2009年 12月 29日 ( 1 )

絵本の日々から 05

「ゆきのひ」
作・絵: 加古 里子 / 福音館書店 (1967)


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 もうすぐ一年が終わりますね。月末はいつも仕事関係でバタバタするのに加えて、年末は特に色々小さな事が増えてしまいますが、大晦日の晩はせめて穏やかにしたいものです。

 大晦日と言うと、NHKの「紅白」はもう既に我が家では定番ではなくなって久しいですが、その後の「いく年くる年」は必ず観るんですよね。騒がしいカウントダウン番組よりはやっぱり静かに除夜の鐘が聞きたい。遠いどこかにあるお寺の、大晦日の寂寞。穏やかに深い余韻をもってじんわりと鳴る鐘。そこで雪が降ってたら最高です。
そうやって日本でしか味わえない季節感、というのは確かにあって、年々それをより深く味わいたくなって来ています(ある意味オヤジ系雑誌の絶好のカモかな/笑)。

日本人の暮らしにとって雪は特別な存在・・・そういうことを感じ始めたきっかけが、この絵本だったのかも知れません。

 兵庫県南部に生まれ育ち、雪にそんなに馴染みがなかった子供からすると、この本の「かまくら」なんかは大変なあこがれでした。作者の加古里子(かこ・さとし)さんという方は工学博士という側面もあるからでしょう、理科的アプローチの教育絵本をたくさん出されていて、いずれにも子供の頃ずいぶんお世話になりましたね。

 それにしてもやはり思うのは、色使いの良さ。この絵本を今見てももやっぱり派手さはなくて、控えめでテカテカしてない色調が素晴らしいです。思うに、日本人の色彩感覚って、特にこの20数年で極端に変わった(悪く言うと劣化した)ような気がしてならないんですよね。それはおそらく色が持つ繊細なメッセージ - それこそ温かみも悲しみも含んだ、くすんだ色合い - の喪失と関係があったのでしょうね。たとえばお寺や城に行っても感じられるような、また着物にある感覚にしても、またあるいは映画を観ても、たとえば昔の大映作品のような色調は、日本人ならではの良さが出ている気がするのですが、生活のなかから、そんなくすんだ色合いの味わい深さの多くが、今現在どこかに行ってしまったままになってる気がしてならないですね。
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by penelox | 2009-12-29 16:25 |