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September Bowl Of Green - The Grapes Of Wrath (1986)

 カナダのバンド、86年の2ndアルバム。彼等の作品は89年の4th "Now And Again"しか聴いたことがないけれど、そちらは清冽な歌心、アメリカ(アンサンブルの温かみ)とイギリス(メロディーの素晴らしさ)のそれぞれ長所をブレンドしたようなルーツ寄りフォークロックサウンドが新鮮だった記憶がある。その作品にくらべると、ここで展開する音楽はまだまだ自分達の音の模索段階。ルーツミュージックへの傾斜の気配もまだ感じられず、若さと勢いが全てをカバーしているという印象だ。楽曲にも彼等ならではという個性が残念ながら見られず、REM(特に1stの頃)、スミスなど当時の英米のNew Waveギターバンドの影が覆っている。01、02、05など聴くと特にその感を強くする。後はこの晩成型のバンドの初期編を聴き手がどう受け止めるか次第だと思う。個人的には、「怒りの葡萄」というバンド名から感じさせる匂いや、上記バンドの影響、まだ青さが目立つ演奏共々、当時の英国の若手バンドにたいへん近いという印象で、同時代を歩んだ人間としては非常によくわかる半面、傑作4thを知っているだけに、大いに推薦するところまでは行かないのも事実。80年代半ばの英米ギターバンドの周縁部にも目を向けたい方向け。
by penelox | 2008-03-10 23:25 | CD備忘録


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