる新バンド。ネオサイケのルーツとも称されますね。 ■Is This Love - Bob Marley (9) 相変わらず根強い人気ですね。ジャマイカ移民の人達のみならず、英国全体にレゲエが受け入れられ、英国文化のひとつとして確立して行ったプロセスと言うべきでしょうか。 ■Just One More Night - Yellow Dog (8) 一発屋として一般的に知られるこの人達は、私全くの未聴なのですが、アメリカ人ベテランソングライターKenny Youngを中心とするアメリカンロック的な音楽性を有したバンドで-ということは、ダイアー・ストレイツやスニッフ・アンド・ザ・ティアーズなんかと近い路線と言えるでしょうか。Virginから出てたので、気にはなっているのですが。 Wikipediaでは、コステロに影響を与えたともあります。CD化はされてないのかも知れませんね。パブロックとニューウェーブの中間地帯には、こういうタイプの音楽をやっていた人達が実際とても沢山いて、そういう層の厚さがNew Waveシーンを支えていた-これも忘れちゃいけないなと思うのです。 また、この月にSqueezeのA&Mからのデビューシングル"Take Me I'm Yours"がリリースされています(4月にチャートイン・・・ずいぶん時間がかかってますよねぇ)。 (アルバム) ・White Music - XTC (38) このアルバムの登場も、この月の特筆すべき話題でしょう。今の感覚からすると、結構オーソドックスというか、楽曲がよく出来ていて、それをねじれたVoスタイルで聴かせる、実はとっても聴き易いpower popかも知れませんね。特にパートリッジの曲は、意外に伝統的なポップロックのソングライティング、それこそR&B、モータウンにも通じさえする温かみのある感覚(たぶんこれはグラムロック時代から引き継いだものでしょう)さえ漂わせていて、ぶっ飛んだ部分はむしろムールディングの方があったりします。このなかではやっぱり"Statue Of Liberty"、"This Is Pop"は個人的にはクラシック。あと、アルバムラストを飾る"Neon Shuffle"も良いですね。ともかく、たくさん音楽を聴いてるのがわかる、アイデアの豊富さを感じます。彼等は私にとっては、Music Lover(=音楽愛好家)の良き見本的存在とも言えます。 Neon Shuffle - XTC しかし何と言っても、ムールディングの"Cross Wires"のジャズパンクな感覚が今となってはとても好きな私。彼の曲では特にオルガンとギターが火花を散らしてる気がするんですよね(笑)。 ・Drastic Plastic - Be Bop Deluxe (22) 彼等のラストアルバム。Punk/New Waveに触発されまくったビル・ネルソンは、この後新たなバンド"Red Noise"でテクノ路線で再び登場します。このアルバムでも、テクノ感覚の萌芽が見られ、その音楽の(タイトル通りドラスティックな)変化が見られ面白いです。早過ぎたNew Waveバンドが、今度は若いバンド達に触発されて行くんですよね。 前にも紹介したと思いますがこのアルバムからの曲。 Panic In the World ・Talking Heads '77 - Talking Heads (60) 前年にリリースされたアルバムですが、ここに来てチャートイン。NYパンクの根強い人気を感じますね。彼等の1stと言ったらやっぱりこれでしょうか。OGWTより。 Psycho Killer Blondie アルバム "Plastic Letters" Kate Bush アルバム "The Kick Inside" XTC アルバム "White Music" Radio Stars アルバム "Songs For Swinging Lovers" Be Bop Deluxe アルバム "Drastic Plastic" Talking Heads アルバム "Talking Heads :77"
by penelox
| 2008-01-18 22:32
| New Wave
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